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友人のひとことから考えたこと
「いい指導者じゃなかったってことは、つまり合わなかったってことだよね」
家に帰ってからふと彼の言葉を思い出した。なんでもない一言だが、考えさせられるものがあった。
2024年10月21日の昼
以前から行こうと決めていたカフェに友人二人と訪れた。名前は「03 slow cafe」
主にパスタやピザといったイタリア料理を提供しており”カフェ”というよりはイタリアンレストランといった感じのお店である。とはいえ店内はカフェらしいデザインで、最近できたばかりなのに満席だったのはその店内の雰囲気に人を惹きつける何かがあるからかもしれない。
真っ白の壁と明るく温かい色の木材でできたテーブルが並べられた店内には、老若男女問わず多くの方が食事と談笑を楽しんでいた。
私は三人の中で一番初めに到着し、友人二人はそれぞれ「便意が…」「服装が決まらぬ…」と、遅れてくることになっていた。
店内は満席だったため彼らの遅れも特に気にせず、お店の方に「後で二人来ます」と伝え、入口のそばで待たせてもらうことにした。しかし、店内にいた女性二人が「こっちに移るんで、席空けれますよ!」と言って下さり、先に店内に入らせてもらうことになった。
店内に入ると、先ほど対応してくれた店員さんと厨房でフライパンを振るう二人のみが働いていると分かった。夫婦だろうか。営業時間も夕方ごろに一度お店が閉まるため、もしかしたらお子様のお迎えや家事をする時間を設けているのかもしれない。
店内の一番奥の席に向かうと、隣に座っていた女性二人に「席、ありがとうございます」と一礼した。すぐさまワイングラスのような形のグラスに入ったお冷が一つとメニューが一冊置かれ、とりあえず目を通すことに。
「ランチセット1,660円」
「ピザセット1,400円」
などなど…
ランチセットはパスタorリゾットにサラダ、パン、ドリンクがついてくるらしい。この日の朝は大学で授業を受けていたためまだご飯を食べておらず、そのままお昼になってしまったのでしっかり昼食をとりたい気分だ。
「パスタ大盛り +110円」
「. . .!!!」
よし、ランチセットに決まりだ。
その後パスタを何にするかを選ぼうとメニューをめくっていると、友人のうちの一人が店内に入ってきた。
「すまねえ、遅れやした」
「いやあ、ええでええで」
彼を友人Hと呼ぶことにしよう。
彼と私はお互い静岡出身だ。京都の大学に入学してまだ間もない頃から仲良くしている。もう三年以上の付き合いだ。最近は私の影響もあってかUSJでアルバイトをしている。
彼は先日彼女と韓国旅行を楽しんでおり、そこで買った秋冬向けの服を着て来たかったそう。しかしまだまだ秋にしては暑い日々が続いており、迷った末に断念したらしい。
「めっちゃ暑ない?」
「そやねん、空気は冷たいけど日差しがな」
二人とも変に移った関西弁がたまに出る。
その後もう一人の友人Kも到着した。
彼は石川県出身。便意が急に襲って来た方の友人であり、Hと同じく彼女がいる。Kは先日彼女とデニムオンデニムのペアルックコーデをして京都を散策していたそうだ。
二人とも顔が淡麗で、ファッションセンスも高い。さらには教職まで取っており就職することも決まっている。
私はといえば、彼女はいない。
🍸バーのお話
それぞれがランチセット(もちろん大盛り)を注文すると私の話からスタートした。テーマは「最近始めたバイトについて」
今からおよそ二週間前、私はバーでのバイトを始めた。
そのバーを知ったのはもう二年ほど前のこと。当時大学二年生だった私は食事付き、新築、駅近の学生マンションに住んでいたが、家賃が高すぎるという点から引っ越すことにしたのだ。
引越しは父が静岡からミニバンで来て、そこに荷物を乗せて引越し先まで運ぶという形をとった。その後、予想以上に早く引っ越しが終わったため二人で夕食を食べることにした時のことだ。
先斗町(ぽんとちょう)の駐車場に車を止め通りを歩いていると、裏路地に入る小路の向こうに月の光が見えた。そしてその下に同じく温かい黄色の光を放つ小さな丸看板がひょこっと見えたのだ。寒さを感じさせる冬の真っ黒な空に浮かぶ月のように、冷え切ったコンクリートの壁から顔を出しているその看板に何か惹かれるものがあった。
![](https://assets.st-note.com/img/1729654065-foKqgUV8dXj4PmLQ31luFGS2.png?width=1200)
すぐさま調べるとそこがバーだとわかった。海外客が多く訪れているらしいそのバーの名前はとある虫の名前だったため強く記憶に残っていた。しかし当時既に成人を迎えていたもののバーはまだ似合わないと考えていた私は、その後四回生になるまでそこに入らずにいた。
ついにそのバーに入ったのは、当時第一志望だった会社から最終面接の不合格通知が届いた日の夜のことだった。
その日はとある話の流れから、親戚の叔父さんと京都でご飯に行くことになっていた日でもある。
合流すると始めに肉鍋が有名な店に入った。豚足や豚の煮込み、野菜がもりもりに入った肉鍋にはつくねや水餃子も入っていた。美味しいものを食べるとだんだん不合格通知の傷が癒やされていく。
叔父さんにはそこで最終面接に落ちた話や転職の話、そこからさらに”生き方”の話なんかもした。
「ちょっと寄りたいところがあるんだけどどうかな?」
肉鍋料理屋を後にした叔父さんがそう聞いてきた。明日はUSJでのバイトがあり、朝の5時半には起きていたい。しかし、時にこういう時間も必要だ。思考を悟られないよう私は二つ返事で答えた。
そしてその「寄りたいところ」こそがそのバーだったのだ
驚きと興奮、初めてバーに入ることへの不安と、初めてのバーが憧れていたあの黄色い看板のお店であることへの興奮。お店のドアの前で思わず
「こ、ここ!前々から気になってたんです!!!」
と大声出してしまった。バーのお客さんとしてはこれまた不合格である。
店内は洞窟かのように凸凹した壁面に包まれていた。オレンジ色の光が薄暗く空気を照らしほんのり温かい。叔父さんを見るなりカウンターにいたマスターが無言で空いている席に指を刺した。「おぉ、叔父さんここの常連なのか…かっけえ!!」と、私の興奮はおさまるところを知らない。
店内にはやはり外国人が多くいた。というか、外国人しかいなかったかもしれない。メニューを開くとそこには知るわけもない名前のカクテルが数十種類書かれていた。こんなに記憶力がいいのはここのマスターと地元の駄菓子屋のお婆ちゃんくらいだと思う。
私はストーンズバックを注文した。ものすごく美味しかった。ピリッと刺激のあるジンジャーと甘い芳醇な香りが最高のバランス感だった。
さまざまなお話をマスターや海外からのお客さんとしたのち、ふと叔父さんが
「ここで働いてみなよ」
と言った時にはびっくりした。一瞬聞き間違いかと思ったが、それに対しマスターが
「あぁ、いいよ、いつでも来な」
と答えた。
こんな機会はなかなかない。「就活が終わったらお電話させていただきます」と喜びが溢れまくっている顔で答えた。
カクテルを飲むと一口目よりもジンジャーの甘味が強く感じられた。
🍕友人との会話
![](https://assets.st-note.com/img/1729657308-rUsxpTlmfcvDMVhBdRz4AXyJ.png?width=1200)
次に生姜のピリッとした刺激と甘さを飲み込んだのはまさに「03 slow cafe」でのことだ。セットドリンクでジンジャーエールを注文した。バーでのバイトについて話がはじまった。
K「どうやったん?バーバイト」
H「…」
私「んーえいぐいっすわ」
K「おお」
私「いやー、二日目だったんやけど、めっちゃ酷いこと言われたんよ、なんつーか、お前がおると店の評価が下がる、的な」
H「帰りめっちゃ疲れてたよな、顔笑」
私「うん笑」
H「たまたまさ、俺とこいつ帰りの電車が一緒になったんよ、俺がユニバ帰りで忘れ物して終電で帰ることになって、こいつもバーが終電までやからさ」
K「あーなるほど」
H「なんだっけ?なんかあれよな?マスターとしてはいい人なんだけど、みたいな」
私「そうそう、マスターとしてはいい人なんよ、接客とかもちろんカクテルもうまいし」「でも、その場で覚えろ系の指導で『ビアグラス取って』とか言われてもどこやねんってなるやん?」
K「あぁーそうやな」
H「なんか開店前に教えてもらうとかなかったん?」
私「うん、1日目は10分前に来いって感じで、二日目は30分前に来てって言われたから指導してもらえるかと思ってたんだけど『そこで座ってて』って」
K「えぇ、それ試されてたんちゃう?笑」
私「そう!それは思ったんよ、でも『そこで静かにしてて』って言われたもんだから、んねぇ、そりゃもう、」
H「そっかあ、それえぐいな」
私「そうなんよ、なんというか、マスターとしてはすごいんやけど、指導者としては全然いい指導者じゃなかったって感じよ」
K「なるほどね、いい指導者じゃなかったってことは、つまり自分には合わなかったってことだよね?」
私「そう!合わんかったんよ」
その時ふと、この前三人で遊んだ時に友人Kが「あんまり人の嫌な話しても気持ち良くないよな」と言っていたのを思い出し、
「んまぁ!この話はそんな感じ笑 今のとこ続ける予定ないかも!」
と話を切り上げた。
その後美味しい魚介とバジルのペペロンチーノ(大盛り)とやたらドレッシングが病みつきになるサラダ、小麦香る自家製パンとチャイのパンチが効いた自家製ジンジャーエールを楽しんだ。
会話の内容はHの韓国旅行の話やKの誕生日旅行の話、クリスマスプレゼント何にしようかといった話をした。
🚿友人のひとことから考えたこと
![](https://assets.st-note.com/img/1729669197-kgZjLdAK9Fri6m0BJ8f4t3Qy.png?width=1200)
その日の夜、シャワーを浴びながらふと友人のあの言葉を思い出した。
「いい指導者じゃなかったってことは、つまり自分には合わなかったってことだよね」
最近私はとある習慣をやめた。それは風呂でシャワーを浴びながら大好きなVaundyやカネコアヤノ、藤井風などの音楽を流すというものだ。
とある理由で私は今早寝早起きをするよう心がけており、夜8時以降は電気を暗くしスマホは見ないというマイルールを設けている。風呂にスマホを持っていかないのは、その後惰性でスマホを触らないようにするためである。
音楽はいつでも聴けるが、早寝をするのはその時でないとできない。
副産物として、音楽に乗らない分自分自身から湧き出る「思いつき」や「思い出し」を拾う余地も生まれた。
そして今回はそれが、彼のひとことであった。
思い出したのと同時に「私はなんてことを言ってしまったのだろう」と思った。
そして同時に、「あいつ(友人K)はなんて素晴らしいのだろう!!」とも思った。
彼は「客観」を「主観」に修正したのである。
私はマスターを客観的に評価するような口調でものを言ってしまった。
感想と評価(事実)が混同してしまった。
彼がいい指導者なのか悪い指導者なのかは私によって闇雲に評価されることではない。私は被指導者の一人でしかない。
人によっては「見て学べ」「座学なし」という指導法が合う人もいる。それなのに私はまるで自分の主観を客観的な意見であるかのように話していたのだ。
「いい指導」と「自分に合う(好きな)指導」は別物だ。
そして友人Kはそれをサラッと言い直したのである!!
私は彼ら二人と同様、三回生まで教職科目を履修していた。そこで良い教育方法やよくない教育方法を学んできた。そしてマスターの指導法はどちらかといえば「よくない教育方法」であった。とはいえ、今私は教育について学んでいない。
中途半端に養われた教育についての知識をもとに、彼を批評していた自分が恥ずかしく、後悔した。
あの日、初めてそのバーを訪れた時の感動は本物だった。マスターの接客もピカイチだ。店内の雰囲気はお客様によって作られ、彼らの気分を心地よくしていたのはマスターだった。まず、そんな彼から指導してもらえたことに感謝することから始めるべきではなかったのだろうか。
現在、この世界でもこうしたことは起きているように感じる。
「あんたのことみんな〜だと思ってるよ」
そんな些細な言葉がいじめに発展したりする。
「あの宗教は間違っている」
そんな小さな考えの違いから戦争が生まれたりする。
「私はあの人が苦手」
とか
「あの宗教よりこっちの宗教の考え方が好きだ」
とか
それらは主観(好き・嫌い)の問題であって、客観(良い・悪い)と混同してはならないものだ。
時には客観的な会話が必要になることもある。
「それってあなたの感想ですよね?」
なんて言葉が流行ったくらいだから。
しかし、私たち人間は感情を持っていて、そこから生まれる感想も私は大切にしたいと思うのだ。
と、
今
こ
れ
を
書
い
て
い
て
ふ
と
気
づ
い
た
こ
と
が
あ
る
。
「noteって『♡いいね』じゃなくて『♡スキ』じゃないか!!!!!」
こりゃびっくり笑
誰かが書いた記事に対して「いい」とか「悪い」とかではなく、「(私は)スキだ」と応えられるのである!!!
と言うわけで
「友人のひとことから考えたこと」は「noteすげえ」でした笑笑
ここまで読んでくれた方。私的にはかなり読むに堪え難い文章量なのですが、読んでいただきありがとうございました。もし、この投稿を読んで共感したり面白いな、好きだなと思ったら「♡スキ」してくれると嬉しいです。
前回の投稿から一ヶ月ほど開いてしまいましたがこの先もちょくちょく投稿していくので楽しみに待っていただければと思います!
ありがとうございました。
そして、サンキューマイフレンズ。