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犬、仕事、これから

2024年も終わりを迎える。

道東は例年にないくらい雪が少なく、11月のような景色が広がっている。

周りの人と話すときに「今年は雪が少ないですね」から入るのが、常套句になっている。

でも明日から大雪の予報だ。ようやく雪が来てくれるとワクワクすると共に、またあの大雪に閉じ込められるのかと少し憂鬱になったりもする。

雪は少ないが気温は低く、薪ストーブは今年も大活躍だ。

薪ストーブを焚いておいて、外に出るとあの煙の焦げ臭さが妙に心に沁みる。

冬のキーンとした寒さの中で嗅ぐあのニオイが結構好きだったりもする。

季節には匂いがある。

春は土と草の匂い。夏は霧と濃い緑の匂い。秋は寒さと大地の匂い。冬は張り詰めた空気の匂い。

風から漂ってくるそれらの匂いから季節の移ろいを感じるたびに、北海道へ移住してきたことを実感し、じんわりと心が暖かくなる。




犬たちのこと

犬達が1年ごとに確実に老いていっているのを感じる。

ラフィは持病のせいで肝硬変が進行していた。

ぼすけも副腎の病気になり、毎日の投薬が欠かせなくなった。

ドンの右前肢の跛行が酷くなり、長距離を走らせることができなくなった。

楽の体力は以前に比べて落ち、少しずつだが耳が遠くなってきている。

散歩の時間も以前より短くなり、寝ている時間が多くなってきた。

変わる季節に身を委ねながら、犬たちの変化に戸惑い、どうしてもその先にいつかやってくる終わりの日を考えるようになってしまった。

10年、彼らと生活をしている。

良いこともたくさんあった。けれど嫌なこともたくさんあった。

人間という生き物の感情は複雑で、犬と人の関係は、映画にでてくるような純情な犬と人の絆ではない。

有象無象が渦巻いて、その中で葛藤し、怒り、悲しみ、喜び、楽しみ、それらが全て混ざり合って現在がある。

そのことを、僕は彼らとの付き合いの中で嫌というほど思い知った。

自分の中の嫌な部分が彼らを通してたくさん見えた。

それでも僕は、やっぱり犬が好きだ。

彼らとの暮らしが好きだ。彼らが喜んでくれる姿を見るのが好きだ。

言葉を持たない動物たちと、一つ屋根の下で10年も暮らせることは本当に奇跡だと思っている。

変化に戸惑う日々も多いけれど、それでも今この瞬間にも彼らは隣で幸せそうに寝息を立てている。

不甲斐ない飼い主に文句も言わず、いつも全力でついてきてくれる彼らにはやはり感謝しかない。

来年、4頭揃ってまた年を越せることを心から願う。







仕事のこと

本当にありがたいことに、仕事には全く困らなかった1年だった。

というよりここ4年間は仕事をいただき続け、僕の収入はどんどん上がっていった。

でも僕はここが1つの転機だと思っている。

というのもここ数年、僕は仕事で頭も体もいっぱいになっていて、年間を通してほとんど休みがなかった。

丸1日何もないという日が年に数回ある程度で、あとは全てが仕事の日々だった。

それはそれでとても充実していたのだけれど、本来自分が何をしに北海道へ来たのか、それをもう一度考える必要があった。

年末に様々な人が我が家を訪ねてくださった。

作家で極地探検家の角幡唯介さん、動物写真家の高橋海斗くんとガイドの谷口さん、ガイドで写真家の國分さん、写真家の二神慎之介さんとディレクターの六田さん。

どの人たちも自然や写真のエキスパートで僕が心から尊敬している人たちだ。

そんな彼らと話し、フィールドを歩き、一緒の時間を過ごすことで嫌が応にも、お前はこの先どう生きたいのか?

ということを問われている気がしたのだ。

地域の仕事はもちろん楽しい。

そのおかげで色んな人たちと繋がり、収入は増え、社会的な地位や満足感もあった。

けれど来年からは自分のやりたいことをもっとやっていこうと思った。

それは世界の犬を撮影する旅であり、今住んでいる虹別の自然と暮らしをきちんと撮影することだ。

その2つを来年以降さらに加速させていきたい。

そしてそこから自分の仕事を見つけ出していきたい。

もちろん地域の仕事も全くゼロにするわけではなく、変わらずやるべきことはやっていく。

僕はこの標茶町という町が大好きだし、これまで関わってきてくれた人たちに恩返しもしたい。

きちんと優先順位を決めた上で、来年はスタートしていこうと思う。

ここ最近は特に思考や感性が鈍っている。

何かを書こうかと思っても書いてしまうととても陳腐なものに堕してしまい、全くまとまらない。

トルコの旅も韓国の旅も写真は撮れていたが、それに対する思索が自分の中でまとまりきっていない。

最近はSNSもどんどんとつまらなくなってきてしまい、写真を撮っても載せようと思うことが少なくなってきてしまった。

SNSに載せてしまった途端、そこで完結してしまうのがもったいないと思ってしまう。

自分だけの中に留めておきたいと願ってしまう。

それがなぜなのか、自分でもよくわからない。

でも今、自分の中で様々なことが交わり合い、過渡期になっているのは間違いないのだと思う。

それでも今年は自費出版で写真集を出し、日風という地域冊子も作り、写真展を開催し、海外へ2回撮影へ行けた。

十分とも言える活動ができたと思う。

でも全くと言って良いほど満足していない。

もっと思索を巡らせなければ、もっと深い経験を積まなければ、自分が思い描いている写真は撮れない。

2025年もまた色んなことにチャレンジしたいと思う。

いつも見てくださっている皆様、応援してくださっている皆様、本当にありがとうございます。

最近はあまり更新できていませんが、必ず皆さんの元にこれまでの写真や文章を届けます。

2025年も犬たち共々、中道家をよろしくお願いします。




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