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CL決勝直前!リバプールは選手を輝かせ、マンUは選手を潰す?
マンチェスターシティの劇的な逆転劇により、最終節での優勝で終えたプレミアリーグ。後半終盤まで0-2という展開の中で、5分で3得点し、逆転優勝を決めたマンチェスターシティーの力は、本物だといえるだろう。
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今期のプレミアリーグクラブは、欧州の舞台でも非常に高い結果を残している。UEFAチャンピオンズリーグでもベスト4に2チーム(リバプールとマンチェスターシティ)が残るなど、欧州の中でもトップのリーグともいえるレベルに達しているともいえるだろう。
プレミアリーグクラブのイメージとして、巨額な資金があり、トップクラスの選手を集めているイメージが強いのは、だいたいのサッカーファンであれば共通のイメージだと思う。今期においては、ニューカッスルがサウジアラビアの政府系ファンドに買収されたのも話題となった。
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プレミア以外のクラブとしては、レアル・マドリードやバルセロナ、直近3億ユーロともいわれる金額で契約延長をしたエムバぺが所属するパリサンジェルマンなどがイメージがあるだろう。今日はその移籍金に着目をしてプレミアリーグのクラブを見ていきたい。まず、選手獲得に使ってきた金額を見てみよう。まずは2021/22シーズンの上位6チームを対象として見ていくこととする。
2021/22シーズンの移籍動向
【移籍金/支出】最も多く使ったのはアーセナル
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2021/22シーズンにおいては、最も移籍金を使ったクラブはアーセナルとなった。
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獲得した選手としては、DFベン・ホワイトをブライトンから€58.5mで獲得し、MFウーデゴール獲得に€35m、GKラムズデール獲得に€28m、DF冨安獲得に€18.6mを投資した。
今期のアーセナルを見てみると、今シーズン獲得した選手の多くがスタメンに定着しており、大きな投資となったものの、昨シーズンの順位から比べると非常に良い補強になったともいえるだろう。
逆に最も少なかったのはリバプールとなった。
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リーグ戦では2位となったものの、エミレーツFAカップ、カラバオカップも優勝し、CLも決勝を控えているなどすべての大会において、素晴らしい結果を残してきている。今期の補強はFWルイス・ディアスの獲得に€47m、DFコナテ獲得に€40mを費やしたのみで、その他はレンタルバックの選手となった。今期の補強としては、比較的若い選手であり、かつ補強ポイントであったところのみに注力した印象。ルイス・ディアスは獲得後からすぐにチームにフィットし、コナテもスピードを活かしてアーノルドのカバーをうまくやっている。
【移籍金/収入】チェルシーが選手売却で€120mとなり、トップに
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続いて移籍金収入について触れていこう、最も多くなったのはチェルシーとなった。後述するが、チェルシーとマンチェスターシティは、毎年多くの選手を獲得するだけでなく、多くの選手の売却もしているのが特徴として出ている。
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今期チェルシーが売却した選手としてはFWタミー・アブラハムが€40mでローマに移籍した。他にはDFズマがウェストハムに€35m、DFトモリがミランへ€28.8mで移籍している。トモリとアブラハムは育成出身選手であり、ズマは2013/14シーズンにサンテティエンヌから€14.6mで獲得した選手となっており、いずれの選手も安価で獲得した選手を高く売却することに成功しているのが特徴である。
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マンチェスターシティに関しては、FWフェラントーレスをバルセロナに€55mで売却、アンヘリーニョをRBライプツィヒに€18mで、ジャック・ハリソンを12.8mで売却している。
フェラントーレスに関しては、2020/21シーズンに€33.5mで獲得したばかりではあったが、翌年には獲得した時よりも€21.5m高く売却することに成功している。
その他クラブにおいては、売却額はほぼ同じになっていた。
【移籍金/収支】アーセナルが-136.02mでトップに
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2021/22シーズンのみに目を向けると選手の売買において、黒字となったのはチェルシーのみとなっており、アーセナルが最も赤字となっていることがわかった。
5年間で捉えるプレミアリーグクラブの移籍
2017/18シーズンからの5年間はマンチェスターシティが4回優勝、リバプールの1回となっている。トップ3に入った回数に関しては、マンチェスターシティが5回、リバプールが4回、マンチェスターユナイテッドが3回となっている。
【移籍金/支出】チェルシーは5年で約€900mを選手獲得に使う
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まず、移籍にかけた金額となるが、最も多かったのがチェルシーとなり、次いでマンチェスターシティとなった。トップ3に4回入っているリバプールは5番目となっており、チェルシーよりも約€300mも少ないことがわかった。
【移籍金/収入】再びチェルシーがトップに、2位にはマンC
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次いで移籍金収入について触れていく。収入においても最も多かったのはチェルシーとなっており、次いでマンチェスターシティとなった。この2つのクラブの特徴として、オーナーが複数のクラブを持っていたり、ローン移籍をしている選手が多く所属していることがあげられるだろう。
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獲得した選手を一度もプレーすることなく、他クラブにローン移籍させ、活躍すると、所有元でプレーすることなく売却される選手なども多くなってきている。実際に、マンチェスターシティからリーズに移籍したFWジャック・ハリソンはマンチェスターシティで1度もプレーすることなく€15mで売却された。ちなみにこの選手は2017/18シーズンにニューヨークシティから€4mで獲得した選手である。日本代表の板倉も今シーズン後の移籍がうわさされており、2018/19に川崎フロンターレに支払った€1.1mよりも数倍の価格で売却されることは、ほぼ確実だといえる。
しかし、ローン移籍に関するルールが改正させる可能性が高まっていることもあり、今後どうなっていくかは見ものである。この2クラブは多くの選手を獲得し、ローンで成長させ、トップチームで使う、もしくは売却することで強くなってきたチームでもあり、この背景には、やはりオーナーに資金力の差があることは明らかである。
リバプールは、移籍金を使った金額は、トップ6の中でも少なかったが、選手を売却した金額では3番目となっていることがわかった。
2017/18-2021/22シーズン、5年間の移籍金収支
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この5年間の移籍における収支を見てみると最も赤字となっているのは、マンチェスターユナイテッドとなっており、次いでマンチェスターシティ、アーセナルとなっていることが分かった。マンチェスターユナイテッドに関しては、選手の獲得に大きな資金をかけているものの、選手の売却はあまりうまくいっていなかった印象。
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例えば、FWルカクの獲得に関しては、エバートンに€84.7mを支払って獲得したものの、インテルには€74mで放出している。他にも€42mで獲得したMFムヒタリアンをアーセナルに34mで売却するなど、選手の売却に関しては活躍できなかった選手を獲得した際よりも安く売却しているケースが多く見られた。
それとは対照的に、リバプールは、今期圧倒的な成績を残しているにも関わらず移籍金の収支においては、これらクラブの中でも最も少ない赤字額となっていることがわかった。
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リバプールは育成した選手を高く売却するのが非常にうまいクラブともいえるだろう。インテルから€13mで獲得したコウチーニョをバルセロナに€135mで売却、€8.3mでバーンリーから獲得したFWイングスをサウサンプトンに€25.1mで売却、パリサンジェルマンから€19mで獲得したDFサコは、クリスタルパレスに€28.2mで売却している。
シーズン終了後にも、フルハムからFWファビオ・カルバーリョを€5.9mで獲得しているが、この選手の2022/5/28時点でのマーケットバリューは€12mとなっており、非常に有望な選手を安価に獲得できている。リバプールの補強の特徴として、即戦力となる選手には惜しみなく移籍金を払い、投資とする選手に関しては、残契約が少なくなったタイミングで獲得に乗り出すなど、補強に特徴がみられる。
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2022/23シーズンに向けて、マンチェスターシティはドルトムントからFWハーランドを獲得するなど、すでにプレミア勢は来シーズンに向けて動きを見せている。
来シーズンのプレミアリーグにも期待。