見出し画像

拮抗!求められる要素は何か? #スプリンターズS 全頭評価

はじめに

今回よりモチベーション向上のため、試験的に有料記事を書いていこうと思います。各馬見解までは今まで通りで、有料記事では、より掘り下げた分析と、なるだけ回顧も記載していこうと思います。読み返してご満足頂けるような記事作成に努めて参る所存ですので、ご興味がございましたら、是非ご購入頂けますと幸いです。

なお、予想印や買い目は無料で見解も含めた予想は有料とさせて頂きます。

2024-10-05 13:40 追記

有料部分を無料公開しました。


展望

高松宮記念に続き、今回も香港馬が参戦。しかも2頭。昨秋からGⅠで連対中のマッドクールですら、香港のGⅠでは手も脚も出ない状況な訳ですから、同カテゴリ内にレベル差には明らかなものがあります。各馬見解におけるビクターザウィナーの項で述べますが、香港馬は高松宮記念よりシャティンに近い条件で走れるようになるため、これらのパフォーマンスはある程度天井付近と仮定して見るのが良さそうではあります。

逃げ想定となるのはビクターザウィナーとピューロマジック。斤量の都合、後者の方がハナを取り切る可能性は高いと見ています。あとはどういうペースで逃げるかですが、セントウルSや高松宮記念に近いラップで推移した場合は、日本馬が圧倒的に有利になると思います。高い強度の逃げも想定され、その場合に日本馬が壊滅する可能性はありますが、今年の出走馬はある程度バリュエーションに富んだメンバーになりますし、実力通りに決まって香港馬にコテンパン、という結果は起こりにくいかと。ピューロマジックが逃げで進める限りは、ペース自体は7:3ぐらいの可能性でハイペースになると推察します。

先週のオールカマーが内の先行馬で決まり、コース替わり前週のセントライト記念も内で控えたアーバンシックが勝つ辺り、中山競馬場の芝コースは内有利のトラックバイアスが顕著です。内枠に入った先行馬が相当に有利と見ていますが、外差しが間に合うかどうかはペース次第。馬群が凝縮する展開や前が崩れるような展開となれば差し馬も台頭できるかと。平均ペースで縦長、というのが一番厳しいです。金曜〜土曜と雨が降り、日曜は降らない、ないし降り続ける予報ではあるため、重馬場での開催も一考に入れたい所です。

今年の出走馬に共通して言えるのは、指数上で差の開きが小さく、得意とする展開やペース、各馬のストロングポイントが異なるという事。勝利には運が絡むというより、高い対応力を有したスプリンターが(ほぼ)居ないというのが表現としては正しいです。恐らくサトノレーヴが1番人気となりますが、そこまで一本被りするかという程でもないでしょう。予想や馬券の買い方は、展開を決め打ちしてそれに合致する馬で固めるか、これと決めた1頭のみに絞るか、の二択がベターに感じます。各馬の見解の後に、ある程度タイプ分けをしています。是非予想の参考に役立ててください。

枠順発表後の金曜以降に、もう少し追記していこうと思います。


予想

各馬の詳しい見解は有料部分にて記載していこうと思いますが、こちらではやや大局的な内容で。今回の出走馬は指数値の上下差の小さいメンバーとなりますので、トラックバイアスや展開に比重を置くのがベターになるかと思います。とはいえ、先行馬が外、差し馬が内になる枠順の並びからは、単に内枠の先行馬が有利になるとは断定がしづらい状況で、密集地帯にはなりそうな予感がします。

個人的には、こういうポジション争いが激化しそうな並びで、馬群を捌くかどうかというよりも、追走限界を超えた位置取りをするリスクが高い気がしています。狙いたいのは外枠の先行馬と内枠の差し馬。外枠の先行馬は押し引きを選べる立場にありますし、内枠の差し馬はやる事を限定できるためです。やや変則的な印の打ち方をしているものの、意図は概ねこの辺り。

買い目は◎○の単勝+複勝とシンプルに行きます。オール複勝でも合成オッズは2倍超え。まあ置きに行っていますが妥当線でしょう。気分が乗れば単勝2点で仕留めに行きます。


各馬見解

●ウイングレイテスト

指数:B+(重賞級・上位)
追走:B+
末脚:-
評価:B

昨年の米子S(4着)で強烈なハイペースを追走した経験を活かし、1400m戦を中心に堅実な走りを見せています。1200m以下への転戦は2走前でしたが、斤量59キロを背負い少差の2着を連発。どちらも勝ち馬以上に評価できる内容でした。定量戦に戻る以上は侮れない1頭になりますが、7歳馬という事もあり、前述の米子Sから1年以上同じぐらいの指数でしか走破ができていません。もう1段階上のパフォーマンスを期待するには、ペースの恩恵というのは必要不可欠かもしれません。ハイペースは上等というクチでしょう。

●ウインマーベル

指数:A(GⅠ級)
追走:B
末脚:-
評価:A

ここ1年で勝った3走の内容が非常に良く、追走力と持続力では他をやや離して優秀かと思います。阪神C、阪急杯は共にキツいペースで流れましたが、減速率を抑えて踏ん張っています。京王杯においても、超加速を見せたレッドモンレーヴの減速を差し返すような形でスピードを維持し続けています。序盤から流れる中山1200mは絶好の条件ですし、内を立ち回っての先行も上手な馬ですので、普通に勝てるポテンシャルは十二分にあるでしょう。

とはいえ、斤量優位の2022スプリンターズS以後は、純1200m戦で掲示板にすら乗れていないのは気になる点。瞬発力勝負で分が悪い以上、負けたレースに末脚のレベルが求められているというのは仕方無いのですが、絶対的なスピードレンジとして1200mはやや短いのだと思います。消耗戦を望みたい所です。

●ヴェントヴォーチェ

指数:B(重賞級)
追走:-
末脚:B
評価:C

やや末脚特化型のスプリンターで、定量戦となるオーシャンSとキーンランドCを、着差を付けて勝っているのは魅力的ではあります。斤量が軽かったとはいえ、2022年春雷Sでロードカナロアのレコードにコンマ1秒と迫るタイムを叩き出したのは好印象。ルメール騎手がこの人気で走るのも非常に稀でもありますし、期待値が無い事はないと思いますが、流石に1年半ぶりのレースでパフォーマンスを求めるというのも酷な話。更に成長しようかというタイミングでの離脱ですし、ピクシーナイトより難しい状況かと思います。

●エイシンスポッター

指数:C+(OP級・上位)
追走:-
末脚:A
評価:C+

前走は勝ちに行っての2着でしたが、しっかりと着差は付けられました。追走を放棄した追込を続けている分、お祈りのようなレース質が目に留まります。そこはオオバンブルマイと同じですね。前走を踏まえてどういうレースをするのかは鍵ですが、どういうレースをするにしろ、勝つまでは想像しづらいのがネック。まあオッズは付くと思いますので、オオバンブルマイよりは期待値こそあります。指数値的にどっこいではありますので。

●オオバンブルマイ

指数:B(重賞級)
追走:-
末脚:A
評価:C+

前走は目の醒める末脚でスプリント適性を感じるような内容でしたが、勝算を度外視したレース内容なのは否めません。溜めれば大爆発する可能性こそ秘めていますが、GⅠ級の流れで前走と同じレース運びは更に厳しくなるでしょう。立ち回りの巧さが光る馬ではあったものの、キャリアの浅い点から追込の形にシフト。自力強化というより相手に引き上げられてのレースと感じますので、またキャリアを積んだ頃に見てみたい1頭です。展開が向けば3着辺りにしれっと。

●サトノレーヴ

指数:A(GⅠ級)
追走:C+
末脚:C
評価:A+

休み明けの4走前阪急杯で苦しい追走を経験し、勢いをそのままに目下3連勝中。全体的に各要素のポテンシャルが高く、非常にバランスの良いスプリンターです。内先行有利のトラックバイアスにも完璧に合致する勝ちパターンを持っており、人気通りに評価して良いと思います。成長曲線もしっかりと段階を踏んでおり、その上でパフォーマンスダウンをしない訳ですから、一気の頂点まで上り詰めても不思議ではありません、

レースキャリアが浅いため断言はできませんが、負けた2戦を評価するに、終盤にかけて減速率が高くなるような消耗戦は不向きに感じます。勿論、高いスピードを維持し続け減速率の少ない走りをするというのがこの馬のストロングポイントではありますので、大きい弱点という程でもありません。隙は少ないです。

●ダノンスコーピオン

指数:B(重賞級)
追走:-
末脚:-
評価:C

何をもってスプリント適性とするかですが、流石に距離が短いかなという部分は大きく、そこまで流れていない前走も追走はからっきしという状況でした。3歳時の富士Sをキャリアハイのパフォーマンスとして、そこから調子が上がりきっていないという現状ですが、まだまだ復調には程遠いかなという所。1400m辺りにはそれなりに高い適性を示していますが、シンプルにスピードレンジがマイルの馬なので、ソフトに乗る戸崎騎手とも相性が良くないです。調子を上げるという意味では、良いタッグではあるんですけどね。

●トウシンマカオ

指数:A(GⅠ級)
追走:-
末脚:A
評価:B+

溜めた際には強烈な末脚を発揮する馬で、ナムラクレアに追随するような形で勝ち星を伸ばしていますが、成長曲線のアウトラインはよく似ています。勝ち星が伸びた要因としては、菅原騎手が手の内に入れているというのが大きいです。その点ではナムラクレアより高く評価できるのもポイント、こちらの方がやや追走力も有しています。

キャリアの積み重ね上はバランス型のスプリンターではありますが、追走力を求められ過ぎると力を発揮できない側面があり、現状は溜める形がベストの末脚特化型です。馬群の外から斬る形を勝ちパターンとしていますので、内先行有利となるトラックバイアスには完全に逆行していますが、それ故に爆発力も大きく秘めた1頭です。ナムラクレアと違って堅実性まではないので、狙うなら単勝でしょうか。

●ビクターザウィナー

指数:A+(GⅠ級・上位)
追走:A+
末脚:-
評価:A+

スプリント王国の香港で逃げている馬なので、流石に追走力はメンバー中随一となるレベル。テンの速さも相まって、今回も逃げ候補となる1頭です。ピューロマジックとの競り合いに関しては、こちらは譲らないという構えでしょうし、恐らく7:3ぐらいでこちらが逃げると思います。加速力も高いため、余力の残るレースであればラスト400〜200m区間で急加速して後続とリードを広げるという事も可能。直線の短い中山コースとも相性が良さそうです。

前走の敗因は左回りにあると見ていますので度外視するとして、チェアマンズスプリントの内容は気になる所。勝算度外視の先行馬に絡まれると余力を完全に失うという典型例ではありましたが、そういうレースに強くはないタイプに感じました。ウイングレイテストやウインマーベルが好む強烈な消耗戦には不向きで、どれだけ労せずに先頭に立てるか、というのはひとつポイントとなります。流石に指数的には圧勝してもおかしくないです。

●ピューロマジック

指数:B+(重賞級・上位)
追走:A
末脚:-
評価:B

抜群のテンの速さを誇り、スプリント戦では全戦逃げてレースを進めていますが、無理をして先頭に立ったという訳ではなく、ゲートの巧拙に関係無くピッチレンジの高さと加速力で労せず先頭に立てるというタイプ。2歳時には阪神1200m戦では古馬も含めて最速となる前半3F32.6というスピードで逃げ粘っており、鍛えた追走力を生かして北九州記念もかなり速い速度で逃げましたが後続を封じ込めました。

一方で、強度を上げずに逃げたセントウルSでは見せ場無く沈んだように、明確な負けパターンというのも存在します。テンの速いビクターザウィナーが相手でも斤量優位を活かして逃げる事はできると思いますが、馬の今後を見越しての横山典弘騎手の登用にはどうなるか分からない部分を感じます。速いペースなら2番手でも問題無いとは思います。

●ナムラクレア

指数:A(GⅠ級)
追走:-
末脚:A+
評価:B+

この中でも指数値的にはトップなのですが、ハイペースを自力で刺しに行く競馬を思い切り不得手にしており、2022・2023スプリンターズSや2024キーンランドCはそれが起因で負けています。3歳時から追走経験を踏ませていれば、絶対的なチャンピオンホースとして君臨していた可能性はありますが、タラレバと分かりつつも、少ないキャリアで力を付けたサトノレーヴとは明暗が分かれている形。

一方で末脚はトウシンマカオを双璧を成しており、直線まで我慢ができれば凄まじい爆発力を持っているので、今回もそれを生かしたい所です。横山武史騎手の代打騎乗となりますが、そういう競馬は継続騎乗で見られるというのが基本線。ソールオリエンス等で度々見受けられましたが、横山武史騎手は先行屋で仕掛けもやや早いです。加速が急すぎる浜中騎手より前進する可能性はあるものの、そのひと押しでGⅠに手が届くメンバー構成はとっくに過ぎてしまった印象です。とはいえ堅実には走るので抑えは必至。

●マッドクール

指数:A(GⅠ級)
追走:-
末脚:C
評価:A

大敗→好走→大敗をループしている気もしますが、国内実績ではトップクラスで指数も優秀です。やや末脚特化ではありますが、ママコチャと似たタイプのバランス型のスプリンターで、馬場不問なのも魅力的。前走のチェアマンズスプリントは押して先頭に立つというあまりに無茶なレース内容でしたが、それが追走力向上の糧になっている可能性も考えられます。これ、高松宮記念の時にも書いていた気が。

明確に消耗戦は不利としており、GⅠの2戦も内をロスなく立ち回ってのもの。道中で消耗し過ぎない立ち回りは求められています。こう書くとGⅠ馬2頭が立ち回りだけで勝ったように見えますが、流れを演出したり流れを無視したりしなければパフォーマンスダウンする馬が勝てていないというだけの話。流れに乗れば力を発揮するというのは強みと言えます。今回も休み明けとなるので、不安材料はそこもありますね。

●ママコチャ

評価:A(GⅠ級)
追走:-
末脚:C
評価:A

姉ソダシ同様に、それなりに速い流れの時計勝負に滅法強く、絶対的なスピード能力の高さを感じます。何だかんだ中山競馬場の時計は速いですし、良馬場なら是非抑えたい1頭。前走のセントウルSは勝ち馬トウシンマカオより2キロ重い中で0.1秒差と健闘、勝ち馬より評価できる内容でした。鮫島騎手には申し訳無いものの、コースを知り尽くした川田騎手とのタッグも心強いです。

弱点もソダシと同じで、極端に速い流れは不得意としています。昨年の阪神Cなんかがそうですね。春は調子が上がり切らずレースを使えていませんから、今年もある意味試金石。1200m戦のキャリアは未だ4戦と底を見せていませんが、浅いキャリアが故の脆さも内包しています。

●ムゲン

指数:B+(重賞級・上位)
追走:-
末脚:B+
評価:B

チェアマンズスプリント3着をどう評価するかという点ではありますが、ビクターザウィナーが沈むペースを雪崩れ込んだという側面は否めず、オオバンブルマイやエイシンスポッターのようなお祈り的なレースをしそうです。指数を額面で捉えると優秀ではありますが、相手に引き上げられた分でやや懐疑的に見ています。展開がハマれば一発がありそうですが、中山コースはシャティン競馬場より直線距離が短いというのはマイナス材料でしょう。坂がある分差し引きでは大きくないですが。

●モズメイメイ

指数:B(重賞級)
追走:-
末脚:-
評価:C+

差し転向して一段レベルを上げてきた印象ですが、まだトップスプリンターとのガチンコ勝負には荷が重いという状況です。押して先行していた時代に積んだ高い追走経験がありますので、見た目以上にオールラウンドな戦い方ができるのは魅力的ですが、どちらも抜群に良いという訳ではなく、流れに乗ってどこまでという所でしょうか。何だかんだまだ完全に差しでもないため、ハイペースに巻き込まれると苦しい一面も見せると思います。

●ルガル

指数:A(GⅠ級)
追走:C
末脚:-
評価:B+

追走力の高いスプリンターで、2走前のシルクロードSはかなり速い流れを2番手から圧勝。成長次第でスプリント界の中心になれるような素晴らしいパフォーマンスでしたが、その後の高松宮記念では案外の負け方で、後に骨折が判明しています。全治6ヶ月以上の見込みだったはずですが。

ゲートに問題がある点と骨折明けという点が気になるものの、1200mの指数値ではやや抜けたものを持っているのが魅力的。成長を見せておらずとも、力を出し切れば勝てるメンバーに感じますし、ここは強気に印を打っても良いのではと感じます。高松宮記念1番人気からは落ちると思いますし、狙い目ではありますね。




ご購入頂きありがとうございます。有料部分では、各馬の見解を踏まえた上でもう少し掘り下げる事ができればと思います。予想の参考に役立てて頂ければ幸いです。


各馬のタイプ分け(以下有料)

出走馬がある程度バリュエーションに富んでいるため、「追走力型」「バランス型」「末脚特化型」の3タイプに分けました。指数で買うのもアリですが、ある程度メンバーレベルが拮抗している以上は、同型の馬券を買うのがベターかなと感じます。あくまでタイプ分けなので、追走・末脚値は各馬見解をご参照ください。上から指数順には並べています。なお、太字の馬は指数値Aになります。

追走力型

【消耗戦特化】
ウインマーベル(◀︎◁◁▷▷▷)
・ウイングレイテスト(◀︎◁◁▷▷▷)

【ハイペース特化】
・ピューロマジック(◀︎◁◁▷▷▷)

【バランス寄り】
ビクターザウィナー(◁◀︎◁▷▷▷)
ルガル(◁◀︎◁▷▷▷)

バランス型

【追走力寄り】
サトノレーヴ(◁◁◀︎▷▷▷)
・モズメイメイ(◁◁◀︎▷▷▷)
・ダノンスコーピオン(◁◁◀︎▷▷▷)

【完全バランス型】
ママコチャ(◁◁◁▷▷▷)

【末脚寄り】
マッドクール(◁◁◁▶︎▷▷)

末脚特化型

【バランス寄り】
トウシンマカオ(◁◁◁▶︎▷▷)

【後半戦特化】
ナムラクレア(◁◁◁▷▷▶︎)
・ヴェントヴォーチェ(◁◁◁▷▷▶︎)

【決め打ち特化】
・ムゲン(◁◁◁▷▷▶︎)
・オオバンブルマイ(◁◁◁▷▷▶︎)
・エイシンスポッター(◁◁◁▷▷▶︎)

ペースに応じた狙い馬

実際問題、どういうペースであれ狙い馬が大きく変動するという事はないと思いますが、追走力型の大多数の馬は末脚値がそこまで高くなく、文字通り流れないと苦しいというのが凡その見方。末脚特化型の馬は自身の追走レンジが苦しくなると途端に脆さを見せる馬が殆どですので、追走力型が好走できてかつ末脚特化型が苦しいレベルのハイペースだと厳しいです。

先週のカンナSで2歳レコードを出したエコロジークの1:07.2を指数値Cとするなら、ルガルのシルクロードS(指数トップ)で1:06.1となります。このタイムで行くと、中山芝1200mの平均前傾値(後半3F÷前半3F)は凡そ101.1%となりますので、1:06.1を勝ち時計とした場合、32.8-33.3程度が実質的なイーブンペース。シルクロードSの自身のラップバランスであれば、32.3-33.8辺りが近い数字です。

※エコロジークの32.6-34.6は前半区間が強い向かい風のため、数字上では上記のタイムより追走負荷が高い状態となります。

馬場がどの程度重くなるのかという話でもありますが、ここまでの高速馬場であれば前半3F32.0以内であれば全馬が苦しいような殺人的ハイペースとなると思います。流石に雨予報となるため、勝ちタイムが1:08.0と仮定すれば、前半3F32秒台に突入した時点で消耗戦となります。なお、イーブンペースは33.8-34.2となります。シルクロードSのルガルで33.2-34.8前後です。

ウインマーベル、ウイングレイテスト、ピューロマジック辺りはこういうラップを望みますが、後続馬はどの程度まで追走を許容できるかも分析しています。勝ちタイムを1:08.0と仮定し、全馬のオーバーペース基準タイムを以下に並べました。指数値で補正を欠けていますので、こちらも是非ご参考までに。

・ピューロマジック:32.6
・ウイングレイテスト:32.7(+0.1)
・ビクターザウィナー:32.7(+0.1)
・ウインマーベル:32.8(+0.2)
・ルガル:32.9(+0.3)
・サトノレーヴ:33.1(+0.5)
・ママコチャ:33.1(+0.5)
・マッドクール:33.2(+0.6)
・モズメイメイ:33.5(+0.9)
・トウシンマカオ:33.6(+1.0)
・ダノンスコーピオン:33.8(+1.2)
・ナムラクレア:33.9(+1.3)
・ヴェントヴォーチェ:34.0(+1.4)
・ムゲン:34.2(+1.6)
・エイシンスポッター:34.3(+1.7)
・オオバンブルマイ:34.5(+1.9)

上記の並びはあくまでキャリアハイの追走値から逆算したものですが、ナムラクレアやトウシンマカオはこういう前半値でもしっかりと末脚は繰り出せます。爆発という側面から考えると、そこから+0.5秒前後は欲しい所です。ムゲン、エイシンスポッター、オオバンブルマイは正直キャリアハイの追走値からの逆算が困難なため、末脚を繰り出す上での限界値を算出しました。これ以上のラップで追走すれば、パフォーマンスレベルが落ちると思います。

サトノレーヴ、ママコチャ、マッドクールは逃げ馬の前半3Fが32秒台に突入した際、先頭から4馬身圏内であればオーバーペースとなる可能性があります。ただ、6〜7馬身後方になったとして、同程度の位置にナムラクレアやトウシンマカオが居れば直線で競り負ける可能性が出てきますので、理想的な追走位置は先頭から4〜6馬身後方の追走で、更に2〜3馬身後方にナムラクレアやトウシンマカオを置く形。そこまで流れなければもう一列前を取っても良いかと思います。

オーバーペースラインが0.6秒圏内の8頭は、内先行有利のトラックバイアスを活かせる可能性が高いです。展開利を受けやすい側面はあるものの、雨による馬場悪化や、先頭から3〜4馬身圏内のインに4頭以上集まるような密集が起これば、シンプルな不利を受けやすい可能性も考えられます。馬群自体はそこまで凝縮する可能性は高くないものの、そこは一考の余地ではありますね。

今回はここまで。最終的な見解は土曜の夜に公開したいと思います。


2024-09-28- 追記


ビクターザウィナーが外、ピューロマジックが内の並びとなりましたが、絶対的なテンの速さは後者の方が上となりますので、スタートして100m前後まではピューロマジックが前を取る形になるかと思います。そこからビクターザウィナーが主張すれば、ピューロマジックは素直に引くと思います。2022年のファストフォースvsテイエムスパーダをよりシビアにした形。

ピューロマジックがどこまで下げるかですが、横山典弘騎手は2番手の競馬が相当に上手い(勿論モレイラ騎手もそうですが)ため、後続を潰す意味では、1馬身後方程度に留めるか、完全に下げ切るかのどちらかを戦法として行う可能性があります。前者の方が相当に確率の高い話。ウイングレイテストは2番手まで押し上げてくる可能性が高いです。

問題はここからで、3番手となる位置に内からウインマーベル、ママコチャ、マッドクール、サトノレーヴ、ルガル辺りが密集しそうな地帯が出来る点。この3番手集団までのエリアでは、恐らく先頭から4馬身圏内と推察。ウインマーベルやルガルは良いものの、他3頭は追走限界を叩く可能性が見えてきます。幾ら苦しい流れに巻き込まれそうとはいえ、順当に予想した際の勝利圏内はこの5頭かと思います。ナムラクレアはここに絡むか絡まないかは鍵で、積極的に絡むならよほどスタートが良くない限りは沈む可能性が高いです。

行かせた位置にトウシンマカオや他差し馬の並び。先頭からは6馬身以上は離れていると思いますし、追走限界は前の動き方次第です。菅原騎手が狙うのはこの形で、前からは8〜9番手の位置。なお、オオバンブルマイは更に下げて決め打ちすると思います。外に出したいトウシンマカオと違い、外を回すと間に合わないと思っているでしょうし、捌けるかどうかだと思います。

やはりこの並びで展開利を受けそうなのはトウシンマカオで、追走を意図的に放棄出来る形で道中はロスが無く、先行馬が外を回す都合、直線までにスパートを意識するのは比較的にスムーズ。不利もありそうですが急加速自体は得意。直線まで余力を温存するのが急題になるこの馬にとって、理想的なペース配分でスパートできそう。

3番手集団における有利度合いは、2年連続でポジションを上手く取れていないウインマーベルが一番内でやや不利。ウインマーベルは持続性能こそ高いですが、加速力では劣っている側面は否めず、ポジション争いの激化するレースでは内枠の利を生かす他無い状況。五分五分程度でしょう。

逆にポジションを取りやすいのはサトノレーヴで、外枠でテンの速さを存分に生かせる格好。内にも外にもスタートの速い馬は居ないですし、内枠で立ち遅れるリスクと外枠のロスは、並びの上で差し引きはプラス。追走しすぎるリスクはありそうなものの、許容範囲で収めるような塩梅が選択できるのはポイント。

ポジション争いに有利なサトノレーヴに対しプレッシャーを与えられるのがルガル。追走力はサトノレーヴ以上と見ていますが、厳密には五分五分に近いとは思っています。その分、近い位置で競馬ができて、かつ外に居るという利点は良いと思います。外を回すロスをどう減らすかというのは求められている点ではありますが、人気以上の魅力を感じます。指数値もトップですし、ここは対抗評価で。

ママコチャ、マッドクールは並びで入った以上は立ち回りで難しいラインですね。マッドクールの方がやや末脚値は高いので、ママコチャを行かせてその内に入る形が理想形。追走値ではママコチャに負けていますので、選択権は内のママコチャにありそうです。横の競り合いよりもどちらかを行かせてという並びにはなりそうです。ほぼ同型の並びですので、流石にサトノレーヴの方が有利の状況かと思います。

ビクターザウィナーは恐らく逃げるでしょうが、どれだけ労せず先頭に立てるかは鍵。ピューロマジックが前に出てそれを交わす際の余力消耗度を考えると、高松宮記念より難しい競馬になりそうですし、坂あたりで止まりそう。ナムラクレアは前半にポジションを取りに行くかどうかが全て。勝ちに行く事を考えると強気な内容をしてきそうで、前半から負荷が掛かる可能性は高いです。トウシンマカオのように溜めに行く戦術を取れば、それを外で蓋ができる分勝ちまで見えても良さそうには感じますが、まあ序盤から勝ちに行く内容で来そう。

ウイングレイテストはどう出るかですが、2番手でピューロマジックやビクターザウィナーと競り合いなら馬券内まであっても良さそうです。3番手集団だと終始外なので厳しいですが。流石に14番人気はやり過ぎ。オッズ妙味は高いです。


最後に馬場差を考察すると、中山芝コースはそれなりに時計の出るコンディション。シルクロードSのルガルで1:06.5、レコード更新辺りになると推察します。前後半は32.5-34.0辺りでしょうか。風がフラットな辺りとして、ピューロマジックのオーバーペース基準値は32.0辺り。北風の影響はあると思うので、更に速くなって良さそうです。前半に33秒を切る馬が半数以上になる可能性まで呼んでいます。雨は降らなさそうですね。重馬場が苦手な馬にとっては朗報。

ここまでご覧頂きありがとうございます。馬券の参考に少しでも役立てて頂ければ幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?