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僕はただ青空を見に来たわけではない。 / エッセイ
大学4年生は卒業研究で毎日が忙しい。研究内容を考えたり、ロボットの世話をしたり忙しい内容は様々だ。
冬に入り始めた頃から、広いスペースを使って研究することが多くなったため、研究室のメンバーが誰一人いない広い部屋で作業することになった。あたりには電子基板や工具に溢れており、パンと手を叩けば乾いた音が鳴り響く。
4年生に上がる前から卒業研究の時期は友人やら人とは合わなくなるとは聞いていたが、もはや自分以外誰一人いない環境での研究は、精神と時の部屋にずっといるようなものではないか!(ドラゴンボールは読んだことない)1日に目にする他人はもはや通行人ABC程度の存在しかいない。孤独により研究作業に集中できていいのだが、ふとした瞬間に誰かとコミュニケーションをとりたくなる時が現れる。
誰かとお茶でもしながらガジェットの話や夜の性事情話で盛り上がりたい
僕が居住するつくばでは、街を歩いていると時たま主婦らしき人たちが公園で井戸端会議しているのを目に入るが、この交流欲求はそんな主婦たちの会議のモチベーションに似たものだろうか?
『ねぇ奥さん、今朝のニュース見た?HHKB(変態キーボード)の新作が出たってよ!』『あらっ!そうなの!?どうしよう私ずっとメカニカルキーボード(赤軸)使ってていつか静電容量無接点のものにしたいなぁって思っていたんだけど、今が買い時なのかしらぁ』
そう、こんな会話が今はしたいのだ。
そうと決まればパソコンをスリープし、メンバーがいつも研究している部屋に向かおうと足を運ぶが、研究室のドアの前に立ち止まってしまった。
どうやってコミュニケーションを始めたらいいんだ?
大抵世間話をするときは自発的に発生する。例えば、メンバー同士の休憩タイムがちょうど合わさったとき。研究中思わず目線があってしまったとき(恋心はねぇぞ)。僕はただただ交流したいだけなのだが、その目的が先行してしまうと絶対声かけられた相手は警戒してしまうだろう。
しまった!どうやって会話したらいいんだ?部屋に入るのはいいけど、その後どうする?『ごきげんよう、今日もいい天気ですね』ごきげんようなんて普段使わん!。『あの...会話でもしませんか?(ここで可愛いエクボを見せる)』思春期中学生全盛期少年かっ!こんなことメンバーに言っても「お、おぅ...」と引かれるに違いない。
あーでもない、こーでもないとドアの目の前でうろたえていると、廊下を歩く通行人Aが不審そうな顔でこちらを見ていた。まるでその顔は『早く入れや、誰か知らんけど』と言われているような気分。
その圧力もあり、結局何も思いつかないまま部屋に入ってしまった。
ガチャリ
あ、みなさまお疲れ様でぇす...
『『『...お疲れ様でーす............』』』
部屋に入ってみると、みんなパソコンに向かいひたすら研究している様子。冬の乾燥シーズンがこの部屋にも影響しているのかってぐらい声をかける状況ではなかった。まぁ、研究室で研究しているのは当たり前なのだが、僕に交流欲求があるいま、いつにも増してみんなの背中が『交流NG!』と語っているように見えた。
とりあえず立っているのもなんだから空いている椅子にトンと座る。
トン...。
研究室を見渡すとそこには、必死にノート(iPad Pro第2世代)に計算機を書いている人。キーボード(静電容量無接点のいいやつ)がもうぶっ壊れるんじゃないかというぐらいタイピングしてプログラムを書いている人。う〜んと言いながらディプレイと睨めっこしている人。研究室の先生とミーティングをして議論に夢中な人。そんな人たちが存在。
いかん、さっきの通行人Aよりこの部屋のプレッシャーが半端ない。
誰に声をかけるというわけでもないため、視線の先が定まらない。時計をひたすら見たり、今月のカレンダーを眺めたり。迷う視線は次第に窓から望める青空に定まっていた。青空の群集。雲の行進。木々のダンス。カラッと晴れた冬の天気は見ていてすごく心地がいい。そんな天然のスクリーンセイバーを30分も見た後、流石に帰るかと思い、コミュニケーションを諦めて部屋を後にした。
ガチャリ
...
...
...
今日、天気よかったなぁ
...
...
...
...
ふぅ
研究の続きするか。
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#Tonali #エッセイ #コミュニケーション #交流 #研究 #HHKBの新作キーボードが欲しい欲しい