自己と他者の視点から櫻坂46『I want tomorrow to come』の歌詞を見る
今回は、櫻坂46の10thシングル『I want tomorrow to come』について、
主に歌詞に着目していろいろと考えてみようと思います。
結論から言うと、
あくまで個人的な解釈ですが、この楽曲のキーワードは「自己と他者」なのではないかと感じました。
また、曲調はとても変化し多面性がありますが、歌詞には一貫性もあるのではと考えました。
「自己」「他者」に着目して歌詞を見てみる
Aメロ
Aメロは「自分(僕)」が暗闇(=見えないもの)に怯えている人物だという、「自己」の説明になっています。
夜、少しのネガティブな感情を覚えながらベッドの上でLEDを見上げている場面が想起されます。
Bメロ
ここで「他者」として、臆病な僕を嘲る「みんな」が登場します。
また “誰にも発見されずByeBye”からは、「僕」が「他者」との関わりが無いことへの不安が感じられます。
後に “んなこと考えたってしょうがない”と不安な感情を振り切って否定していますが、この不安な感情は確かに「僕」の中に存在していると思います。(1サビの歌詞でそのことが書かれています)
1サビ
ここでは「自己」である「僕」が、明日以降を不安に思いながらも“明日が来て欲しい”と思っている理由として “やりたいこともあるし やり残したこともある” と自分の素直な欲を出しています。
その後に続く “暗闇にビビらないこと” からは、
「不安な感情もあるけど強い自分で生きていくぞ」と言うメッセージであるように思いました。
しかし更にその後の歌詞
“そばに誰かがいる 孤独じゃないと教えてくれ”
では、強い自己とは反対にあるような内容が書かれています。
この1サビとBメロの歌詞を合わせて考えると、
強い「自己」であろうとする「僕」 と
「他者」の存在を欲する独立的ではない「僕」
の二面性のある「僕」の姿が浮かんできます。
個人的には、この二面性がとても人間らしさを表していて、リアリティを表現する櫻坂らしさが出ているなと感じます。
2番
2番に関しては、「自己」と「他者」の視点からに限ると以下のところから述べられるかなと思います。
こちらの歌詞からは、自分を呪わず、ネガティブな想像はせずにいることで強い自分でいられるんだ、というメッセージが感じられます。
このようなポジティブな歌詞だったり、「〜はずさ」という明るい意志を感じさせるような歌詞は櫻坂楽曲の特徴でもあると思っています。
ラスサビ
2サビ後、「reality is not what it seems」のボイスが入ったと思ったらガラッと曲調が変わります。
そしてラストのバラード部分が始まるのですが、今回の「自己」と「他者」という視点から歌詞を見ていくと、この部分は歌詞もガラリと変わっています。
それは、今までの歌詞よりも圧倒的に『他者』の要素が強い ということです。
今までの歌詞は多くが「自己」に関しての歌詞で、強い自分でいようとするという印象がありました。
しかしラスサビ部分の歌詞は、「誰か」「君」といった、『他者』の存在がとても現れた文章になっています。
「誰かのために明日が来て欲しい」としているのも、1サビの「やりたいことがある」ために明日が来て欲しいという歌詞と対照的で、面白いと感じます。
つまり、1サビで少しだけ出てきた「他者」の存在を欲する「僕」がラスサビに入ってから現れ、
「大切な他者」の存在が「僕」の明日を生きる理由だ と心から思い言葉にしているのがラスサビの特徴です。
付け足しですが、MVからも下記画像の振りから「他者を大切に思う」気持ちが伝わってきます。
まとめ
今まで部分的に見てきた歌詞を全体で見てまとめてみると、
『I want tomorrow to come』とは
強い自己でポジティブな意志を持ち明日を生きていこうというメッセージと
大切な他者の存在を感じながら明日を生きていこうというメッセージの2つを併せ持った、二面性のある楽曲である と思います。
そしてこの二面性は、人間の心情のリアリティさをも表しているように思います。
一方で、1サビにて“そばに誰かがいる 孤独じゃないと教えてくれ”という他者を欲する気持ちが、ラスサビで溢れ出し「大切な他者のために明日を生きていこう」と心から思う という解釈をすると、この楽曲は一貫性があり、かつストーリー性もある楽曲であるということになるのかもしれません。
櫻坂46『I want tomorrow to come』
Music video
https://youtu.be/07JLD3d1-W0?si=7dRD6ZDHWnFzxelu
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