駒形どぜう
どぜう鍋。ドジョウを「どぜう」と書くのは、この鍋の名称と、この鍋を提供する店名だけかも知れない。
浅草には駒形どぜうと言う老舗があり、そこの初代当主越後屋助七が「どぜう鍋」と表記することを始めたのだと言う(Wikipedia「どぜう鍋」より)。
本店は浅草。今回は、支店の渋谷店に。
雑然とビルが立ち並ぶ中にあり、少々見つけにくい所にある。
お腹も空いているので、色々とすっ飛ばし、本題のどぜう鍋である。
これが「どぜうなべ」である。丸のままのドジョウが調理され、平たい鍋に乗っかってやって来る。
これに…
これにネギをどっさりと乗せ、割下をかけ、
ネギがしんなりして、グツグツと煮え立ったら食べごろである。
ここにささがきのゴボウを加えても、美味しい。
お好みで山椒と七味をかけて食べる。
味は「これぞドジョウの味!」と言う特徴的な味ではなく、少しクセのある魚に甘い割下の強い味と言ったところか。
正直、どんな味と言われると悩ましいのだが、独特のクセはここでしか味わえず、とても美味しい。
丸のままのドジョウは恐ろしくて食べられないと言う人には「どぜうさきなべ」というドジョウの頭を落として、背開きにした鍋もあるので安心。
駒形どぜうには、くじら鍋や一品料理も充実しているので、ドジョウ以外も楽しめる。
渋谷店に行って、やっと出会えた物がある。
それがコチラ。
どぜう骨せんべい。
塩味の効いた、カリカリサクサクした、香ばしい食べ物。
これが一度食べ始めると止まらない。
お酒を召し上がる方であれば、お酒が進むこと間違いなし。
そんな代物が、浅草店ではアッと言う間に品切れになり、渋谷店ではギリギリ最後の一皿。
もし確実に食べたければ、予約をして、骨せんべいをキープしておかなければならない。
…ライバルが増えると困るので、本当は教えたくない一品である。
浅草本店と渋谷店の大きな違い、それは「火」。
渋谷店では全てガス火で提供されるのだが、浅草本店の1階と地下1階では炭火で提供される(2階はガス火)。
更に、渋谷店は全て椅子席だが、浅草本店の1階の一部は座敷となっている。
この座敷に、座敷の端から端まで大きな板を一枚渡し、両側に座布団を並べただけのシンプルな座席が用意されている。
板の上にはネギと薬味を入れた箱、注文をすれば板の上に、炭火とどぜう鍋が運ばれて来る。
板は高さが無いので、背中を丸めて鍋をつつく。
さながら江戸時代の浮世絵や絵本に出て来る客の様に、どぜう鍋を食べることになる。
これがまた、味わい深い。
駒形どぜうは提供される料理が、ドジョウという材料、下町ながらの濃い味付け(地域によっては「辛い」と評される)が一癖も二癖もあり、食べる人を選ぶ料理ではあるが、一種独特の空間と併せて、特に浅草本店がオススメのお店である。
行った日:2016年7月28日
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?