小金井市の陳述の内容が聞いてもわたしにはわからなかったので、一字一句テキストに起こしてみた

背景

 で、上記の総務企画委員会の中継動画がこちらのツイートで紹介されました。

 しかし、わたしは頭が良くないのか、どうにも陳述された方の話が理解できませんでした。
 そこで、10分少々の陳述について、一字一句テキストに起こしてみました。

陳述内容

 わたしは主に小金井市がイベントの後援をしている地域アニメーションの問題について発言いたします。

 昨年10月小金井市の地域アニメが始まると言う事で、その第一回を視聴したところ少女の体を性的に扱った内容に驚き、これは大きな問題だと思いました。放送を重ねるにつれ内容はエスカレートしていき、より看過できるものではなくなっていきました。

 アニメのキャラクターは主に中高の女子生徒でそれぞれに性癖があるように設定されています。

 豊満な体のキャラクターはやたらと胸が揺れたりはだけたり、もう一人はなにかといえば、その胸に顔をうずめたり、メンバー同士で下着を買いに行き、その試着室の様子にはショーツが床に落ちるシーンが描かれたり、一人が脱いだストッキングを他の一人が手に取って妄想したりします。
 トイレの中では便器に座っているキャラクターのスカートがなぜか床に落ちています。
幼児体型のキャラクターはスクール水着にストッキング姿でランドセルをしょっているシーンが描かれます。

 これらは少女同士の戯れのように描かれていますが、これは完全に男性からの性的な目線のもので女性の人権という観点からすると疑問を感じるものでしかありません。

Twitterではこの作品を性癖満載、偽装アイドルアニメと評したものもありました。

 問題意識を持った有志が集まり、市への要望書提出や苦情相談の申し立てをし、つい先日苦情処理の返答がありました。
 その内容はおおむね、わたしたちの要望を認めてくれるもので、文面からは試行錯誤の様子がうかがわれ、男女平等苦情処理委員の方々のご配慮にはお礼を申し上げます。

 その処理委員の意見の中に、ジェンダーに基づく性差別の慣行の打破をその基本理念としている市の基本的な立場に立ち、という言葉があります。
 性差別の慣行としてこの程度のことは性差別でも何でもなく、大した問題ではない、ちょっとした戯れじゃないか、冗談もわからないのか、といった感覚が、世間の中に現存していますが、その感覚も性差別の慣行と言え、それを打破することが市の基本理念として定められているわけです。
 そして、苦情処理の申し立ての結果では、次のように指摘することによって、女性の人権に対する市の姿勢が問われました。
 市が当該アニメの応援の姿勢を従前のまま継続することは、基本理念と異なり、結果として性差別を助長し、もしくは女性の人権を侵害するおそれがある状況を漫然と放置することになるものと考えると。

 苦情処理委員の意見を受け、小金井市も今後、地域活性化等の施策を推進していくうえで、男女平等や女性の人権に配慮し、事業の目的と効果およびその影響等についても、慎重に考慮し、施策の推進に努めてまいります、としています。

 表現の自由を理由に当該アニメに問題はないとする意見もありますが、わたし達が参考意見を伺った弁護士の方によれば、表現の自由は公共の福祉の範囲で制約を受ける、やってはいけない表現はたくさんある。表現の自由も法的な制約を受けるとのご意見でした。
 表現の自由はまずそのうえに人権への配慮があってのものだと思われます。

 市販に流通するものを今のわたし達が止めることはなかなかできませんが、公共の自治体がこのような作品に対してお墨付きを与えるような形になるという事は断じて認められません。

 苦情処理委員による返答が届く間にもわたし達は様々な活動をしました。

 当該アニメのキャンペーンの協力店を回ってみたところでは、アニメの内容を知らないというお店が大方でしたが、知っているという方でも、内容には疑問を持っている方が複数いらっしゃいましたし、知らない方に内容をお教えすると、おどろかれているかたもいました。

 今年三月、大きなイベントがあった際には、わたし達はパネルを掲げて、抗議のスタンディングをしました。
 一つのパネルにはこう書きました。
 小金井市は子供に見せられないアニメを活用した町おこしの後援をやめてください。
 一人の方はそれを見て、子供に見せられないアニメ、確かにと言って通り過ぎました。
 とある教育関係の方は、アニメのもととなるコミックスを見た段階で、これはアウトであると思ったという確かな話もあります。
 これらの声は市民の正直な感想だと思われます。

 市内の事業者が市民なら、わたし達女性も市民のうちの半分を占める市民です。女性の声には大いに耳を傾けてもらいたいものです。

 しかしながらこの人権侵害の問題は、女性だけのものでもありません。男性はこういうものだと間違った男性像を世間に広げることにもなりますし、当該アニメを見ても、全く関心を示さない男性もいらっしゃいます。

 そこで、男性の方にも協力を打診しましたが、ところがどうも、わたし達、女性が感じるものとは違い、男性からは頓珍漢な答えが返ってくることがありました。
これはきっと性被害に対する女性が感じる嫌悪感や、恐怖心がわかっていないことから来るものだと思われます。

 今年二月、東京都議会で痴漢被害アンケートの実態が報告されましたが、具体的な被害が読み上げられている間、議場は静まり返り、これほどの被害があったのかという感想がのちに男性の議員の方から聞かれたという事でした。

 2019年、父親から長年性被害を受けていた事件で、相次いで父親に無罪判決が出たことをきっかけに毎月抗議のフラワーデモが行われるようになり、それまで被害を受けてきた実態や苦しみを口にできなかった多くの女性が声を上げるようになりました。
そこで語られる苦しみは、心と体に及んで、一生涯続いている物でした。その被害は女性に限ったものではなく、少なくない数の男性にも及んでいます。
 それらの声に男性の方々にも耳を傾けていただければ、わたしたちが訴える気持ちもわかってもらえるのではないかと思っています。

 国連の女子差別撤廃委員会は、日本に対して、女性に対する強姦や性暴力を内容とするテレビゲームや漫画の販売停止を要請しています。

 Twitterで流れてきた動画では、日本のダッチワイフ工場を外国人ジャーナリストが取材したものがありました。その工場では、女子の形をしたものが量産されていて、ジャーナリストは悲しげな面持ちでそれを見つめていました。

 変態、痴漢という言葉もそのまま海外で通用し、日本では痴漢に気をつけろと、ガイドブックに書かれているそうです。
 コンビニのポルノ雑誌も、日本の女性団体から撤去の要請があり、オリンピックもあるという理由で近年になって撤去されるようになりましたが、海外から見れば、日本は町中にポルノがあふれている国です。

 教員のわいせつ行為を無くすための法律が今年5月に成立しました。法律を作らなければならないほど世の中には教師による性犯罪があふれているようです。
 そのほかにも少女や女性が性被害にあうというニュースが、毎日のように流れるたびに、心や体に一生の大きな傷が残る女性が増えているのだと思うと、わたし達はいたたまれません。

 東京都議会の、痴漢被害のアンケートでは、被害は公共空間の、あらゆる場所で起きていると語られました。痴漢に気をつけろと女性達に言う前に、一般の人々にもそうですが、主たる加害者となる多くの男性にジェンダー意識を持ってもらう事が性犯罪をなくすには不可欠だと思います。

 陳情書にも書いたように、今年3月発表の日本のジェンダーギャップ指数は、156か国中120位という不名誉な位置に甘んじ、世界からは日本は人権後進国と見られています。しかし先日終了した、東京五輪では、五輪組織委員会会長であった森喜朗氏の女性蔑視の発言により、氏は会長辞任へと追い込まれました。そのことにみられるように、日本でも男女平等への動きは着実に進展しています。

 最後に、小金井市男女平等基本条例に基づく、第三者機関である、苦情処理委員による報告や処理委員の意見を受けた小金井市長の、様々な機会をとらえ男女平等の理解を進めてまいりますという見解を重く受け止めていただくよう強く要望し、陳述を終わります。

感想

 これ聴かされるほうも大変だなっていうのが正直な感想です。
 このアニメを市として後援することの是非判断を求めることがこの陳述の主旨だと思うのですが、それ以外の、いかに女性が差別されているかを寄せ集めたものが大半だからです。小金井市に関係あるものとは思えません。
 とはいえ、このような陳述に対しても、この後粛々と議論がなされており、またこの議論を動画で公開するというのは大変良いことだとは思いました。

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