(4日目) ジンジャーブレッドを探して #Xmasアドカレnote2019
幼い頃に海外に住んでいた私はイギリス人の家庭教師に英語を習っていた。
クリスマスの前には彼女とジンジャーブレッドマンを作るのが恒例だった。
ジンジャーブレッドマン。人型のショウガクッキーである。
複雑に絡み合うスパイスの強烈な香り。
なかなかに癖のある味だが私はそれを愛し、帰国後はなかなか出会うことのないその風味を恋しく思っていた。
2014年12月。
会社が入るオフィスビル1階、そこにスターバックスコーヒーが入居していた。元々スタバに通う習性はなかった私だが、私の右腕をつとめてくれていた後輩がスタバ好き、打ち合わせと称し昼休みや定時後に2人でスタバに通うのが毎日の楽しみとなっていた冬。
ある日クリスマスシーズンの限定ドリンクメニューが目にとまった。
『ジンジャーブレッドラテ』
これは、あのジンジャーブレッドの味がするラテだろうか。
注文してみよう。
後輩は私のラテをひと嗅ぎして、これ俺無理なやつです……、とこぼしていたけれど私は大満足だった。
これこれ、この飲む人を選ぶ、強烈なスパイスの香り。懐かしい。
先日スタバへ行く機会があり、そんなことを思い出しながら今年のクリスマスシーズンも販売されている『ジンジャーブレッドラテ』を注文した。実に5年ぶりの再会。
ひとくちすすった私は思った。
香りが薄い。刺激がない。
ジンジャーブレッドラテ、あなた、こんなに万人ウケする味でしたか……?5年前は、もっと尖っていなかったですか……?
ショックだった。
しょんぼりだ。
スターバックスのジンジャーブレッドラテはもはや思い出の味ではない。
(5年前に飲んだのはたしかに懐かしのジンジャーブレッド風味だったように思うのだけど。レシピが変わってしまったのか、私の記憶が美化されているのか。)
こうなったら自分で再現する。
KALDIで買ってきました。
スパイス、スパイス、スパイス、スパイス、インスタントコーヒー。
詳しくいうと、クローブ、ナツメグ、ジンジャー、シナモン(は元々うちにあったもの)、インスタントコーヒー。
マリナさん、自分でコーヒーを焙煎できるのにインスタントコーヒー買うんですか?って思いましたよね、マリナ通のそこのあなた。
自家焙煎愛好家だからこそインスタントコーヒーを買ったのです。
いま我が家にあるコーヒー生豆はグアリロバ農園スペシャルティコーヒー、果実味たっぷりの甘くて香り高い上質の豆です。
そんな最高な豆で淹れたコーヒーにスパイスをぶっこめるわけがないやないか!!
せっかくのコーヒー本来の香りに何も混ぜたくない。
ミルクでさえ入れるのを渋って、エスプレッソかアメリカーノでしか飲まないというのに。
フレーバーコーヒーのためにインスタントコーヒーを用意する、それは焙煎士の矜持です。
さて。作りましょう。
わあ、KALDIオリジナルインスタントコーヒーの粉さらっさら。
140mlにつきティースプーン1杯(2g)とインスタントコーヒーの説明書きにはありますが、エスプレッソをイメージして3倍ぐらい入れときますか。
そこにジンジャーパウダーを投入。どーん。
ナツメグも投入。
クローブも、クローブ、クローブ??
粉が売り場になかったんです。粒しかなかった。
買ったはいいけどどうしましょう。
とりあえずすり鉢で擦ってみました。
こんなもんでええかな。
クローブ入れまーす。
スパイシーでいい感じ。
お湯を少し入れて溶かします。
ここで甘味が入っていないことに気づきました。砂糖でいいかな。
湿気って角砂糖大に固まっている三温糖。
スタバのジンジャーブレッドラテみたいにホイップクリームを絞り出したいところですが買い忘れていました。(面倒だと思って、確信犯的に買い忘れました。)
かわりに温めた牛乳を用意します。
なぜかうちにあるミルクフォーマー。牛乳をモコモコにしてくれる器具。
しまいこんでいたのを出してきました。
泡だて開始2秒であふれた。
この子が優秀な泡だて器であることを完全に忘れていたの。
(次男が乳アレルギーのため長男には牛乳をこぼさないよう厳しく言い聞かせているのに、母は盛大にこぼしました。)
中途半端に泡立った牛乳は飲み干して(ふわふわ牛乳)大きめのコップ、少なめの牛乳で再チャレンジ。
2秒でここまでモコモコに。
スタンドにセットすると収まりがいいことに気づき、無駄にハンズフリーの状態で写真を撮ってみました。
これで延々と牛乳を泡だてられる。
スパイスたっぷりのコーヒーに泡だてた牛乳を注ぎます。
注ぐのが下手くそで盛大にこぼしました。激しい罪悪感。
(牛乳さんごめんなさい。しかし次男がお昼寝中に作ったのはいい判断。)
飲んでみます。
コレジャナイ感。
あ、そうだ、シナモン。入れ忘れてる。
半分ほど飲んでしまったけれど入れます。
ふたたび飲んでみます。
うん、やっぱりコレジャナイ。
違和感の元はなんなのか考えてみました。
・スパイスを入れすぎた(特にクローブ)
・甘味の種類が違う気がする(砂糖じゃない)
・脂肪分が足りない気がする(ホイップクリームは必要なのかも)
・というかクローブいらないんじゃないか
クローブいらない、たぶん。
うわーん、せっかくのクリスマスドリンクエッセイ、綺麗に完成させて文章にしたかったのに!
完敗です。
※ 後日、クローブ抜き/ジンジャー少なめ/ナツメグとシナモンは量キープ/甘味にはメープルシロップを使ったところ、それなりに近いものができました。あとホイップクリームをプラスすれば、かなり再現度が高くなるのではないでしょうか。
食べ物は無駄にしたくない私。残った粒クローブをどう使おうか。
ふと小さい頃にクリスマスの絵本で読んだ「クローブをりんごに挿す料理」を思い出しました。それだ。
しかし詳細が思い出せない。ググりましょう。
『クローブ りんご 挿す』検索。
フルーツポマンダーというのが検索結果に出てきました。
きみ、そんな名前だったのか。
そして料理じゃなくて、香りの置物(魔除け)だそうです。
画像検索してみました。うわぁ、これ、うわぁ……。
※ 見ちゃダメ
フルーツポマンダーを作る気にはなれず、かといってクローブを無駄にはしたくない私。
所在ない気持ちを抱えながらクローブをくんくん嗅いでいたら、クリスマスにまつわる記憶があらたに蘇りました。
大阪・梅田のスカイビルのふもとに展開されるドイツクリスマスマーケット。
友人たちと練り歩き、砂糖をまぶした焼きアーモンドをみんなでつまみ、寒いね、と口々に言い合ってグリューワイン(ホットワイン)で暖をとったあの冬。
クローブの香り、あれやん、グリューワインの匂いやん。
うわー、懐かしい……。
かくなるうえはグリューワインを作るしかない。
私のクリスマスドリンク再現チャレンジはまだまだ続きます。
(つづく?)
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#Xmasアドカレnote2019 4人目はマリナ油森でした。
さて、明日は誰でしょうか。
マリナ油森の次でしょ。言わなくてもわかるよね?
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