問い合わせフォームを無くし、料金ページからチャットボットで商談を獲得している海外事例
BtoB企業のWebサイトで、リード獲得のために多く設置されているフォームについて、入力する側としては誰しも面倒/不快に思ったことがあるのではないでしょうか。
今回は、海外で入力フォームを廃止して顧客体験を改善しながら、リードを獲得している事例をご紹介したいと思います。
日本の入力フォームの現状
日本のBtoBでWebマーケティングに積極的な企業のウェブサイトでは、
・お問い合わせフォーム
・資料ダウンロードフォーム
・メルマガ登録フォーム
など、数多くのフォームが設置されています。多い場合は数十個以上のフォームが存在していることもあるのではないでしょうか。
これらのフォームを設置する目的としては、興味を持ってくれた顧客の情報を得て、直接営業などのアプローチを行うためであり、勿論営業目線だと情報を得られるプラスなものになりますが、ユーザー目線だと必ずしも良い顧客体験ではないのではないでしょうか。
課題:入力フォームがあると87%がサイトから離脱
2016年にLinkedIn上の過去1年間で自社のために購入した人・予算を管理した人など、5,470人を対象とした世界規模の調査の中で、フォーム付きのコンテンツに遭遇した人は60%以上に及び、そのうち87%がフォーム入力を理由にアクセスしなかったしていました。ミレニアム世代の中でも若いほど、そういった場面で嘘の情報を入力することが多かったそうです。
日本の調査データは見たことがありませんが、同様の傾向はあると感じます。
情報を得ようとしている顧客に逐次フォーム入力をさせることにより、ベンダー側、顧客側双方に様々なデメリットが生じています。
①フォームに入力したからといって、顧客は売り込みを受ける準備が出来ているわけではなく、電話での営業は求めていない場合も多い
②売り込みを受ける準備ができていない人に対しても、アプローチをしてしまうので、マーケティングもセールスもリソースを無駄にしがち
③フォームを入力させようとすることで、気軽さが減り、顧客がサイトから離脱する可能性が上がる
④そもそもフォーム入力に工数がかかる
⑤なぜ詳細な個人情報(従業員数や役職、購買意欲など)をフォーム入力させられるのか不透明(顧客から情報提供するメリットが不明)
⑥フォームを入力してから資料を見るためには、サンクスメールにアクセスしてから資料を開くなど、入力後も手間がかかる
Drift社の海外事例:チャットボット利用者の63%が商談化
この問題に対して、顧客向けの入力フォームを廃止したアメリカ・ボストンのDrift社(会話型マーケティング・ソフトウェアベンダー)の海外事例を紹介します。(2018年に6,000億ドル資金調達)
Drift社によると、フォーム入力後の最初の5分がリード応答に大切な時間であり、フォーム入力から回答までの時間がかかりすぎると、他社へ移ってしまうなどしてリードが離れてしまう可能性があるとしています(*1)
当初、Drift社内では最初の5分以内に新規リードへ営業が反応ができたのはわずか7%で、過半数は回答に1週間以上かかったり未回答のままでした。
本来はWeb上のリードとリアルタイムでやりとりができれば良いのですが、現実的にセールスパーソンが24時間365日張り付いて対応することは難しいため、その代替として、チャットボットを利用しています。
例えば、料金ページ(*2)にチャットボットを設置しています。
ページ上で「LEARN MORE」「GET MORE DETAILS」を押下した人に対して、「Driftのページに来た理由は?」と質問してから、顧客の回答に合わせた適切な情報提供ページへ誘導します。
(例:社員数50名未満であれば、スタートアップ向け割引ページ)
これによって、24時間365日リアルタイムに、リードに対して、営業担当者がいつも顧客に返している回答を返すことができます。
詳細を問い合わせたい顧客に対しては、Meetingの日程を提案し、その場でアポイントまで確定させることができます。
結果的に、チャットボットとやり取りを始めた人の内、63%が営業担当との商談に繋がるなど、チャットボットが優良なリード獲得に最も貢献しているチャネルになったそうです。
通常、フォームに入力されてMQLとなったリードから、アポイントメントに繋がる率は一般的に20%(*3)でも健全な数値と言われている中で、非常に高いCVRのように思います。
まとめ:顧客体験と商談創出の両立ができるか?
海外では、顧客体験を悪くしているフォーム入力からの電話での営業という流れだけではなく、よりスムーズな顧客体験を目指した取り組みも行われており、成果も上げているように思います。
日本のBtoBマーケティングでも海外同様により顧客体験を上げながら、売上に繋がるようなマーケティングを行っていく方向性もあるのではないでしょうか。
このテーマは次回以降もう少し調べて、考えてみたいと思います。
おわりに
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