滑稽珍聞 2014 夏 ~ぼちぼちリハビリ号 ~
滑稽珍聞 2014 夏 ~ぼちぼちリハビリ号 ~ 特集 『キネマの天地』
人物解説おぼえがき
コミケ一週間前なのに何もしておらず。こんにちわ、最近ではツイッターばかりやっております。毎年、このような感じで悲しいので、慌てて何か、作ることにしました。
最近は映画趣味が復活しており、暇をみては観ております。
『キネマの天地』は心に残る名画で、松竹蒲田の歴史を知るに格好のテキストであると思った。
今回は、本作を切り口として、鑑賞の助になるような紹介記事を書いてみたい。作品内容はググっていただくとして(おい)、元ネタとなる人物を列挙する。なお、新潮文庫の解説が詳しいです(升本喜年による)。カッコ内はWikipediaからの引用です。興味深い部分は太字になっています。
ヒロインが映画の最後に抜擢される『浮草』は、小津安二郎監督の『浮草物語』からの発想。(浮草物語は、1928年のアメリカ映画「煩悩」を下敷きにしている)『浮草物語』は、Youtubeでもみれます。
(追記『一人息子』では、『未完成交響曲』という作品をみている間に寝てしまう飯田蝶子の場面があり。このシーンは田中喜八が映画館で臨終するシーンを連想させるものあり。)
(追記 『未完成交響楽』 Leise flehen meine Lieder)
https://archive.org/details/HansMoserLeiseFlehenMeineLieder
田中喜八(渥美清)
喜八もの(『出来ごころ』(昭和8年)ほか)。
坂本武
井上ひさしが脚本に参加なので、浅草フランス座の幕間コントという意味も含まれているだろうか。
田中小春(ヒロイン、有森也美)
藤谷美和子が降板したため、映画と同様に新人の有森也実が抜擢されて話題になった。
田中絹代。
坪内美子(※浮草物語)「文京区白山に生れる。牛込高等女学校(現・豊島岡女子学園)卒業後、銀座の有名カフェの女給(源氏名・孔雀)をしているところをスカウトされ、1932年松竹蒲田撮影所に入社する。1933年、野村芳亭監督の『涙の渡り鳥』で竹内良一の相手役に抜擢され、映画デビュー。1935年には幹部に昇進し、松竹の看板女優となる。」
島田健二郎(中井貴一、籠の鳥、浮草シナリオ 実家は日本橋近辺で海産物問屋)
名前由来は島津保次郎?、伏見晁(※モダン籠の鳥脚本)、池田忠雄(※浮草物語の脚本)
佐田啓二。「京都市下京区の商家に生まれる。京都市立第二商業学校(現・京都市立北野中学校)卒業後、早稲田大学政治経済学部に入学。学生時代、松竹の人気俳優佐野周二の家に下宿していた縁で、1946年、松竹大船撮影所に入社する。芸名は、「佐野周二」の姓名から一文字ずつ譲り受けて名付けられた。」
城田所長(松本幸四郎) 城戸四郎。精養軒の四男。
緒方保次郎監督(岸部一徳 娘心十八の春、めり逢ひ) オッチャン、小津安二郎。島津保次郎。
内藤監督(堺正章 しっかりせよと抱き起し、モダン籠の鳥) 斉藤寅次郎。
佐伯監督(柄本明 街の交響楽)
小笠原監督(なべおさみ 東亜の春) 五所平之助?
小倉金之助監督(すまけい 父・何処 夢みる乙女 浮草) 野村芳亭(関西弁)、島津保次郎(おやじと呼ばれていた部分)、清水宏。
岡村監督(大和田伸也 金色夜叉) 野村浩将?
佐藤監督(山本晋也)
川島澄江(松坂慶子) 川田芳子、川崎弘子、粟島澄子。
岡田嘉子。「広島県広島市細工町(現:広島市中区大手町)生まれの女優、アナウンサー。大正から昭和初期にかけて、サイレント映画時代のトップ映画女優であった。奔放な恋愛遍歴やソビエト連邦(現:ロシア連邦)への亡命など、波乱の生涯を送ったことでも知られる。」
川島の恋人(津嘉山正種) 杉本良吉。演出家。本名吉田好正。女優の岡田嘉子とロシアに亡命し、スパイ容疑で銃殺刑に処せられた。
園田八重子(美保純) 初代水谷八重子、園井恵子?
井川時彦(田中健) 岡田時彦、井上正夫?
戸田礼吉(山城新伍) 河村黎吉?
磯野良平(レオナルド熊) 渡辺篤
小山田淳(広岡瞬)
坂本武 「1899年兵庫県赤穂市坂越に漁師の息子として生まれる。1921年、地方巡業の旅一座に入るが一座は解散し座長に逃げられてしまう。1923年、林誠之助とともに松竹下加茂撮影所近くの食堂でしょんぼりしているところを見た斎藤寅次郎の口添えで森野五郎に弟子入りする。野村芳亭監督の『女と海賊』で海賊船の帆柱の最上段から海中へ飛び降りる役を志願、監督の注文に応え、主役の勝見庸太郎のスタントも務めた。ほかにもいくつかの作品でスタントを務め、そのことが幹部の目に止まり、京都撮影所の解散後、数多くの大部屋俳優の中から抜擢され蒲田撮影所の俳優として抜擢された。」
古賀英二(坂本貞美) 賀古残夢、円谷英二?
野口(清島利典) 野田高梧
北原(若尾哲平) 北村小松
「北村は、小松左京がSF作家を志すきっかけになった小説家でもある。1941年(昭和16年)1月から12月まで『少国民新聞』に北村が連載した科学小説「火」を読んで原子爆弾を知り、北村がこの連載で解説していた原子爆弾が連載から僅か4年後に広島と長崎に実際に使用された事に衝撃を受け、「SFとは遠い未来の出来事ではなく、人類の近未来を著わす重要な役割を果たしている」と認識しSF作家を目指したとNHKのインタビューに答えている」
池島(巻島康一) 池田忠雄
女事務員 マキノ佐代子
浅草の客 藤山寛美
呼び込みの男 関敬六
◎端役
大部屋女優:灘陽子
(現:森口瑤子) 出川哲朗 エド・はるみ(江戸はるみ)
風俗考証 林美一
製作 野村芳太郎
◎劇中の架空映画
娘心十八の春 藤見芳子主演 飯田二郎 大日向傳 田代眞 奈良?? 大津?子
母ひとり子ひとり 緒方保次郎監督
父・何処 小倉金之助監督
眞実の春
モダン籠の鳥
与太者と脚線美
霧の中の愛
東京の女
◎ポスター
白き処女地(ジャン・ギャバン)
巴里祭
◎書籍
マルクス兄弟の世界
◎出勤用の名札。判読可能なもののみピックアップした。
監督助手 石川和靖 佐藤武 北村昭彦 猪俣廣 根岸濱男 富田時郎
企画部長 岡田實
館邊菊江 宗本英男 小阪文男 萩原耐 高原富士郎 豊田四郎 吉村公三郎 田中時夫
山本薩夫 松井久夫 佐々木康 鈴木武市 盛野二郎
村木廣次 加藤健次
松村清四郎 磯野利七郎
奥野又三郎 加藤徳夫 阿川健司
◎その他見所
実物大セット。松竹橋。
◎本編とシナリオの相違点
井川時彦とのロマンス場面がカットされている。
監獄の大親分、安五郎が、マルクスの唯物論について一席ぶつ場面がシナリオにはあるが、映画にはない。続く、監獄に父親が島田健二郎を迎えに行く場面もカットされている。