ラーメンを食べることが神聖なことだと思ってしまうラーメン屋
家の近くにちょっと変わった
おいしいラーメン屋さんがある。
「いらっしゃいませ!」
入った瞬間に気づく、
まるで宝塚の舞台で流れるような、壮大なBGM。
西洋的な美術館を思わせる壁の装飾に、
まるで洞窟のような店内の全体の形。
そして何よりラーメン屋なのに
店内隅々までピカピカで、
(だいたい換気扇なりどこかに埃っぽさや油っぽさがあったりする)
壁には筆ペンで書いたのだろう、
達筆な字で
「使用済みのティシューはゴミ入れにお願いいたします」
一枚一枚丁寧に書かれたポスターが
店内中に貼られている。
厨房が見える形で、
床も端っこもきれいに掃除されていることが伝わってこれ、
器具もどれも銀色にピカピカだ。
壁だってきっと拭いているんじゃないかと思わせるほど。
注文や会計、
接客全般を行う女性も
無駄な動きなく、
余計なことも言わない。
笑顔が自然で気持ちよく、声がいい。
よく気がつくのに適度な距離感がある、
プロの接客。
優雅な音楽の中に入り込み、
一瞬
「あれ、わたしフランス料理でも食べている?」
と思わせる店内ムード。
テーブルに置かれたニンニクも、唐辛子、辛い油も、きれいに補充されており、
胡椒の蓋まで外れている。
どこまでも食べる側への配慮を感じる。
ラーメンが運ばれてきて、
湯気がぶわっと顔を包み込む。
黄色い中華麺を慎重に持ち上げながら、
野菜を掴み、口に運ぶ。
うん、おいしい。
黙って食べている中、
ラーメンを食べる行為って
実はこんなに神聖なものだったのではないか、
と感じざるをえない、この空間。
定休日は週に一回で、
夜中12時までが通常の営業時間らしい。
60代〜70代のご夫婦らしきお二人が営むこの
神聖なラーメン屋。
ぜひこれからも長く続いてほしい。
そして応援したくて満たされたくてまた食べにくる。
されどラーメン。
すごいぞ、ラーメン。
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