幸子誕生~わたしの祖母の物語①
明治廿年、秋田雄勝のかたいなかに、小野康太郎、母ノブとの中に生まれたノヱは、十七才の時大きな病院に看護婦見習としてはいりました。
其の時、東京からインターンとして来た石坂幸益とノヱは、恋仲になりました。
ノヱの父は武士の出でしたが、大工として東京の二ノ組にはたらきに行って居ました。
ノヱは、弟武士(タケシ)と母ノブの三人暮らしでした。
ノヱが十八才になった時、幸益は医者として世に出るため東京に勉強に行かなければならぬ事になったが、その時ノヱは妊娠していたのです。
院長夫婦のはからいで身二ツになるまでと、車屋の二階を借りて妾しをうみました。
幸益は必ずむかいにくる事を約束して上京し、残されたノヱは母ノブに引とられ幸益のむかいを待つ事にしました。
妾しは幸子と名付られ、そして二才ノ時、ノヱの父康太郎が突然秋田に帰って来た、そして小樽の築港をこしらえるため北海道に行くとの事でした。
その頃の北海道と云えば内地の人にわとても大変な所でした。
祖父一人やる事は出来ないからと、妾しもつれて一家五人は北海道にわたりました。
その時、妾しは二才になったばかりでした。
※ほぼ原文ママ。
※句読点は読みやすさを考慮して追加。
※写真はイメージ。明治の話なのでモノクロ。
【登場人物】
妾し(幸子):この物語の主人公。T.Yamazakiの祖母
石坂幸益:幸子の父。
ノヱ(小野ノヱ):幸子の母。
小野康太郎:幸子の祖父。
ノブ(小野ノブ):幸子の祖母。
武士(小野武士):幸子の叔父、ノヱの弟。
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