読んで良かった本10月部門
12冊読んだ内の3冊を紹介。
きれいなシワの作り方(村田沙耶香)
エッセイ。
女性誌で連載していた内容なので、結婚や女性の生活に関する話題が多い。
読みやすさと笑い(恥じらいipodとかが良い)と気づきの深さがどれも秀逸で素晴らしい。
今年読んだエッセイの中では一番好き。
綺麗なことしか起こらない人生なんてない。人生について本音で話せば話すほど、汚い感情だって出てくる。私の友達が、「ごめんね、愚痴だけど⋯⋯⋯」と前置きをして話してる感情は、私にはいつも美しい。傷つきながら生きているから、傷から膿を、私はどうしても、汚いとは思えない。友達が懸命に生きている証拠のようにすら思う。
よろこびの歌(宮下奈都)
小説。
合唱を題材にそれぞれの登場人物の心の内を描写しながら進む。
宮下奈都さんの文章は平たい言葉なのにとても芯をつくような感じがして印象に残る。
私の歌がすごいんじゃない。私の歌で誰かのどこかを揺さぶる、つまり誰かのどこかに揺さぶられるものがある、ということに希望を感じる。胸が震える。
「100分de名著」 孔子 論語(佐久協)
100分de名著シリーズ。
シリーズで他に読んだのもので言うと孟子は難しかったがこれは理解しすい。
著者の日本語訳のクセを若干感じるが、やはり孔子は色んな思想の源流にあたるだけあって感心させられる事柄が多い。
自分を思いやるというのは、自分を甘やかすことではありません。そうでなく、自分を励まし、自分を磨くことです。
たとえば、こんな会話があります。
「子路、君子を問う。子日わく、己れを始めて以て敬す。日わく、斯くの如きのみか。日わく、己れを脩めて以て人を安んず。日わく、斯くのの如きのみか。日わく、己れを備めて以て百姓を安んず。己れを脩めて以て百姓を安んずるは、堯・舜も其れ猶お諸れを病めり」
(弟子の子路とこんな問答をしたよ。
「君子とはどういう人物のことですか」
「自己の修養に励む独立自尊の人だ」
「自分のためだけの人物ですか」
「自己の修養に励み、周囲の人びとを安らかにする人だ」
「周囲のためだけの人物ですか」
「自己の修養に励み、万民を安らかにする人だ。これは、聖王と讚えられた堯様や舜様たちでさえ、ご苦労なされた点なんだぞ」)
まず自分が充実していれば、周囲との関係もよくなり、ひいては人間社会全体もよくなる。要するに、何をおいても、まずは「自分をきちんとする」のが最優先ということです。