見出し画像

2022年クラシックホース番付の振り返り


春クラシックも終わったことですし、本記事では上の2つの番付から上位に挙げた馬の回顧を行い、菊花賞や秋華賞で有力な馬も紹介できたらと思います。

先にネタバレをすると、牝馬編はそこそこ酷い有様で牡馬編は慧眼が光る結果となりました。昨年はそこから秋に向けて、タイトルホルダーとソーヴァリアントを評価したり、アンドヴァラナウトやアナザーリリックを評価するよう形になりました。

春クラシックを終えて順位変動なども考慮しながら、秋クラシックに向けて展望を述べていこうと思います。

牡馬番付

1位:イクイノックス
(皐月賞2着→ダービー2着)
牡馬編で文句無しの1位指名をしたのがイクイノックスでした。結果的に春クラシックではどちらも惜敗に終わったものの、その素質の高さは遺憾無く発揮されたかなと思います。ルメール騎手とも手が合っていましたし、完成はまだまだ先に映りますが今後の中長距離では間違い無く主役級の能力を持ってるかなと。
菊花賞への出走判断は分かりかねますが、仁川の三千よりも淀の舞台の方が合いそうなので、今後のローテ的にはフィエールマンに近い歩み方をしてくるのではないかなと思います。海外競馬に近いローテにはなりますが、早い段階で賞金加算できた分、今後はゆとりを持った使い方をしてくるのではと感じます。現状の完成段階から見るに、3歳時は歯痒い結果に終わりそうなのは致し方ない部分ですね。

2位:キラーアビリティ
(皐月賞13着→ダービー6着)
順調さを欠いてしまいましたが能力の高さは見せてくれました。ダービーでは好馬体での出走が叶いましたが、皐月賞で精彩を欠いた分のツケが回り、皐月賞上位組には惜しくも及ばない結果になってしまいました。今後のローテ的には気性的に中距離メインの使い方になってくるのかなと思いますが、実質ディープのラストクロップに恥じない活躍に期待しています。能力的に足りないという訳ではないですし、巻き返しに期待していきましょう。

3位:ドウデュース
(皐月賞3着→ダービー1着)
皐月賞前に凱旋門賞挑戦が発表され、記事で挙げたような予想が的中する形となりましたが、完成された馬がこの春で更に進化を遂げ、ダービーではレコードを叩き出す結果に終わりました。春は完全に順風満帆と言って過言ではないですし、ダービー時には本命に挙げたように、凱旋門賞も狙える馬に成長していってるなという印象があります。
想像以上に奥がありそうで、昨年のセントマークスバシリカが断念したローテーションで凱旋門賞への挑戦となります。心肺機能に関しても問題は無いですし、高回転の双方はヨーロッパの急坂も熟ると踏んでいます。斤量的にも有利な以上、ここで決めて欲しいなという気持ちが大きいです。アイリッシュチャンピオンを挟む点も、海外競馬で培ったスタミナを持つステイフーリッシュ、日本競馬屈指のハイラップを刻めるパンサラッサ、世界でも指折りのスタミナを持つタイトルホルダーと相手には不足無しで、順調に行けば日本馬では最も有力な1頭に映りますね。

4位:ジオグリフ
(皐月賞1着→ダービー7着)
皐月賞ではダノンベルーガより評価できるという判断は間違っていませんでした。ただ、やはりダービーには向いていないタイプでしたし、今後のマイルから中距離の路線で活躍してくれるかなという印象です。この世代的にダイワメジャーっぽいですね。ドレフォン産駒の距離適正などを図る為に菊花賞や有馬記念などに出走されそうなイメージですが、狙うとすればマイルCSや宝塚記念などの仁川のコース形態です。有馬記念は人気を落とすようならある程度厚めに買いたいですね。

5位:ダノンベルーガ
(皐月賞4着→ダービー4着)
この馬に関しては周囲が期待し過ぎてしまったように感じます。もう少し長い目で見てくるとハーツクライやスワーヴリチャードのような息の長い活躍も見込めると思いますし、馬体や精神面での完成が待たれるばかりです。

6位:アスクビクターモア
(皐月賞5着→ダービー3着)
ダービーで最も強い競馬をしたのがこの馬でした。想像以上にスタミナ含有値が高く、菊花賞ではイクイノックスとのマッチレースになりそうですね。タイトルホルダー同様人気しづらいタイプで狙い目のレースが続くと公言していましたが、ダービーでは完全にそこを突かれました。時計決着が読めていたので向いてないと思いましたがやはりそこは天下のディープ産駒。馬券的な話にはなりますが、弥生賞ではこの馬を軸に当時無敗のドウデュースを2着に三連単を的中させたのにもかかわらず、ダービーではドウデュースを軸にこの馬をガン無視してしまったのがやはり恩知らずでした…

7位評価のオニャンコポンとドゥラドーレスは変わらずの評価。今週に出走する予定がありますので、まずはそこを見守ってからこの馬たちは評価したいと思います。順調ならどちらもセントライト記念に出ると思いますし、アスクビクターモアとの差がどこまで縮まっているかに注目したいと思います。
面白かったのはプラダリアでした。1月デビューとかなり遅咲きながら使い詰めで青葉賞1着→ダービー5着まで結果を残しました。想像以上に精神面が強い馬でしたし、速い上がりを使える馬ではないですが、今後はゆとりを持ったローテーションで臨む以上、期待値も込めて高い評価に上げたいと思います。パワーがありそうなので今年の菊花賞では有力候補です。

春を終えての順位
1位:イクイノックス
2位:ドウデュース
3位:アスクビクターモア
4位:プラダリア
5位:ジオグリフ
6位:ダノンベルーガ
7位:キラーアビリティ
8位:ドゥラドーレス
9位:オニャンコポン
10位:デシエルト

この10頭を十傑として、しばらく様子を見たいと思います。サトノヘリオスなんかも気になる1頭ですね。

牝馬編

1位:ナミュール
(桜花賞10着→オークス3着)
思えば牝馬クラシックは中々に変な条件が重なりましたね。桜花賞ではガッツリイン前有利で全く外が差せない状態、オークスでは放馬で発送が遅れる。この春ではそういった面で力を発揮できなかった馬が多かったようにも感じます。その中で二冠馬となったスターズオンアースは紛れもなく強いですし、怪我をしてしまったとはいえそこを崩すには力プラスの成長力が欲しいなと感じました。
この世代でのナンバーワン評価はナミュールでしたが、まあ難しい馬でしたね。幾ら昨年の二冠ジョッキーが手綱を取ったとはいえ、熟練でも乗り難しいタイプに感じました。とはいえ、課題となっていたゲートと折り合いには多少の前進を見せ、何とか持ち直しせる状態には持って来れたかなと思います。秋華賞は実施されて以降未出走を除き全てオークス4着以内が勝っています。その権利を掴み取っただけでも十分だと思います。一歩リードですね。

2位:サークルオブライフ
(桜花賞4着→オークス12着)
オークスの崩れ方が個人的にあまり好きではないですね。気性的な難しさが出てしまったのかなと思いますが、牝馬限定の2400mで道中最後方追走から上がりもレースの上がりと同程度は流石に負けすぎなのではと感じます。勿論2歳女王で強い馬なのは間違い無いですが、それ以上に立て直しに苦労しそうな印象を受けてしまいます。順調に使えたとて秋華賞より後の路線以降での勝負気配になるのではと推測します。桜花賞は勝てた戦いではありましたし、そこでの敗戦からメンタルを限界値まで持って行ってしまったのかも(実際はそこまででしたけど、放馬で大きく崩れてしまいましたね)。走る気を失くしていなければ良いのですが…

3位:プレサージュリフト
(桜花賞11着→オークス5着)
現状力不足ではないですが、馬が若いのかなと感じました。スターズオンアースとは正直埋めにくい差が生まれてしまいましたし、キャリアも浅かったことからも、若干慎重に進めた分春では敗戦を重ねてしまったのだと思います。オークスの追走面を見る限りでは良化途上にあり続けている印象ですし、秋で開花するかと言われれば判断に困りますが、進んでいく過程的には今後も侮れない存在に映ります。木村厩舎も急仕上げをするタイプではないですし、まだまだ先の馬でしたね。

4位:ウォーターナビレラ
(桜花賞2着→オークス13着)
馬は一定レベルの完成度に達しており、桜花賞では惜しくも敗戦という結果に終わりました。オークスは距離的に度外視で問題ありませんが、比較的長めの距離を使ったことで秋華賞は良化してくるのも事実です。ナミュールやスタニングローズほど強い内容を中距離で残せるかと言われれば微妙ですが、秋華賞でも好勝負に期待が持てます。完成形は現4歳だとファインルージュに近いと思いますし、今後の路線的には中距離には見切りをつけてしまう可能性もありますが、マイルCSでもそれなりに面白い存在だと思います。

5位:ライラック
(桜花賞16着→オークス11着)
流石に馬が若すぎますね。年単位で先の馬に感じましたし、馬体重も軽い点から秋以降大幅に進化してくるかと言われればほぼ不可能だと思います。ここで終わってしまう馬にも思えますが、ここからの立て直しは厩舎の腕の見せ所ですし、別路線でも力を付けてくれば今後も期待できる1頭ですね。

6位:アルーリングウェイ
(桜花賞8着→NHKマイル9着)
ここはまだクラスが上の馬ではないですね。力を付けてからの今後に期待です。秋華賞の路線の方が楽しみではありますが、遅いデビューという点からも、是非夏競馬を使って欲しいところです。

7位評価で一応ベルクレスタとスターズオンアースを挙げましたが、ここでは大きく差が開いてしまったかなと思います。また、ここ2戦の立て直しという面からも、ナミュールやピンハイと比べれば完全に他馬は遅れをとってしまい、順調なら三冠阻止ができる馬はかなりギリギリのラインになってしまうかなと思います。新馬勝ちから今週2戦目のサリエラや、春は評価を下げてしまったスタニングローズを再評価して、秋に備えたいと思います。

春を終えての順位
1位:スターズオンアース
2位:ナミュール
3位:スタニングローズ
4位:ウォーターナビレラ
5位:ピンハイ
6位:プレサージュリフト
7位:サークルオブライフ
8位:ルージュエヴァイユ
9位:サリエラ
10位:アートハウス

牝馬は大幅に順位を変える形になりました。現状どの馬も夏を越えて2段階の成長が必要ですし、スターズオンアースは精神面と能力的にそう止まらないと思いました。キャリア3勝は未勝利戦とGⅠのみの極端な馬ですが、かなり先に行ってしまったと思いました。

とりあえず今年の感想としては、やはり下馬評通りにはいかないですね。今年も何だかんだ難しかったですし、春先の評価というのは高パフォーマンス=高評価なのでレース経験が浅い内に決め付けるのも中々難しい部分ではあります。牡馬で見た高パフォーマンスをそのまま評価に転用できるような、何か大きい基準が必要な気もしますし、新馬から2歳重賞に生かせるような基準点も設けていたいところです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?