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お母さんの独り言

私の母はよく独り言を言っていた。

「あーあ、やんなっちゃうなー」
台所に立つ背中越しにそれは良く聞こえてきた。

その時々で色々言っていた気がするし、時には私に話しかけているのかと思って返事をしてしまう位だった。

小さな頃から日常的にあることとして、深く考えた事はなかったけど、今ならそんな気持ちも分かる気がする。

たくさんの考え事とか、心配とか後悔とか自分の中には抑えきれなくなったものがぽろっとこぼれ出るものだって事。

大人になってから、どちらかと言えば苦労が多かったであろう「あの時のお母さん」を思い出して、ちょっと切なくなったり、もっと助けてあげれば良かったとか思ったりする。

ここ数年の、なにか吹っ切れたように仕事に取り組む母の様子が救いなのだけれども。


そんな母をみて育ったからか、遺伝なのか分からないけれど、母ほどてはないが私も独り言が多い方だと思う。

たぶん、1番多いのは
「あー、頑張んないと」

なにをそんなに頑張りたいのかは自分でも分からないけど、もしかしたら息子も将来母の独り言を思い出すのかもしれない。

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