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無慈悲な小学生たち〜ショウちゃん編〜

小学生の頃にミニバスをやっていた。
ミニバスとは通常のバスケットよりも少し小さいコートでボールも小さめのボールを使用する、小学生用のバスケットのことだ。

僕の小学校は人数が少なかったので大会に出る人数に満たなかったため、怖い先生から勧誘を受けて断れずにミニバスのクラブに参加することになった。

たしか小学校4年生か5年生だったと思うが、僕らの年代は僕含めた助っ人が参加するまで3人しかミニバスのメンバーがいなかった。その3人のうちの一人がショウちゃんだった。

小学校というのは普段の学校生活では自分の家と他の家の経済格差がさほど気にならないような構造になっている。

みんな同じ給食を食べて、僕の小学校は制服だったので同じ服を着て、同じ教科書で勉強し集団生活を送る。
ただこれが放課後や学校外になると小学生ながらに経済格差を実感することがある。
一番実感するのが家に遊びに行った時である。大きい家やタワマンに住んでいる友達は家がお金持ちなのが容易に想像できた。

ミニバスの練習は放課後にある。一回家に帰ってから練習するのだが、各々みんな保護者から飲み物を渡される。
スポーツの定番はアクエリとかポカリとかだか。僕は粉入りのボカリをよく飲んでいた記憶がある。

ある日、T君がショウちゃんに水筒の中身を訪ねたことがあった。

T君「ショウちゃん飲み物って何?」

ショウ「ん??水」

ショウちゃんの家には入ったことはないが確か団地に住んでいた。
大人になった今だから分かるけど、家は裕福ではなかったと想像ができる。

今なら、水筒の中身が水だったら特に詮索はしないが、ただ小学生はバカで無慈悲である。

水筒の中身が水、僕はちょっとツボってしまった。

そしてショウちゃん以外の全員がちょっとツボってしまった。

僕らはバスケの練習の休憩中にわざわざショウちゃんのところに行って水筒の中身を確認する。(ショウちゃんほんとにあの時はゴメン) 

T君「ショウちゃん今日の水筒の中身は何?」

ショウ「水」

このやりとりが定番になり練習がある日は毎回続けていた。

ただショウちゃんも露骨に嫌がったりはせずに「またお前ら来たのかよ」みたいな感じだった。

そんなある日、いつも通りバスケの練習をする僕らに衝撃の出来事が襲う。

僕「ショウちゃん、今日の水筒の中身なに?」













ショウ「牛乳」







全員「牛乳!!!!???」



水分補給の手段として、アルコールを除けば一番と言っていいほど程遠い飲み物である。

文章にすると「牛乳」だが、ショウちゃんの言い方はどちらかと言うと


「ギューニュー」であった。


あのショウちゃんの勝ち誇った顔を大人になった今でも僕は忘れない。

ちなみにその牛乳は氷入りだった。

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