お笑いと音楽の共通点から学ぶ。
M-1の季節ですね。
最近はYouTubeやTverに予選動画が上がるので、私も予選からしっかりM-1を楽しんでいます。
一時大会がない時期なんかもありましたが、お笑いの賞レースといえばM-1、年の瀬にたくさん笑って一年を締めくくる…といった具合で私にとっての恒例行事です。
敗者復活の時間からテレビをつけて家族と一丁前にあれこれ口出しながら漫才を見てた思い出が蘇ってきました。
こんな調子で大阪の人間らしく(?)お笑いに親しんできた私ですが、最近知り合いと話している中でお笑いと音楽の共通点について少し面白いお話が聞けたので、今日はそんなテーマにしてみます(そのときにちゃっかりnote書く許可もいただきました)。
M-1準々決勝の結果発表があった日、少し浮き足立っていた私は偶然その日に芸人さんをやってらっしゃる知り合いと話す機会がありました。
本職の方に雑談的な流れでお笑いの話をしてもいいのかしら…なんて気持ちもほんのちょっとはありますが、お互い「芸の道」を志す者ということで共感できる話題も多く、普段からそこは無問題なテンションでお笑いやら音楽やらの話で盛り上がっているのでよしとさせてもらって…。
Mー1予選がYouTubeで見れるってすごいよね〜みたいな流れから、芸人さんのYouTubeの話になり、そのときふと湧いてきた疑問をぶつけてみました。
「芸人さんの昔の動画とか見てると、かなり声変わってる人とかいますよね?
昔って言っても4、5年とかでも声のトーンに変化あってびっくりすることあるんですけど、やっぱり声を使うお仕事だから声帯が育つみたいなのってあるんですか?」
こんな感じのニュアンスで。
漫才に限らずお笑い芸人さんの喋りって(少なくとも私は)知らず知らずのうちに耳から拾うイメージってかなり大きいみたいで。
すごく特徴的な声色の人もいれば、めっちゃええ声の人も、なんだか耳に馴染む声の人もいて、ちょっと昔の動画に遡ったときに「あれ、この人今こんな声やったっけ!?」ってギャップが生まれることがあって、気になっていたことではありました。
アンサーから言いますと、「おもしろ声を模索した結果」なんですって。
例えば漫才を見ているとすると、そのネタの内容とか、このボケにどんなツッコミがくるのかな〜なんて思いながらこちらは楽しむわけですが、芸人さんはその「笑いどころ」を声色で提示してくれているそうです。
「今笑うところやで~」なんて言わなくても自然と笑いが起こるのは、単にボケがおもしろいからとかそれだけの問題じゃなくて、自分の喋りが一番面白く聞こえる声のトーンを理解していて、笑うポイントを分かりやすくしてあげるスキルがあるからだそう。
これだけでもめちゃくちゃ面白いお話なんですが、この話題には続きがあります。
どうやら芸人さんの中の例え話のひとつで「お笑いはジャズのようなもの」って話があるみたいです。
(このお話が一般的なものなのかも分かりませんので、ここに書くことは私が聞きかじったことを自分なりにアウトプットしているだけだと思っていただければ…)
声色や話すペース、間や掛け合い、そういった技術が重なりあうことで面白い喋りが完成するんだそうです。
YouTubeで芸人さんが雑談している動画がよく上がっていますが、そういった動画がやたら長尺でも全然最後まで見てられるのは、そのトークスキルを体得しているからで、そういう目線で動画見てみるとまた面白いですよ~って教えてくださいました。
私も頭使ってちょっと疲れたときなんかに芸人さんのトーク動画を好んで見るんですが、たしかに思い返してみると、トーク中の切り取りがかなり少ないのにちゃんと面白い動画として成立してるってよく考えたらすごいことだなと!
前見たことがあるトーク動画だと、ひとつのトークテーマについて話している間はノーカットで、本来なら編集でカットするその間の部分を早送りにしてる芸人さんのチャンネルを見たことがあるのですが…(伝わるかな)。
それなんてまさに素材そのままでちゃんと面白いってことが顕著に表れてるよなとめちゃくちゃ腑に落ちました。
こんな話ばかりしているとお笑い芸人さんすごい!で終わってしまうので音楽に話を戻します。
私はジャズは専門ではないとはいえ、案外どの音楽ジャンルにも共通して言えることだったりするので「お笑いはジャズ」、かなり当てはめて考えることができました。
声のトーンや話すペース、間なんてまさにその通りですよね。
もちろん例外はありますが、音楽は音が大きくなったり、音が上がっていったりすると盛り上がっているように聞こえると思います。
すごく大音量で白熱していたのに急に声を潜めたようにボリュームを絞ると、ぐっと目を、耳を引き付けます
ペース、間もそうです。
正確にメトロノームで取ったような音楽ではなく、若干の前後があったり空白があったりすることで音楽が生きているように聴こえます。
逆に超正確なテンポで演奏することで、機械仕掛けのような、ある種不気味な印象を与えるかもしれません。
あえて印象付けるといういい意味で。
声色の話もしてみましょう。
私が演奏しているユーフォニアムのことを「音色が魅力の楽器だ」と言ったことはこのnoteでもあるかと思います。
音色が特徴的で、優しく温かい音色だと言われています。
これをあえてお笑い芸人に当てはめるとすると「芸風」とも言えるでしょうか。
ですが芸風だからといって一本調子なのとは話が違います。
「いい音色だから!」といって音色に甘えていては、音楽でストーリーを作れません。
つまり何が言いたいのかと言いますと、「引き出しを持つことは大切」ということです。
私にとっても大きなテーマのひとつです。
次は何がくるんだろうとワクワクするような音楽作りをするには、ただいい音で吹くだけじゃなくって、時には消え入りそうな音も、しゃがれ声のような音も、かと思えば耳障りなほどけたたましい音が必要なときもあります。
音色とはまた違いますが、ジャズもとにかく引き出しを増やして増やして、それらを組み立ててメロディーが出来上がるそうです。
一見「即興でこんなに演奏できるなんてすごい!かっこいい!」と思いますが、案外システマチックなものなんだとか。どこかの文献で読みました。
楽器を続ける中で少しずつ学んでいったことですが、改めて分解してみるともっと向き合えることがありそうです。
新たな発見をいただけたことに感謝です。
少し長くなりましたが、書きたいこと書きました。こういう時間ってとっても楽しいですね。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。