若手弁護士のキャリア考察その③〜大阪編〜

メーカーインハウスでの経験

大阪に戻り久しぶりにローカル番組を見ているとやはり自分は関西人なんだなと思いながら新しい生活が幕を開けました。
転職先では5人目のインハウスで法務部の規模としては20-30名、中には独禁法だけとか、個人情報保護法だけしか担当していない部員もいたりして、地方で企業法務をやっていた人間からすると全く未知の世界。私もメイン業務として独禁法を担当することになり、地方の事務所で独禁法なんてほとんど扱った記憶がなかったので少し面食らったのを覚えています。
また、当時かなり大型の訴訟を抱えていたため当該訴訟の管理も担当することになり、訴訟管理?という感じでしたが、要は代理人には外部の一流弁護士がついているので準備書面等は書かなくてもよく、むしろ訴訟の進行状況や見通しについて経営陣に説明する資料を作成するということでした。
一流の弁護士の書面や交渉スタイルを学べることは有益ですが一つ注意することがあります。外部の弁護士からすればインハウスは大事な顧客にあたるので丁重に扱ってもらえます。この事を忘れて自分が偉くなったと勘違いしてしまうと、その人はもう弁護士として終わりだと思います。

その他にも、契約審査、M&A、危機管理対応等、幅広く企業法務全般を担当させていただきました。
また社外ではJILA(日本組織内弁護士協会)関西支部の勉強会・懇親会等に参加し、他業種のインハウスの方とも交流し情報交換する等、充実した日々を送っていました。

2度目の転職へ

順調にインハウスとしてキャリアを積んでいると感じていたものの、転職後3年目を迎えた頃から少し物足りなさを感じるようになっていました。様々な要因があったと思いますが、やはりグローバル企業であり海外赴任等をしなければ本当に面白い仕事はできないのではないかというのも大きかったと思います。上司からも海外のロースクールに留学し現地法人に駐在してみてはどうかという打診もありましたが、家庭の事情もあり難しい状況でしたのでもどかしい気持ちでした。

そんな折にJILA関西支部でお世話になっていたインハウス界隈では有名な先生が大阪から東京に移籍するということで送別会を兼ねてキャリアセミナー&懇親会が開催され、私も参加することになりました。
このセミナーはインハウスの方には全員聞いて欲しいなと思うくらい素晴らしい内容でしたが、特に当時の私に響いたのは希少性の話でした。この先生はまだインハウスが日本に数える程しかいない頃にインハウスとなった方で、同じ時期にインハウスになった弁護士はかなりの割合で大企業の役員等の主要なポジションに就いており、希少性というのはそれだけで価値をもつという話をされていました。
当時、インハウスも人気が上昇しており、おそらく2000人を超えた頃だったと記憶しています。もはやインハウスというだけでは希少性を持たないフェーズに入っており、何か+α差別化できるものを考えないといけないと認識する一日となりました。

そしてこの日を境に2度目の転職に向けて動き出すことになるのです。

【次回に続く】

いろいろと脱線してしまい、若干タイトル詐欺っぽくなってきましたが、このまま最後まで続けていこうと思いますのでお付き合いいただければ幸いです。



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