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世界大会2021

世界大会が終わった。結果はベスト8。今まで3位を2回取った経験からibjjfの世界大会で1位以外は取ってもたいして意味がないと思っている。1位に意味があるというか1位を取ることができる柔術自体に大きな価値があると思う。
今回も1位を取った柔術と僕の柔術にはかなり大きな差があったと思う。どれくらい大きな差なのか正直測れない。だからせめて1位を取った選手と試合して測りたかった。それすら出来なかったことが悔しいしイライラする。悔やんでも仕方ないけどまだ試合が終わってから1日も経っていないので少し感情的になってしまう時がある。

今回、久しぶりの世界大会だった。2020年の1月にヨーロピアンで優勝した後、コロナが流行してそれ以降予定されていた国際大会が全てキャンセルになった。ヨーロピアンで優勝出来たこともあり周りの人には予定されていた世界大会がキャンセルになったことに関して「残念ですね」と言った声をかけられることが多かった。だけど僕自身残念とは思えなかった。試合は誰に頼まれた訳でもなく自分が望んでやっていることなんだけど世界各地に行き減量のために食事制限しつつハードな練習をこなして試合に出場するということを数年繰り返すうちにその一連の流れに半分嫌気がさしていた。
 自分の手が届くかどうかわからない程の頂きを目指して挑戦することには大きなやりがいがあるし例え失敗したとしてもそれを目指す過程にあった様々な事象は宝物だと思える。しかしそれと同時に「こんなキツイことしなくても何気ない日常に幸せなことは山ほどあるんじゃないか?わざわざキツイことする必要があるのか?」という疑問が生じる。食事制限していると普段当たり前に食べていたご飯の美味しさに気づく。ハードなトレーニングで疲労困憊になると体が元気であるだけである程度幸せなことに気づく。海外で孤独になると普段当たり前に一緒にいてくれている人達の大切さに気づく。多くの幸せがすぐそこにあって特別なことなんてしなくても特別な存在にならなくても幸せであることに気づく。だからコロナで予定されていた試合がキャンセルになった時、「すぐそこに当たり前にある幸せを満喫出来る!」と思って嬉しかった。実際半隔離みたいな生活も全然苦じゃなかったし楽しかった。そもそもインドアだからゲームや漫画や映画を満喫出来る日々は楽しかった。試合がなくても日々練習して上達していけるだけで充分楽しかった。

じゃあなんで今回また挑戦したのか?別に大義があるわけではないと思う。たぶん当たり前にある幸せに飽きてまた非日常的な刺激が欲しくなっただけな気がする。
 最近考え方が面白くてよくYouTubeで見ている成田悠輔という教授がうる覚えだけどこんなようなことを言っていた「人は自分がやっていることに対して大きな意味付けをしがち、例えばただ自分がそれが得意でそれ以外のことが不得意だった結果それをし続けているだけなのに、それをし続けているうちに自分がしていることには大きな意味があって特別なことをしているような気がしてきて自分自身特別であるような気になってくる。」
それを聞いて僕自身そういうところがあるなと思った。子供の頃自分は特別だと思っていた。別に何か特別な能力があったわけではなかったけど根拠なくそう思い込んでいた。しかし事実特別な能力なんてなかったから成長するにつれそれはただの思い込みなのではないか?という不信感が強まってくる。そんな時に出会ったのがブラジリアン柔術だった。ブラジリアン柔術は様々なことが起因して初めから他の多くの人と比べると上手い方だった。その事実が抱いていた不信感を濁してくれた。もっと特別になりたいという気持ちも後押しして練習に熱中した。そうして続けていった結果ある程度の少数派にはなれてある程度特別になれたと思う。しかしそれと同時に自分なんかよりもっともっと特別な人がいることを知った。そして自分が凡人であることを思い知った。そうなるといろいろ訳がわからなくなってくる。特別な存在だから他の多くの人とは違う特別なことをすべきであると思い込んでいた。凡人なら特別なことなんてする必要がないんじゃないか?普通に当たり前にある幸せを大切にして別にキツイと感じることなんてする必要がないように思えてくる。

いろんな思い込みに囚われるとこんな風に訳がわからなくなるし自分を失う。別に特別じゃなくていいし別に凡人が特別なことをしてもいい。何かやるのに大義なんてあってもなくてもどっちでもいい。今大会の直前も異国の地で減量とハードトレーニングをしていて「なんで俺こんなキツイことしてんだろ?」って思うことは多々あったし普通の日々に早く戻りたいと思うことも多々あった。でも負けて帰国中の今、次の挑戦に向けて出来るだけ早く練習に戻りたいと思っている。別にそこに大義はない。ただそう思っている。試行錯誤して取り組みたいことが山ほどある。一番取りたい!



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橋本知之
サポート多いと外食しがち。ご馳走さまです!