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#6 台湾土産のアロマキャンドル

昔、家族で台湾旅行に行った。
泊まったのは台北の西門という繁華街。日本で言う原宿や渋谷のようなところで、街は賑やかなのだが、ホテルはお洒落でとても良かった。朝食バイキングも美味しかった。

立ち寄った石鹸のお店で出会ったキャンドルの香りがあまりに気に入って、持ち帰ってきた。ジャンシンビーシンというブランド。
お土産をたくさん買う家族ではないのだが、なんだか手放せなくてずっと持っていたら、母親が持って帰れば、と買ってくれたのを覚えている。


一人暮らしを初めて、まずこのキャンドルを部屋に持ち込んだ。蓋を外すだけで匂いが立つ。ふんわりとした、優しいラベンダーとジンジャーの香り。
使用期限が過ぎても部屋に置いていたのだが、この部屋を出るにあたり、ついに処分した。また別の形で出会いたいなと思う。


香りというのは過去の記憶をふっと蘇らせる。それだけで景色も見違えて、気分もめくるめく変わって、一瞬にして。
これまでに出会った誰かの香り、コーヒーの焼ける香り、外国の街の香り、パソコンの曇った香り、季節の香り。


実体がなくても、記憶とともに存在する。今日の香りは、いつ、どこで、どんな気持ちで思い出されるだろうか。鼻の奥の奥で、キャンドルの香りを感じてみる。

日々の100。