真の頂上決戦は中東の地で #サウジC (ほぼ)全頭評価+予想
先日行われたフェブラリーSでは、上位人気の馬たちが軒並み着外に沈んだ事や、同日の3歳オープンのヒヤシンスSと0.6秒しか走破時計が速くない点から「レモンポップが居たら圧勝していた」という言説が飛び交いました。
それは昨年のレモンポップにも言える事は確かで、昨年の時点ではそれまで連覇していたカフェファラオの方が一段階上の数字を持っていました。何故か昨年はあまり言われなかったんですよね。レモンポップが国内でパーフェクトな成績だったからでしょうか。
一方三連覇が懸かったカフェファラオはというと、サウジCに出走し3着賞金の200万$を持って帰りました。5着賞金も100万$なので、ダートのトップホースにとってフェブラリーSより割が良いレースなのは明らかです。
事実、国内のトップホース達が揃ってフェブラリーSを回避してこっちに来たように、ダートのトップホースは照準を世界に向けています。ウシュバテソーロがドバイWCに勝ち、デルマソトガケがBCクラシックで2着に入ったように、米国勢との差は限りなく少ないように感じますし。
加えて、現在の米国古馬路線は非常に低迷しています。ダート路線を見ても、cody's wishがトップではありましたが、レーティングもそこまで引き上がっているとは思いませんし、まあ力関係的には五分といった所でしょうか。
今回は全頭を評価していこうと思います。海外競馬で最も大事なのは追走力になる点からも、追走力も末脚と同レンジでの評価となります。評価順ではなく、日本→アメリカ→サウジ→UAEで評価していこうと思います。
スコットランドヤードとパワーインナンバーズは全くデータが読めなかったので今回は記載しておりません。
各馬見解
🇯🇵レモンポップ
昨年、国内ダートGⅠを制圧したレモンポップですが、普通に考えて能力は最上位です。根岸Sを先行して完勝した内容から考えてもスピードレンジはこのメンバーだと群を抜いていると思いますし、1800mは2戦目で、初の海外は大敗していますが、まだまだ底は見せていないと思います。
追走力もこのメンバーなら戦えますが、一方で自滅的ペースへの耐性は薄く、無理に追走した際はドバイのように見せ場無く終わる可能性も高いです。とはいえ、南部杯のパフォーマンスはクロフネの武蔵野Sに匹敵するレベルで、国内ダートでは史上最強クラス。ここは地力を見せて欲しいです。
狙いたい展開としては勿論単騎逃げで、ペースを自力でコントロール出来ればまず力は出し切れると思います。枠順がどうにも内なので、スタートを決めてハナを取り切るのが大事です。米国はハナを取り切るまでのスピードを維持する傾向にあるので、先行形でも不利になりすぎる展開だけという訳ではありませんが、差す形よりは逃げが理想です。
🇯🇵ウシュバテソーロ
レモンポップとは対極の存在で、画面外を走るような追走から後半を断続的にスパートする馬で、ダートへ転向前は芝の長距離レースを使っていたように、スタミナ質で持続性能のある末脚が持ち味です。勿論、それに至るまでの追走力も強化しており、昨年はレモンポップと並び圧倒的な成績を収めました。地力なら文句無しにツートップ。
東京大賞典では前が残る展開から、有力馬の中で最も後方から圧倒的な決め手で勝利しており、国内の同路線では全く敵が居ないというような状況です。サウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場はワンターンで、昨年BCが行われたサンタアニタパーク競馬場よりもコーナーが緩やかで直線も長いため、追込が通りやすいのも良さそう。
とはいえ、純粋なスピード勝負では分が悪いのではないかと考えており、自身がイーブンペースに持ち込めるような展開になる事がベストでしょうか。距離短縮かつワンターンになる点からも、スピードレンジの違いで追走がやや苦しくなりそうな印象は受けますが、余力はメンバー中でもトップなので、前を行く馬のハイペースの殴り合いに期待ですね。自分の形を貫けばレモンポップより勝機は高いかなと。
🇯🇵デルマソトガケ
現日本競馬においてトップクラスの追走力を持つ馬で、BCクラシックは前傾6秒以上の流れを4番手から差の無い2着に持ってきました。しかもこれは半年の休み明けでの好走というのが鍛え抜かれた強さを感じますね。
スタートで失敗してキックバックをモロに受けたケンタッキーダービーを除けば、海外で1-1-1-0とパーフェクトな戦績を残していますし、その中でレース内容を上げているという点は非常に評価できます。
正直言うと、力はあっても有利とする展開やペースが求められる2強と違って、この馬は割とどんなレースでもできるので馬券的に推したいです。ホワイトアバリオとの差はローテーションの妙だと思いますし、ホワイトが内でこの馬が外なのも逆転できそうな雰囲気を感じます。しかし、今回も東京大賞典を使えなかった点や、輸送中に他馬に噛まれた点を考えると、状態には多少不安が残りますね。
🇯🇵クラウンプライド
海外転戦でしっかりと力を付けてきましたし、前走を除けば全く大崩れせず堅実駆けしている優等生タイプです。1800mのカテゴリではスピードレンジも高く、純粋な走破時計で勝負できる馬で、レースセンスも高いので割とどんな展開でも対応可能です。
抜けた末脚や追走力はありませんが平均値が高いので、どういう条件でもしっかり好走しています。ただ理想は逃げた時で、2回しか逃げてませんが、コリアCのド圧勝とJBCで万全のテーオーケインズの2着なので非常に質が高いです。気性的な面で逃げを嫌ってる所があるので、追走力は伸ばし切れなかったのが今回のネックでしょうか。
今回でも差の無いメンバー構成だと思いますが、前走で川田騎手が「気持ちが入らない中、レースが終わってしまいました」とコメントしているように、精神面でかなり不安を残していると思います。紐で狙うならかなり面白そうな位置に居ますので、オッズ次第では狙ってみたい1頭です。
🇯🇵メイショウハリオ
今回は回避のためノーコメントです。
🇺🇸ホワイトアバリオ(White Abarrio)
年度代表馬コディーズウィッシュの引退により、現在世界最強のダートホースとして君臨している1頭です。昨年春から急速に成長し、実にパーフェクトな成績を残してGⅠを連勝しています。全7勝の内6勝は1800m以下というのもあり、BCクラシックより適距離なのではないかと思っています。
1400m以下でも2勝している点からも明らかですが、圧倒的な追走力を持っており、かつゼンダンやコディーズウィッシュを1秒千切る余力も魅力的な1頭です。日本馬に逆らうという訳ではありませんが、まあ大体どんなレースでも戦えそうな雰囲気があります。米国古馬でも一つ抜けた存在かと。
末脚質的には高くなく、余力と追走力で押し切るタイプの馬ですので、位置取りが悪くなるとメトロポリタンハンデのように差し損ねがあるように感じます。加えて枠順は最内ですので、ゲートを失敗ると即死。一番向くとしても安易に全ベットは難しい所かなと。2個隣のレモンポップの方がテンは速そうですし。
🇺🇸ナショナルトレジャー(National Treasure)
米国版クラウンプライドみたいな馬で、延長線上っぽい走りをします。追走力を伸ばして余力と根性で押し切るタイプ。地味ですが出走した三冠は全て好走しており、適距離もまあ似た所になるでしょうね。
ハナや番手の成績が中々に良く、見た目以上に力を出してくれる印象で、海外馬でも侮れない位置には居ると思います。BCダートマイルではコディーズウィッシュと差がありませんでしたし、先行すると厄介。一方で差しに回った際は不振で、サンタアニタダービーのようにマンダリンヒーローの影すら踏めない、という展開もあります。
オーサムアゲインSの2〜4着が出走しますが、力関係的にも一番買いやすいのはこの馬ですかね。穴で狙えるオッズなら狙いたいですが、ホワイトアバリオと比べるとそこそこの差はありそうで…
🇺🇸セニョールバスカドール(Senor Buscador)
ウシュバテソーロと同じ追込型ですが、こっちは余力で差すタイプで良績も1800m以下に集中しています。BCクラシックでは後方で見せ場無く終わりましたが、距離短縮は大いにプラスだと思いますし、ウシュバテソーロより上昇幅は大きいとみます。
差し損ねという内容が目立つように、ウシュバテソーロと違って圧倒的な差し脚を持っている訳ではありません。少し短いメイショウハリオというような印象でしょうか。しれっと3着ぐらいにならあり得そうです。
流石に力差を考慮すれば勝ちまでは厳しいと思いますし、直線が長いのでチャンスは増えそうですが、そこそこ人気してしまっているので切るのも正解ですかね。正直ウシュバテソーロの方が末脚は上だと思いますし、来たら来たでしょうがない枠。そもそも今回三連系は手を出さないので。
🇺🇸サウジクラウン(Saudi Crown)
ブリーダーズCで2番手から大失速した馬で、まあ追走できたかどうかはさておき、前に行く力はこのメンバー中でもトップクラスでしょう。逃げなければどうにもならないという馬ではないですが、前走のルイジアナSを見る限り、逃げれば相当良い走りをしますし、ここも先手を取りたい所。
キャリアも浅く伸び代は十分ですが、格下とばかりぶつかってきたのも事実です。デルマソトガケであっても、UAEダービーの2着馬はドゥラエレーデなので、割とレース質として高いレベルで担保されているんですよね。力関係的には苦しいかなと。
後述のホイストザゴールドとの逃げ争いになりそうですが、少し内目の枠がどうかという所です。主張するかはさておき、競り合えば100%殺人ラップになりそうなので、馬券を考える上での起点となりそうな馬ですね。なお、田んぼ馬場に適性がありそうなので、スコールとか降ったら狙います。
🇺🇸ホイストザゴールド(Hoist the Gold)
現地でもかなりの大穴のようで、逃げた時はそれなりに良いレースを見せてくれるのですが、GⅠは厚い壁に阻まれているのが現状です。外先行か逃げが打てないとキックバックを嫌がっている感じでしょうか。
恐らく逃げ争いの1頭となると思いますが、ウシュバテソーロやセニョールバスカドールが届かないレベルの逃げを打つなら脅威です。まあこれ買うならレモンポップ買いますかね。スプリントで先行するように、追走力は非常に高いものを持っていますが、1800mともなると少々荷が重い距離になりそうです。
🇸🇦ディファンデッド(Defunded)
ムラ駆けの激しいタイプですが、セニョールバスカドールやカントリーグラマーにも勝利しており、人気よりは低く見積もられているなという印象です。追走力を活かしてうまく先行できればチャンスはそれなりにあると思います。
BCクラシック3着のプロクシーを基点に考えると、セニョールバスカドールも概ね似た力関係だと思いますので、まあ地力的には劣るかなと。人気以上には走りそうですが、まあ積極的に狙いたいかと言えばという印象です。最上位層ではないですしね。
🇸🇦カーメルロード(Carmel Road)
かなり穴ですが面白いとは思っていて、前走のタイムが案外優秀なんですよね。デルマソトガケを基準に考えるなら古馬としては標準点ですし、サンタアニタダービーを勝ったプラクティカルムーブとの着差を考えるとナショナルトレジャーとも差は無さそうですし。
良い差し脚を持っていて、割と最後まで止まらず差して来れるのは魅力的です。とはいえ、普通に力で劣ってそうなのは否めず、追走力は質の高いレースの経験値でもありますし、どうにもサウジのデータが少ないですね。大穴なので、狙う事には狙いますが。
🇦🇪アイソレート(Isolate)
ドバイの数レースしか確認できませんが、抜群の追走力を持っていて、昨年のゴドルフィンマイルではバスラットレオンを完封しています。今回はハナ争いに加わる事が想定されますが、内枠を引いてしまったのは苦しい所ですね。ホワイトアバリオのマークにも遭います。
デルマソトガケのUAEダービーが優秀なのもありますが、ぶっちゃけゴドルフィンマイルは着差は良くても数字が微妙です。加えて、これまで1600mが最長距離となる中での初距離に延長というのもマイナス材料としては強く、狙うのは難しいといった所。一応先行馬を潰せなくは無いですが、差される気がしてならないです。
予想
予想軸
能力40:TB30:展開30
買い目
①④⑨⑬ 単勝4点
①-④⑦⑨⑬⑭ ワイド5点
⑬→①④⑦⑨⑭ 馬単5点
逃げ争いをしそうなのは🇺🇸サウジクラウン、🇺🇸ホイストザゴールド、🇦🇪アイソレートの3頭で、テンが速いのはホイストザゴールドなので、恐らくこの馬が先手を取るのかなと、この3頭は逃げの勝ちが印象深いので恐らく競り合うと思います。
先行集団に🇺🇸ナショナルトレジャー、🇺🇸ホワイトアバリオ、🇸🇦ディファンデッド辺りが追走し、🇯🇵レモンポップと🇯🇵デルマソトガケもまあこの辺りを追走するのではと。レモンポップに限っては一列前で単騎逃げの形が良さそうにも思いますけどね。
中団に🇯🇵クラウンプライドと🇸🇦カーメルロードの並びでしょうか。後方にかけては🇺🇸セニョールバスカドールと🇯🇵ウシュバテソーロが構える流れが、概ね想定される隊列になります。
BCクラシックの内容が良い2頭が本命で、1600mの通過タイムを考えればBCダートマイルより序列は上だと考えています。順当に決まればこの形ですが、ホワイトアバリオのオッズが安すぎるので、馬券的には除外しています。
レモンポップは単騎逃げならペースをコントロールできるので面白いですが、個人的には不利展開の割合が他馬に比べて多いので相手で狙います。まだまだ強くなる余地はありますが、現状では2人気な訳で、中々難しいかなと。
末脚レンジの高いカーメルロードとウシュバテソーロをワイドと馬単で狙います。ウシュバテソーロからの馬券は本音を言うと馬連で狙いたかったですが、オッズが付いていないので馬単になります。セニョールバスカドールも差しとしては面白いですが、純粋にウシュバテソーロの下位互換という印象は否めず、カーメルロードとの妙味を考えるなら切ります。
単勝にナショナルトレジャーも含めます。現地オッズだと10倍を割ってるので乖離値的にも狙いやすいですし、BCダートマイルもそこまで酷い数字ではありません。BC2着組は、まだ明け4歳で成長し切る要素を残していますからね。
三連系で大爆発を狙いたい所でもありましたが、保険多めで狙っていくのが定石かなと。日本馬ではデルマソトガケを応援したいので、ここだけほんの僅かに厚めに買います。