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京都の魅力は寺でも川でも喫茶店でもない

こんにちは。となりに大学生です。


皆さんは京都の魅力、京都の有名なものというと何を思い浮かべますか?京都に住み始めるまでの私は真っ先に「お寺!」「抹茶!」となっていました。

しかし、実際に京都に住むようになるとなかなか「お寺に行こう!」「抹茶を飲もう!」とはならないもの。

それでは、
「京都に住んでいる人たちにとっての京都の魅力とはなんでしょうか?」

今回はそんな
京都が持つお寺以外の魅力、そして”本当の魅力”について語ってみたいと思います!



<つながり編>

🏞京都を流れる大きな川


冬の鴨川

京都には鴨川という川が流れています。鴨川は上流から途中まで二本の川で、それらが出町柳というところで一本に合流します。そしてその合流地点は「デルタ」と呼ばれ、近くにある京都大学をはじめ京都芸術大学や同志社大学など様々な大学の人の憩いの場となっています。

もちろん、そこに来る(もしくは集まる)のは大学生だけではありません。デルタ付近の鴨川は比較的浅く、夏には水遊びをしに来る親子や花火をする若者で賑わいます。川を渡れるよう置かれた石の中には亀の形をしているもがあり、彼らはこれまで子供等やカップルの足元を支えてきました。

そんなデルタには老若男女を問わないことはもちろん、ここには多様な国籍の方々も集まってきます。

以前デルタを散歩している時には海外の方が一人でクラシックギターを弾いていたりもしました。ここではその話について少し触れたいと思います。


🌅つながりの場「デルタ」

その日は遅い時間に起きてしまい、なんだかなんとも言えない罪悪感に苛まれそうだったので、一冊の本とファミマのコーヒーを手にデルタへと向かいました。

半袖と長袖、どちらを着るのか悩む気温。だんだんと夕暮れがオレンンジではなく紫になっていく季節。この日は天気が良かったので本を読みながらアイスコーヒーを飲んでいました。

デルタから西の方に体を向け、太陽が沈んでいくまで本を読むことにしました。

読みはじめて一時間ほど経った頃でしょうか。ふと柔らかな音が聞こえた気がしました。スイスの木造の小屋に薪を燃す暖炉があり、その暖炉のある部屋に置かれたレコードがあたたかく鳴っているような、そんな音がどこかから聞こえました。

居心地が良かったためか、逆にその音の鳴る方を見ずにBGMのようにして本を読み続けていたのですが、ふとその音のする方から誰かの声が聞こえてきました。

「Hi, excuse me?」

私は流石に気になり、顔を上げました。

視線の先にはクラシックギターを持った外国人と彼に話しかける一人のおじさんがいました。大きな黒縁メガネをかけた外国人は半袖のTシャツを着ていて、驚く表情ひとつなしに真っ直ぐな目でおじさんの方を見ていました。

「It was amazing. Actually, I'm a photographer」

なんだか幸せになれる写真

拙いながらも人柄の良さが滲み出た英語で話をするおじさん。彼の手には立派な一眼レフが乗っていました。この時はまだYouTubeやTikTokでストリートスナップが流行っていない時でした。そのおじさんはただ、京都にいる「素敵だな」と思った人と交流し、写真にとるということを楽しんでいるのです。

元々動画や写真を撮るのが好きだった私は、おじさんが外国人のギターを弾く姿を撮っている姿に釘付けになり、いつの間にか本ではなくその二人に視線を向けていました。

美しい音色、真っ直ぐな目で遠くを見つめながら演奏するギターの男性、真剣な眼差しでカメラにその姿を収めるおじさん。さらにその二人の向こうには鴨川が流れ、だんだんと落ちていく太陽の光が水面に反射して煌めいていました。

「なんだこの景色、映画のワンシーンみたいだ。」

いてもたってもいられません。
私はタイミングを見計らって声をかけることにしました。

「すみません、」

そおっと声をかけると、おじさんが豊かな笑みと共に挨拶をしてくださり、ギター奏者の方も真っ直ぐな目で笑顔をつくりました。

「お二人の姿がまるで映画みたいで」

そういうとカメラのおじさんが

「君、さっきまであそこで本を読んでました?」

と、話が続いていきました。

実は私が読んでいたのは洋書で、ギター奏者の男性から少し読ませてほしいと頼まれました。彼は本が好きだそうで、日本の文学についても知っていました。夏目漱石や森鴎外といった長く愛されているものは読んだそう。さらには日本の映画にも興味があるといいます。

「黒澤明が好きだ」

とギターの男性は答えました。
黒澤明か…正直あまり彼については知らないのですが、その年代のものに興味のある方なんだなと気づきました。

カメラのおじさんはいつの間にか少し離れたところから私たちにカメラをむけていました。本当に人と写真が好きな人なんだなと感じました。

最後、私から
「ギターの男性と彼の写真を撮っているあなたの動画を撮りたいです」

というとてつもなく奇妙な提案をしました。
それはまるで、

「金木くんがッ!食べながら、金木くんをッ!食べたい、そうしたい!!」

と興奮している東京喰種の月山習みたいなお願いだったと思いますが、二人は快く受け入れてくれました。

カメラのおじさんは「蒼樹そうじゅ」というお名前でブログもやっているそうで、私が載っているブロブページをこちらに載せておきますね。

京都のデルタ、そして鴨川にはそんな人や文化が多くあります。お寺だけでは知ることのできなかった「京都の魅力」にきっと触れられることでしょう。


だんだんと京都が持つ「もうひとつの魅力」が見えたきたのではないでしょうか。鴨川やデルタには本や楽器、子供や自然を愛するありとあらゆる人が集います。

そして、そんな「人」が集まるもう一つの場所があります。喫茶店です。


<出会い編>

☕️京都と喫茶店


川に続いて次は喫茶店、どちらも「どこにでもある」と言えばそうなのですが、京都はかなりのコーヒー大国のなんです!(国じゃないけど)

実は−と言っても有名な話かもしれませんが−京都はコーヒーの消費量が47都道府県のうちでナンバーワンです!さらには喫茶店が愛知県から四国地方にかけて多く分布しているというデータもあったりします。

もちろん調査の年や調査方法等によっては京都が一位でないことがありますが、京都とコーヒーに深いつながりがあるということは確かです。


そして、京都とコーヒーを語る上で欠かせないのは「喫茶店」の存在です。


ここから先「珈琲店」「喫茶店」「カフェ」など様々なコーヒーを扱うお店が出てきますが、ごめんなさい、それらを総称してここでは『喫茶店』と呼ばせていただきます。(おすすめの喫茶店3選の最後はカフェと呼んでますが、気分です、すんません😇)


⛩ちょっぴり京都の歴史について


京都は古くから人々に愛されてきた場所です。ある時には京ができ、多くの人たちで賑わい、様々な文化や歴史を生み出してきました。やがて大学が多く立ち並ぶと、学生の街としての顔をも持つようになりました。

そして京都とコーヒーの関係はそうした歴史の中で構築されていったと言っても過言ではありません。

コーヒーはカタカナで表記されるように、日本で生まれたものではなく海外から運ばれてきたものです。

それまで日本(特に京都)では緑茶や抹茶の文化がありました。室町時代の京都において、京都の室町というところに幕府が置かれたことにより京都は大盛況でした。そして、そんな室町時代に現在の喫茶店の源流とも言える「一服一銭(いっぷくいっせん)」という茶屋が誕生したのです。そしてそうしたスタイルの茶屋は、旅や幕府まで訪れた人々が文字通り”一銭で一服できる場”として次第に広がっていきました。

明治時代には明治維新の影響もあってか、「お茶」ひとつとっても緑茶だけでなく、紅茶やその他洋風の飲み物を提供するように変化していったそうです。

その後、大正・昭和にかけてコーヒーやアルコールが提供されるようになったり、メイドのような形式のものが出てきたりと、多様なスタイルの喫茶店が生まれていきます。そして、その中でアルコール等を出さない”純喫茶”というジャンルが生まれました。


うん、なかなかおもろい…!!!


この時には幕府や政府が東京方面にも進出しているため、もはや京都だけにとどまらず、日本全国に喫茶店は展開し始めていきます。


では、京都で喫茶店が愛されている理由はなんでしょうか?


その理由の一つは、京都が学生の街であるという部分に隠されています。

先ほどちらっと紹介したように、京都には様々な大学が立ち並んでいます。そしてそれは「多くの学生や教授がいる」ということでもあります。

京都では昔から学生同士が授業の内容や課題について話し合う場として、教授が他の教授と研究について語らう場として、はたまた、出会いの場として喫茶店が大変愛されてきました。

そのため、京都には歴史ある喫茶店が多く存在しており、その喫茶店の内装やメニューを見ることは”お寺を観光することと同等、もしくはそれ以上に”京都を楽しむことにつながるのです!


🍮観光地としての喫茶店


さらに面白いのは、京都の喫茶店は「人」も変わっていないという点です。

京都のお寺を例に出すと(ダメ出ししたいわけではないですが)当時と同じように人々が参拝している姿を見ることはほとんどありません。

また、今や入館料・参拝料として500円前後を取られることも少なくありません。かつての「本来のお寺の在り方」とは異なり、役僧さんや衆徒さんは受付でせわしなく入館料の受け取りを行っています。

残っているのはお寺そのものであって、そこから当時の京都を知るとこは至難の業なのかもしれません。


そしてそれらをめぐることが果たして「京都観光」と言えるでしょうか。


私はその代替案として「京都喫茶観光」を打ち出したいと思います。
京都の喫茶店では、変わることのない京都を感じることができます。

変わることのない、というと少々大袈裟かもしれません。少し逆説的ですが、私にとって京都の喫茶店は「変わっていく時代と変わっていく人々が変わらず集う変わらぬ場」です。

「相変わらず変わり続ける人」

そして彼らが集う喫茶店という場は、京都の今と昔を知ることのできる大変魅力的なものではないでしょうか!!!

と、いうわけで、三つほど厳選した私のおすすめ喫茶店をご紹介します!!!

なお、思わず行きたくなるような<エピソード>を添えているのでそちらも是非楽しんでいただきたいです!


☕️☕️☕️おすすめの喫茶店3選☕️☕️☕️


コーヒー~友人の左手を添えて~


☕️『六曜社珈琲店』

まず初めに紹介するのは六曜社珈琲店です。ここは京都の歴史ある喫茶店の代名詞と言っても過言ではないほど、京都を代表するお店です!

↓こちら、六曜社のインタビュー記事になります

ここは一言で言うならば
「迷ったらここ!」
です。

店内は地上一階と地下一階に分かれており、外にある階段を使って地下に行けます。深い茶色の木壁と変わった緑色のタイルが貼られています。場所は三条河原町。大通り沿いにあるので一見見つけやすそうですが、なんせひっそりとした佇まいなので、いつの間にか通り過ぎてしまいそうになることが未だにあります笑。注意深く探してみてください!

店内はほんのり薄暗く、かつ暖かい照明が照らしています。何年も、そして何人ものお客さんに使われてクタクタになったソファや、置いた肘に自然とフィットするカウンターテーブルは思わず長居したくなるものがあります。


<エピソード>

以前モーニング(お昼の12時までやっています!)を食べにいった時、もう11時を回っていたのに平日だからかお客さんは多くなくすんなりと入れました。

モーニングが終わるまでは地上一階しか空いていないらしく、入店するとそこには新聞紙を開いて静かにモーニングを楽しむおじさまや、読書を楽しむマダム、はたまた私と同じく初めて六曜社のモーニングを食べるのであろうカップルもいました。


そして見てください、このカップアンドソーサー!!!
豪華客船をイメージしているという店内に顔負けしない豪華さ。和風な絵柄と洋風な金箔のアクセントはこのお店ならではです。

ジャムは古き良きマーマレードに。どれも美味しくコーヒーとの相性も言うことなしでした。ここに関してはぜひ行って食べてみてほしいです!

そして12時を回った頃、地下一階の利用が可能になり、それと同時に地上一階の喫煙が可能になった。しかし、そのことを店員さんが声を上げて知らせるような真似はしない。

六曜社オリジナルの灰皿とマッチ箱がテーブル一つ一つにスッと置かれる。ただそれだけ。

タバコ吸わないけどテンションあがる

それを待ち侘びていたかのように、新聞を読んでいたおじさまが内ポケットからタバコを取り出すとマッチをひとつ「シュパぁっ」と擦らせ、ぷかぷかとタバコを吸い始めました。

私はタバコを吸わないたちで、タバコの匂いも特段好きなわけではありませんが、その時はなんというか、お昼の音づれを嗅覚から感じ取り、私の他にこの空間を楽しむ方がいるのだという喜びが共有できた心地がしました。

なんだか甘く香ばしい匂いに、より一層長居したくなってしまいました。



☕️『珈琲 逃現郷』

次に紹介するのは桃源郷、いや、逃現郷です。
こちらのお店も六曜社同様、かなり渋めな喫茶店になります!

渋いのにどこかアットホームなんです

実は六曜社と逃現郷のコーヒーには入れ方に違いがあります

六曜社はネルドリップという手法を使用しており、やわらかい布製のフィルター「フランネル」を用いてコーヒーを淹れます。紙のフィルターに比べて目が粗いため、コーヒーオイルが多く抽出される傾向があります。まったりとした口当たりで甘さを感じやすい淹れ方です。

対して逃現郷では、サイフォンという手法が使われています。フラスコを用い、気圧の変化を利用していれるサイフォンコーヒーは味のブレが少なく、比較的柔らかくすっきりとした味わいが特徴です。こちらはコーヒー単体はもちろん、食事との相性もバッチリです。


<エピソード>

初めて訪れたのは2024年の10月頃。この日は友人二人と一緒にとあるカフェを目指していた。時間は午後四時半ごろ。そのカフェは閉店時間がそこまで早くないため、大学終わりにジムへ行き一汗かいてからいこうと決めていた。

三人とも(これは誤算なのだが)流石にジム終わりだったため少々お腹が空いていた。私はこの予定のあと午後6時からバーでのバイトが控えていたため必ずカフェでいくらか腹を満たすのだと腹を決めていた。

しかし、目的地に到着するとそのドアの向こうに一切の光は見えず、なんなら小窓はカーテンに閉ざされていて店内を見ることすらできなかった。

「なぜだ、定休日は被っていないはず!!!」

定休日を調べずにこれまで何度ガッカリしてきたことか。私たちはその二の舞にはならぬと万全を期したつもりだったが、

本日、臨時休業です

調べるとそのカフェのインスタにはそう書かれていた。

すぐさま他のカフェを調べた。なんせ私たち三人は今、猛烈に腹が減っているのだ。調べては「男三人で行くところではない」と却下、調べては「あと30分で閉まる」と却下…。「ここは!!」「いや、スイーツでは腹が満たされない。却下…。」

あっという間に30分が過ぎた。

そんな時、ふと友人の一人が言った「少し歩くが、いいところがある」と
私ともう一人は彼のスマホ画面を覗き込んだ。

「逃現郷…?」
「サンドイッチ…」
「オムライス…!」

気づくと私たちは歩み出していた。友人二人は自転車を置いていた駐輪場へ、私は自転車が故障しているため(もうかれこれ二年程放置している)カフェまでダッシュ。

途中で二人と合流し、その後も息を切らしながら容赦なく自転車を漕ぐ二人についていった。そして15分程走った末、ついに我らはオアシスに辿り着いた

雨雲が空を覆い始め、そのせいなのか日が暮れ始めたからなのか、あたりはもう暗くなり始めている。店内に入ると「ここはオアシスです」と言わんばかりの大きな井戸のような水槽があり、金魚がいくらかゆらゆらと水中で踊っていた。暗く冷えた風の吹く外とは裏腹に、逃現郷は人とコーヒーの暖かさに包まれていた。

カウンター席の後ろを通り一番奥のテーブルへ向かうとき、別のテーブル席に座っていた女性二人の前に”あれ”が置かれていた。

「どうしよう…」

席に座って間も無く、先ほど逃現郷を紹介してくれた友人はなぜか頭を悩ませ始めた。

「オムライス、どうしよっかな」

なんと!!彼はこの空腹の中、オムライスを食べないと言い出したのである!

到底理解できない発言に私たちは困惑した。しかし、彼にはとある事情があったのだ。そう、彼女とのご飯だ。ぐぬぬぬぬ、、、解せぬ。


私は彼にオムライスが食べたくなるような、空いた腹に刺激を与えるような発言で彼を、いや、彼の腹を誘惑した。そう。オムハラである。さらには彼の隣に座るもう一人の友人もオムライスを食べることが確定している。

「俺ら二人が食べてるところ見ながら、君は正気を保ってコーヒーをすすれるかい?」

決まった。彼はついに折れ、三人でオム&コーヒーを楽しめることが確定した。

そして、オムライスが卓上に置かれた。多過ぎず少な過ぎない大きさのそれは、しっかりと焼かれた薄焼き卵にチキンライスが包まれおり、ケチャップがかかっている。

the ベーシック オムライスである。

しかし!!!
特筆べき点はオムライスのお供を任されているお二人である。


そう、ソーセージとピクルスだ。


写真全然撮ってなかったのでこれだけ笑

見ていただきたい。スライスされカリッカリにグリルされたソーセージ(ウインナーかも?)と、こじんまりと添えられたピクルスを。

これまでオムライスを食べることは何度かあったものの、この二つが添えられたオムライスは初めてだった。ベーシックな装いのオムライスにこの二つが組み合わさった時、そこに生まれるハーモニーは計り知れないものがあった。

さっぱりとした味わいのオムライスにしっかりとした油分と香ばしさを与えるソーセージ。そしてそこに程よい酸味とコリコリ食感をプラスするピクルス…。あぁ、思い出すだけでも腹が減る。自分自身にオムハラをしてしまっているではないか!!

さらに、このピクルスはマクドナルドのバーガーに挟まれたアレとは一味違うのだ。

酸味は比較的まろやかで、ピクルスそのものの味わいを楽しめる味わい。食感はどこか煮付けられたタケノコのように「コリっ」「ホロっ」としていた。

後から運ばれてきたサイフォンコーヒーはそんなピクルスの酸味も、ウインナーの香ばしさも、オムライスの味わいも、オブラートの如く全てを丸く包み込む。半端ない組み合わせだった。

頭を悩ませていた友人もこれには脱帽。「まじ食べて正解やったわ」と一息ついていた。

よし、近いうちにまた訪問するとしよう。



☕️WIFE & HUSBAND

最後に紹介するのはWIFE&HUSBANDです。
これまでの二つと違い、ここは渋い喫茶店ではありません。いわゆる”カフェ”であり、渋い喫茶店に少し入りずらさを感じている人に大変おすすめです。

この囲いの内側がキッチンになっています!

これまで、歴史を感じられる六曜社とご飯が美味しい逃現郷の二つを紹介してきました。そしてこのカフェを一言で表すなら…

「人と人とのつながりを楽しめる場所」

になります!

このカフェ、写真を見ていただけるとわかるかもしれませんが、かなり店内が狭めになっています。カウンター席には3、4人ほど、テーブル席は二人用が二つのみとなっています。

さらにはキッチンとの距離も近く、それはつまり「お客さんだけでなく、店員さんとの距離も近い」ということになります。その特徴が故に、ここではお客さん同士や店員さんとお客さんとの会話がよく生まれるのです。

加えて、ここのカフェは名前が英語表記であることも相まってか、先述した二つの喫茶店とは打って変わって、海外からのお客さんも多く訪れます。

そのため、老若男女も国籍も、間柄も客か店員かも、何もかもがごちゃ混ぜになった京都ならではのカフェと言えます。京都のカフェの醍醐味と言えるでしょう。

<エピソード>

大学二年の終わり頃、私は家賃の高すぎる学生マンションから逃げ出すように引っ越しをしました。それなのにいざ住んでみると、壁が薄く大通り沿いだったこともあり、様々なところから人の声や車の走行音が聞こえることに気づいてしまいました。

いつしか居心地の悪さを感じ、自分の落ち着ける場所、帰るところがないような感覚に苛まれたのです。

そんなある日、せめて外に出てどこかいい喫茶店を探し出そうと思いました。どこか居場所が欲しいと。私はすぐにGoogleマップを開き、新しい家の近くを調べまくりました。

すると、ひとつ凄まじく惹かれる店内の写真が目に止まりました。
WIFE & HUSBANDという名前でした。

私はすぐさま一冊の本(吉田篤弘さんの「月とコーヒー」)とノートブック、そして万年筆をカバンに入れ、逃げ出すように家を出ました。

Googleマップを駆使してもなかなか見つけづらい場所にひっそりとたたずむそのカフェは、アンティークの丸いすや木カゴ、机などに壁一面を覆われており、小さなドアがぽつんとついていました。これまで見たことのないその外観はどこかジブリを思わせるものがありました。

この日は12月頃だったと記憶しています。次第に寒くなっていく季節でした。寒さと家の騒音に心をやられかけている中、WIFE & HUSBANDに入店しました。

するとふわっとコーヒーの香りが冷え切った私の顔に触れ、同時に静かな音楽がチロチロと耳に流れてきました。アンティークの丸いすや鏡、机や絵画は静かに空間を飾り、狭い店内に温かみをもたらしていました。

白いコットン製のワンピースをきた女性の店員さんが

「こんにちは、今日も寒いですね。」

と、素敵な笑顔と共に迎えてくれました。

こちらはその店員さんのインスタグラムになります。

カウンターに座ると、優しい手つきで水とメニューが置かれました。しっかりとした作りのメニューを開くと、1ページ目にとある文章が載っていました。読んでみると、それはこのカフェが生まれた理由が丁寧に書かれており、メニューはそれぞれ「DAUGHTER」「SON」「MOTHER」「FATHER」と書かれていました。

「そうか、あの方は旦那さんと一緒にこのカフェを経営しているのか」と分かり、同時に彼らのお子様に対する愛情も感じられました。

どのコーヒーを選んだかはもう忘れてしまったのですが、コーヒーを飲みながらなんだか「家に帰ってきた」ような感覚に陥りました。「ここにいていいのだ」と言われた気もしました。何より、私の心が少し疲弊していたことを思い出させ、それでいいのだと、辛かったねと言ってもらえた気がしました。

カウンターの目の前には窓枠があり、その向こうで店員さんが他のお客さんにコーヒーを入れています。

この木の温もりが最高なんです

穏やかな表情で丁寧に入れられるコーヒー。

私が今手に持っているコーヒーも、これまでここに訪れた方々も、ハンドドリップで丁寧に入れられたあのコーヒーを飲みながらこの温かい空間と時間を楽しんでいたのだと思いました。

気づいたら私は、お気に入りのノートブックを開き、お気に入りの万年筆で「お気に入りになること間違えなしのカフェを見つけた」という喜びを書き留めていました。なんだか涙が出そうになりながら、でも、ここで泣いたら流石にやばいやつ、と心を律しながら自分の感情を書き連ねました。

帰り際

「すごく素敵な場所ですね」「また来ます」

と告げると

「ありがとうございます。初めて来られましたよね?」

と先述した女性の店員さんが返してくださいました。
その後、話の流れで私が最近こしてきたという話になりました。実はこの時、すでに閉店時間になっていて(閉店時間知らなかったんです…笑)もう誰もお客さんがいなかったのに

「いいですよ、お話し聞かせてください」

と、少し私の話をさせていただきました。

それから何度かこのカフェに訪れては、店員さんだけでなくお客さんとお話しする機会も時々あり、やはり、お気に入りのカフェになりました。

お客さんも自分も、店員さんも温かい気持ちになれるからか、よくお話しする場面が生まれる不思議なカフェです。

あなたの次のお気に入りカフェはここかもしれません!笑

※なお、現在は予約制をとっているので行く際はご注意を。



🍰結局、何が京都の魅力なのか

もう後ちょっとで一万字を迎えそうなこの記事をここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。

あまりにも書きたいことがワラワラを頭から放たれるのでこんなふうになってしまいました笑

さて、そろそろ終わりに向かいましょう。
私がこの記事を通して伝えたかった一番のことは結局何だったのか


それは




「京都の魅力はそこにいる”人”である」




ということです。

お寺や川や喫茶店そのものに京都の魅力があるのではありません。

川や喫茶店で出会う”人”との会話や心の共有。現地に住む人から海外旅行客までありとあらゆる人が集まる京都という場所で、その歴史や文化も同時に感じられる川と喫茶店はぜひぜひ行ってほしいと思ったのです。

私自身、たまたま”出会った”ギターの男性やWIFE & HUSBANDの店員さんと今は”つながり”を感じられる気がします。

「また会いましょう」

「また来ます」

と、まるで京都にいくつものホーム(帰る場所)ができたような気がするのです。

京都という場所を文字通り観光(観に行く)地として訪れるのか、はたまた”また訪れたくなるような場所”にするのか。

私は後者の方が魅力的だなと思います。

お寺、川、喫茶店。どこにも人はいますが、どんな人とどんな場所で出会うのかを考えながら楽しむ京都旅行はきっと素敵な思い出になるでしょう。


今回はここで終わることにします。

最後まで読んでくださったあなた。ありがとうございました。

となりに大学生がいて、こんなに語られたらたまったもんじゃありませんが、それを読んでくれたあなたは素敵な人に違いありません!!

今後も京都在住ならでは、大学生ならでは、私ならではの記事をきまぐれでで投稿していきます。楽しみに待っていただければと思います。

よければ「スキ」やフォロー、コメントもお待ちしています!

ありがとうございました。また、次の記事でお会いしましょう😊

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