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みんなで一つの演奏会をつくること

ロシアから結婚式のために帰ってきてからロシアに戻れなくなってもう1年半近く経ってしまった。
日本で季節を一周するということ自体があまりに久しぶりで、去年は嬉しかった紅葉を見るとなんだか焦りと虚しさも込み上げてくる。
日本に帰ってきてコロナで演奏活動はほぼ制限されてきたというところが大きい。
ロシアにいた頃は毎日のように公演があってトランペットを休みたいと思うほど毎日レパートリーの勉強に追われて過ごしていた。しかしこの一年はそれが全くなかった。家業である不動産と建築の建築もやりがいもありとても楽しいが、やはり音楽に参加しない生活というのは寂しいものだ。

3月には教会でトランペットアンサンブルの自主公演を企画していたものの、緊急事態宣言が発令され中止になってしまった。企画が実現できないという初の経験でかなり心が折れてしまい、それから企画すること自体が怖くなってしまった。

その後夏にもロシアに戻ることができないとわかり呆然していたところ、ちょうどヴュルツブルクで一緒に勉強していた友人達がアンサンブルを立ち上げようと誘ってくれ企画が始まった。

これまで自分が主催であったりホール主催という企画はあったがメンバー全員で一つの企画を作るというのは初めてのことだった。
たった5人でも対等に一つの演奏会を作り上げるには単純に膨大な時間の話し合いが必要で、自分で企画している時とは違った楽しさと大変さがあった。

有難いことに審査に合格し文化庁のArt for the futureという事業支援を受けることができ、東京・静岡・逗子の3ヶ所での公演に加えライブ配信も出来ることになった。

支援を受けられるから今までにないくらいにリハーサルの時間を多く確保することもでき、久しぶりにどっぷりと室内楽をやることができている。

金管五重奏は指揮者がいるわけではない小さなアンサンブルだから、全員の音楽的な方向性は話し合いで決めていく必要がある。2時間のコンサート分の曲を少しずつ決めていくのはかなり時間が必要なことで、いつも4時間のリハーサルがすぐに終わってしまう。
こんなことができている今の状態と環境はとても恵まれていることで、コンサートを開催できること自体もとても嬉しい。

夏からはソロを吹く機会があったが、室内楽をやっているとそれとはまた違うテクニックや音そのものが必要だと感じられ、それはオーケストラで演奏するのにもこと。
少し音が変わってきたから3週間後の本番でどこまで良くできるかが楽しみだ。

noteを読んでくださっている方々、もしご都合がよろしければライブにお越しください。遠方にお住まいの方はライブ配信をご覧いただければと思います。
アメイジンググレイスではソロ吹きます。

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齋藤友亨 Tomoyuki Saito
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