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SUN ZOOM 35-140mm f3.8-5.3 MACRO MCで九州へ

名前からしてF値が欲張りなジャンクレンズ、サンズームです。サンズームというのは名称で、これは1984年まで健在していたサン光機と言われる企業が製造していました。一時はtokinaやSIGMAに並ぶほどサードパーティ製レンズとしての地位はありましたが、束の間、販売経営の失敗により、80年代に一気に衰退。AF時代を迎える事なく倒産してしまいました。


サン光機と今回のレンズについて

1960年代に創業されてサードパーティ製レンズを販売していました。単焦点レンズ、ズームレンズ共に販売はしていましたが、主はズームに販売注力していました。今でもジャンクにあるのはズームレンズばかりです。今回のレンズはその中でもごくごく一般的ですが、あまりジャンクでは見かけない感じです。というかサンズームがもう状態が悪く使えないものがほとんどだとか。
あったとしてもニコイチで修理できなかったり、そもそも修理無理なら他の買うぜ、みたいな人がほとんどだとか。
骨董カメラ店さんから教えてもらいました。(どこかは住所がバレるのでごめんなさい)

ちょっとだけ調べてみたんですが、前身は上代光学研究所、通称「K.O.L」とか言われてたものからが始まりらしいです。そこから戦後は日本カメラとしてSOLIGORとかに関わってたらしいですがそこら辺は確証が無く不明です。分かっているのは前身がその研究所だということ。
そして戦後は出資者が出たらしくその中で経営者となったのが後藤氏、これでサンズームの誕生らしいです。(新しい日の出とかの意味でつけたんかな?知らんけど)

今回のレンズは開放が珍しい3.8始まりのレンズ。そしてテレ側でも5.3というなんとも珍品感強めな数値。中華レンズにありそうですがこれは完全な日本製品です。当時からこのスペックで頑張ってきてたのでしょう。

重量感もすごく、自分はジャンクでかいましたが、なかなかに重くキャップや絞りリングから全て鉄製です。あわよくば削り出し??
ちなみにケースも金属のものがあるとか。重厚感はピカイチですね。

以下ソースです。何かとSolaとかサンとか空に関する名前が多いですけど関係性があるんですかね?
国産レンズの夜明けという本には詳しく記載があるそうです。


当時のサードパーティの立ち位置

自分は高校生なのでそんな昔のことわかるわけないだろガキって言われちゃいそうですが、今よりもかなり多く使われていたようです。最近のアマチュアカメラマンやプロカメラマンはそんなにサードパーティを使っていない印象です。特にニコン持ちの方はあまり使ってるのはみてなくやっぱり「純正」を使う傾向が多いようにも感じます。

サードパーティ製レンズは当時、販売に注力を注ぎバブル期前の高度経済成長後の1970年代、石油危機を除けば日本の企業はいろんな意味で潤ってました。実際潤ってたかどうかは会社によって変わりますが現代のリーマンショックや昨今の災害級の経済状況でなければ基本は良いはずです。(今よりはね?)

バブル期に入れば尚更で1980年代半ばにもなれば急に企業が魂込めて作るようになりました。今のトキナーやシグマなどはそうですね。カメラ企業でもミノルタがこの波に乗ってアルファショックを持ち出したようなもんです。

だけどサンズームの倒産は1984年頃。ギリギリバブルの波にも、AF化の波にも乗れず溺れてしまったようです。もう少し耐えれば今のサードパーティ市場は少なからず変わっていたかもしれませんね。

なぜ倒産したのか

かなり重厚感の強い、高級感あるサンズームですが、製造にはかなり力を入れていたんでしょうか、銘板も印刷ではなく見てパッとわかる掘り出し。かなりコストを惜しまず作っていたように感じられる頑丈製ではありますが、価格はかなり安め。当時のどの年代層や客にフォーカスを当てていたのか分からないのは、なんとなくその後の企業としての終末がなんとなく想像できます。

おそらくどのブログでも同じことが言えるので分かりますが、経営の失敗でしょうね。より多くの年代層を取ろうとしたのかはたまたユニークな作品的なイメージで制作していたのかもはや倒産している企業に口はないのでどうとも言えませんが、あれだけ高級感があるまるでレンジファインダー用のレンズかのような触り心地で他のアルミ製レンズやプラ機構レンズと値段が同じわけです。そうすれば売り上げがどうなるかは言うまでもないですね。まさに儚い企業です。とても情熱があり客に対して優しい企業すぎたのかもしれませんね。(そんな綺麗事言ってられないかもしれませんが)

写真で見る。

始まりのF値が独特な3.8。マクロ機構がボタンを押しながらスライドさせるとできる面白い機能。どの距離でもできます。この時代にこの倍率でしかもマクロがついてるの、なかなか優秀だと思いませんか?
しかも結構マクロ寄れるんですよこれが。最初
「え、最短2m!?遠くねえか?」
とか思いましたが、結構マクロで寄れるんで良かったです。使えそうです。ただやはりテレ端側でのマクロはあまり寄れませんね。限界を感じるところ。

フレアとゴーストが凄すぎるレンズ

何かとすごいのがフレアとゴースト。40年前のズームレンズなんだからそりゃ出るだろって話ですが、通常よりかは派手に出てしかも独特なスタイル。
過去一番レベルです。作例で出します。

青いゴーストですね。
虹色ゴーストすごいです。MCというのは何の略だ!?

なかなか強烈なフレアです。太陽光からかなり外していても虹色の模様が出ます。マルチコートらしいですが、これは一体どう言うこと何でしょう。

右上の白い線状のフレアもあります。これはすごいと思いましたよ。とても面白かったです。

サン光機は1970年代が一番儲けてた時だと思うのですがやはり経営に失敗したんでしょうか。案外すぐに倒産しています。どうやらこのレンズも末期ではなく全盛期レンズのようなイメージで、1980年代のカタログにはこのタイプは存在しませんでした。やはり70年代なんでしょうかね。ちょうどAEマークがあるということは1976年のAE-1以降ということになるので大体察しはつきます。

マクロ機構は実はボタンを押して回転すると距離倍率が登場する仕組みで普段は見えません。黄色い倍率表示です。

意外とセンスあるくないですか、隠れてるの。

使用感

僕の買った個体でしたが、恐ろしく黄色い。なんか黄砂の中を見てる感じでした。マルチコートか何か分からないですが、タクマーの黄変と同じぐらいかそれ以上に濃かったです。すごいです。ただデジタルにつければ補正は効きました。さすが現代技術。(若干効いてないです、黄色くなる時もあります)

そして重さは当時の中でも重い方ではなかったのかなと。結構重量感あって開放も4からではなくて欲張りに3.8と丹精込めて作ってたんだなと感じさせます。でも日本には個体が少なく、もう一個隣にあった中がもう死んでる(カビとヒビ?)サンズームはJCIIが貼ってありましたし、これにも跡がありました。海外市場の方が多そうです。これは他のブログさんでも書いてありました。

ピントの合わせ方ですが、そこまで気にならないんですが、若干ピントの進みが早いかなと。個人的感想ですがトキナーの同等レベルのものよりは使いやすかったです。

テスト撮影作例

白い壁と白い布のつもりでした。黄変の影響は少なからずありそうですが、これはこれで面白いですし味です。想像以上にボケたのがびっくりしました。まだ2枚しかありませんが楽しみが広がりそうです。

サンズーム。今度ジャンク見つけたらまた紹介してみたいと思います(使えたら)

追記です。フィルム通してきました。作例です。
SUPERIA X-TRA 400 Canon AE-1です

作例

逆光には弱い!フレアパレード!
これはこれでいい。味はある。
確か開放です。意外と文字が破綻しないのが良心的な写り。
太宰府駅です。ちょっと絞りがまだ粘ってたのか露出が1段ずれます。
長崎市内です。上のゴーストが例のやつです。もちろんフィルムでもしっかり出ました。ここぐらいから露出は正常値です。35mm側ですが周辺減光ガッツリ。
四隅はかなり落ちました。太宰府バーガーは食べませんでした。
この写真のみですが収差が少ないですかね、歪みがないです。(廉価ズームにしては)後割と暗くても解像する。右端とか。ただ中央のフレア、これ本当にMCなのか?
右上にオレンジのゴーストがあります。若干黄色味が地面に出てますね。これ、SUPERIAですよ?

比較用です。どちらもSS 1/125 85mmです。上がSUN、下がFD 70-210mm f4です。(実際にはFDは広角になりました。)

これがSUN ZOOM。 f13.5。四隅の光量落ちはどの画角でも顕著。そして黄変のせいか?色が変わりすぎる。
これがFD。f11。こっちの方が現代的な写り。


多分サンレンズ。

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