ポンコツ試乗記 日産マーチK12型
(この記事は2019年に書かれたものです)
たまにはポンコツ試乗記でも書いてみようかと思う。
ウチのポンコツ自家用車修理の間、代車を貸してくれた。
代車はK12型マーチ、2002年式だ。
エンジンは直4の1.2Lガソリン。
内装色は初期型に設定のあったシナモンと言う、オレンジとグレーのツートン。ダッシュボードやドア内張のオレンジ部分はシボ加工の上にキャンバス地のような印刷が施されている。当時なかなかオシャレでいい感じだったが、この手のデザインはボロくなると見るに堪えない状況になるのが定番だ。
ところが、全然ヤレてない。色褪せは皆無、劣化もしていない。ほとんど新車の頃と変わらないクオリティだ。走行距離4万キロとは言え大して手入れされてない、もうすぐ17歳のクルマだと言うのに。
メーター周りやドアハンドル周りには梨地仕上げマットシルバー塗装の加飾が入るが、ヘタるどころか、そもそも塗装の質感が非常に良い。
チャチな内装で600万円をふんだくる、どこぞのプレミアムDセグメント欧州車は今すぐK12マーチの爪の垢煎じて飲むべきだ。
右ハンドルの仕立てを確認。
ステアリングホイールはシート中央に位置し、ブレーキペダルはその左下。オイオイ、最近のどの日産FF車よりいいじゃないか。
シートは高さ調節があると思いきや、座面の後端が上下する、つまり座面角度が変わるだけだった。
テレスコは無し。
まぁこの時代の日本車はテレスコ無しが当たり前だったのでドラポジさえ取れれば文句ないが、ステアリングが遠い。逆に言えば、ペダルが近い。
思い出した。この型のマーチは欧州でも販売され、ルノーと共通のプラットフォームだ。
つまりは左ハンドル前提設計の可能性が高い。右ハンドルのペダルオフセットを修正する為に安易にペダルを手前にもってきたのだろう。
コレでドラポジは完全に崩壊している。ステアリングに合わせるとペダルは近く、どんなにシート座面角度を調整してもヒザ下は浮いている。空気イス状態だ。
右ハンドルの仕立てがいいかと思いきや、マズい感じだ。
走り出す。
1速から2速へ変速する際に背中を蹴飛ばされるシフトショックを感じ、ジャトコ製4速ATを痛感する。
1.2LのCR12DEエンジンは意外にもパワーがある。タコメーターは無いが、ガンガン踏むと不足ない加速をする。
とは言え決してスムーズではなく、エンジンは絶えずゴロゴロ言いながら回っている。ちゃんとエンジンオイル入ってるのだろうか?
ポンコツお約束のセンターが1コマズレてるステアリングを切ると、典型的な電動パワステフィール。最初から大舵角まで全くフィールが変わらない。グランツーリスモのアナログコントローラーの方がずっとマシだろう。
こりゃ飛ばさない方が吉だ。
視界は良好。ボディの見切りも良い。そういう意味では運転しやすい。
修理工場から1時間少々のドライブで完全に疲れてしまった。なにせ、ヒザ下が浮きっぱなしの空気イス状態なので、ヒザが笑ってる。快適そうな分厚いクッションのシートは全く寄与していない。
また、ステアリングが遠いのでだんだん猫背になってしまう。
コレにOKを出した開発責任者を恨みたくなる。
チョイ乗りのゲタ車以上の使い道はないだろう。
過去に借りたポンコツ代車では、初代フィットは素晴らしかった。2001年式純正モデューロエアロ付きのコイツは、乗り心地こそバタンバタンとするが、シートやドラポジに大きな瑕疵は無かった。
1.3LツインプラグのSOHCエンジンは間違いなくこのクラストップのパワフルさ。足回りは固めで緩衝材皆無な感じだが、その分怪しい挙動は一切無く、操作に対してダイレクトに反応した。
コーナーに飛ばし気味に進入しても、アクセルを緩める、又は軽いブレーキングで前輪に荷重を乗せるとキレイに曲がっていく。
いや、これこそスポーツカーだと思った。
純正15インチのモデューロアルミホイールがカッコよさ重視でツライチの寝ぼけたオフセットになり、ステアリングフィールがより崩壊してること以外、文句ないクルマだった。
絶対的な速さを抜きすれば、タイプRと名付けていいのでは。そういうクルマだった。
おっと、話が逸れた。
車検切れまでの運命であろうこのマーチ。給油時に埃っぽい内装を水拭きして、返却した。
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