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こだわりは持ちつつ聴き手の「最高!」に寄り添う気持ちは忘れずに。

こんにちは。
ついに定期演奏会前日、リハーサル最終日です。

さて、昨日は芸術鑑賞会で演奏してきました。
皆さんも学生の頃ありましたでしょうか。学校の行事としてオーケストラの演奏を聴いたり、劇を観たりとか…。

私も高校の頃、それはまあ立派なホールでオーケストラの演奏を聴ける機会が年一回ありまして、学年によって1階とか2階とか席が変わるんですが、今年はどんな音がするんだろうと楽しみにしていたような記憶があります。

そんな私も楽団に所属してからは一年を通して各地の鑑賞会で演奏させていただく機会があるのですが、昨日は大阪の高校の芸術鑑賞会でした。
芸術鑑賞会というと学校の体育館などで演奏させていただくことが多いんですが、昨日はホールを借りての演奏。高校だとそういうところも多いですかね。

プログラムはポピュラーな曲が多め。ドラクエに中島みゆきの『糸』、嵐のメドレーなんかもありました。
そりゃ中にはきっとクラシック大好き!みたいな生徒さんもいらっしゃったでしょうが(吹奏楽部の部員さん多かった!)、でもやっぱりポップスは盛り上がります。

どれだけいい曲だったとしてもそりゃ全く知らん曲よりも口ずさめるような曲の方がアガるのは当然のことですし、プログラムにいっぱいポップス入っててよかったなぁと思います。

昨日の司会で指揮の飯森さんがおっしゃっていたことですが、吹奏楽の強みはいろんな音楽ができることです。
クラシックもいいけど、野球応援の爆音演奏だって最高。せっかく芸術鑑賞会という授業の一環で吹奏楽団が演奏するのですから、クラシックもやりつつポップスや野球応援の定番曲なんかも入った昨日のプログラムは吹奏楽団としての使命を全うした、とも言えるのでしょうか…。

さて、奏者側としては(あくまで私は)こういった鑑賞会で演奏することに普段とは違う興味深さを見出していたりします。
それは、受け手がかなりの割合で吹奏楽(音楽)に興味があるわけではないということ。

何度も吹奏楽(クラシック)の演奏会に足を運ばれている方なら、どのタイミングで拍手するとか、こういう曲なら手拍子をするだとかご存知なわけで。
これって全然強制だとかルールだとかではないし、身構えずにいろんな方にお越しいただきたいんですが!でも事実ルールと呼ぶまでもないなにかがあることには変わりないので…。

この居心地の悪さ(と敢えて言わせてもらいます)って肌感覚として理解はできるんです、クラシックだけに限った話ではないので。

大きいライブしか行ったことのなかった私が初めて友達のバンドが出るとかでライブハウスに行ったとき、受付で目当てのバンド?を聞かれたり(バンド名とか聞いてないし!)、スタッフに言われるわけでもなく自然と人の流れができてたりしてて「なんか怖…」って思ったこともありますし、馴染みのないスポーツの観戦に行くと暗黙のルールがあるっぽく「常識ないやつと思われてるやろな…」って気にしたこともあります。

みんなそこまで周りのことなんか見てないし気にも留めてないんでしょうけど、気になるもんは気になるじゃないですか!
これがいわゆる「新規」を取り込む難しいポイントのひとつなんでしょう…。

クラシックも往々にしてそう思われていることでしょうから、そういう引っかかりをできるだけ取り除いて楽しんでもらいたいなあと思っています。
(その取り組みのひとつが私はこのnoteだったりするのですが)

さて、遠回りしましたが昨日の鑑賞会はそういう意味ではすごくフラットな聴き手が集まっているわけです。

昨日は『カルメン』というオペラの曲もやりました。メロディー自体はテレビなどで使われたりとすごく有名な曲なんですが、曲の頭から最後まで聴いたことはないって方が大半だと思います。
そうすると「ん?もう曲終わった?拍手していいの?」ってな感じでまばらに拍手が起こったりします(曲の雰囲気もあるしそれが悪いだとか言いたいわけじゃありません!本当に)。

ルールの分からないスポーツの試合を観に行って「これ点入ったの?なんか周り盛り上がってる!」みたいなもんですよね。

でも面白いことに同じクラシックの曲でも、なんかすごくテンポも速くて、音も大きくて迫力があって、最後がジャン!!曲終わりましたよ!みたいな曲だと食い気味に拍手が重なってきます。
※オペラは劇中に何曲も曲があるので、昨日もその中から数曲演奏しました。

曲終わりが分かりやすいというのは理由の一つとしてあるのでしょうが、それでも終わるとともにワッと拍手が湧いてくるというのは気持ちいいものです…。

これこそ音楽なんだろうなぁと。
曲も知らないけどなんかすごい!楽しい!って思えるって素敵なことですよね。
こういう体験をさせてもらえるたびに、音楽やっててよかった〜!とひしひしと感じます。

その熱気に包まれた理由が、気分が高揚してしまうような曲のスピード感からくるものなのか、ビリビリと体中に響くような音圧なのか、指揮者のダイナミックな表現に引き込まれたのか…
こういうことに一つひとつ「なんでだろう?」「どういうところが良かったんだろう?」と追求していくことこそ、必要なのかななんて思いながら昨日の2公演を終えました。

演奏者は聴き手には伝わらないくらい細かいところまでこだわって当然ですし、聴いてるとちょっと眠くなっちゃうような曲でも息足りへん!とか思いながら顔真っ赤にして吹いてたりするんです、そりゃあね。

でもだからこそ、聴き手が何に「最高!」って思うかのツボを見失ってしまったらいけないなと。独りよがりなステージ作りになっていないか、常に向き合い続けないといけないんだと再確認させられます。

だからこそ昨日嵐のメドレーをやります、と言ったときのあのザワザワはなんだったんだと気になったりするんですよ。2公演ともざわついてて。
「嵐とかやるんだ!」みたいな意外性からくるザワザワなのかな、「世代じゃないしな〜」なんて言われてなかったかな…とかね。
結局盛り上がってくれてたみたいなのでよかったです。

そんな感じで。
今日もいい音楽作りができるよう、リハーサル頑張ってきます!


【最後の告知!】
明日6/15に私の所属する楽団フィルハーモニック・ウインズ 大阪(オオサカン)の第41回定期演奏会が開催されます。

チケットはまだございますので、ご興味を持ってくださった方は私の各SNSのDMにぜひご連絡ください。
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