ふりかえりで「できたこと」を積み上げる
みなさん、ふりかえり、やってますか。
アジャイルな動き方をしていくうえでは、外せない営みなので、取り組まれている人も多いのではないでしょうか。
ふりかえりにもいろいろな種類がありますよね。
3つ目は長いタイムボックスを対象にしたスプリントレトロスペクティブという意味では1つ目と同じですが、スクラムイベントとして必ず設定されているわけではないので、意識的に実施する必要があります。
本日は、そんな中長期的な (年度末の) ふりかえりを、どんな枠組みで行ったか、をご紹介します。
ふりかえりの前提
大きなプロジェクトの年度ふりかえり
四半期ふりかえりなどは都度実施
1週間〜2週間の短いスプリントでのふりかえりは実施していない
参加者は、マネジメントレイヤー
プロジェクト全体を見渡し、運営するメンバー
プロジェクト内の各チームの相談にのったり、フィードバックをする人
どんなふりかえりをしたか?
観点をしぼり、各観点について、以下の2つの問いに答えていった
「わかったこと、できたこと」はなにか?
「今後に向けて」やるべきことはなにか?
ざっくりいうと、KPTをKとP+Tに分けて実施
観点の分け方としては、次のようなものを設定した
推進しているテーマ要素について
プロジェクト全体の進行について
チームメンバーの成長について
ふりかえりに着手しやすいように、事前準備として情報を整理した
対象のテーマ要素 (途中でなくなったものや増えたものも洗い出し)
運営として辿ってきた変遷 (ざっくりタイムライン)
ポイント
今回、KPTを改変したふりかえりを設計・実施した背景としては、「長期的なふりかえり」を「マネジメントレイヤー」で行ったことです。
KPTは、頻繁にふりかえりを行うチームでは一般的に行われる手法であるため、付箋も活発に出せるかと思います。対象とする期間も1〜2週間なので、意見が大量にあがっても、時間内に取り扱うことができます。
今回は、年度を対象にしていたため、K/P/Tそれぞれの観点で出していくと、意見が発散しすぎて、重要な「今後に向けて」が議論しきれない懸念がありました。
また、マネジメントレイヤーの方々は、常に「このプロジェクトの課題はなにか」「どう手を打っていこうか」という視点はお持ちです。実際に、これまでの四半期ふりかえりの経験から、このようなPとTをセットで出す、ということはしてもらえていました。
そのうえで、今回ポイントとしたかったことは、「わかったこと、できたこと」 (=K) をきちんとあげていく、ということでした。
P+Tを十分出せる人たちで取り組むため、あえてKに目を向けて、「このプロジェクトでは (今はこういう問題に直面しているが) こんなことはできてきたよね」ということを積み上げていきたい、という狙いがありました。
やってみてどうだったか
想定どおり、前向きな意見がたくさん出てきました。
P+Tはもちろんでしたが、「わかったこと、できたこと」が問いとして用意されていることで、意識的に「この1年でこの要素はここまできた」ということが話せたと思います。そこから、「次のステップとしては」というディスカッションにもつながりました。
観点をしぼったことも、意見を集中的に出すサポートになったかと思います。
参加者によりますが、課題意識やカイゼン志向が高いと、自分たちの歩みよりも目の前の問題に目が向きがちです。これもとても良いことだと思いますが、「ふりかえり」の場は、反省会ではありません。
自分たちが成長できていることを確認して、そこを伸ばしていけるようなふりかえりにしたいですね。
こちらの記事は、シン・アジャイルコミュニティの【ほぼ月刊】シンアジャマガジン Vol. 6のトピック「ウチのチームのふりかえり」としてエントリーしています。