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SANYO DSC-SX550[Multi-Z]
三洋電機。今の若者でどれだけの人が知っているんでしょうか。最近の人出はナショナル君はおろか、ナショナルという言葉自体も知らない人がいるぐらい知らないベクトルに突入し始めているということです。時代の流れというのは早いですね。。
世はデジタルカメラ創世記
2000年。21世紀。もしくは21世紀目前。Xactiの前身時代。そんな時代にはありとあらゆる企業がデジタルの夢を見て小型のデジタルカメラを民生用にと開発して制作していました。この当時名をとどろかせていた富士フイルムもFinepixなどのシリーズを制作したりしています。SONYが出始めるのがもうすこしあとの時代ですが、CyberShotシリーズなども続々登場することになります。
電機メーカーも参入する
フィルムカメラ全盛の当時からカメラ製品にも参入していました。Toshiba、National、SANYOのような大企業たちがアクセサリーやカメラなどを販売していました。Toshibaは明確なカメラ販売というよりはアクセサリー中心であると思います。SANYO、つまり三洋電機もしっかりとカメラを製造していました。そのころの2000年に発売されたカメラがSANYO DSC-SX550、通称Multi-Z[動画デジカメ]です。
聞こえのいい秒30コマの連射と30fps動画、そして起動0.8秒
2000年の民生用デジタルカメラが秒30コマ?どんなカメラだよと思った底の方に説明しましょう。今回は話の構成をスペックを後ろの方にもっていって話を進めたいと思います。と言っても、入手してこのnoteをわざわざ読みに来る方は少ないと思いますからね。
動画デジカメ、というキャッチメッセージで販売されていたこのカメラは当然動画撮影に注力していました。当時ガラケーが主流だった時代。鳥取SANYOはau向けにガラケーを販売。そのころのC403STはSTN 128×160ドット液晶でした。またビデオ、というとまだ磁気テープのMini DV主流だった時代です。
当時からしてもそれなりに頑張っていたこの機種は価格は当時68000円。デジカメにこの値段が当時どれぐらいだったのかを考えるとなかなかだと思います。
スペックは細かいですが当時のweb archiveページが残存していたためそこの記載を引用します。(プレスリリース)
当社は、昨年発売以来「動画デジカメTM」シリーズの上位機種として、大変ご好評をいただいております、DSC-SX150の機能をさらに充実させたモデル「DSC-SX550」を3月18日より発売いたします。
「DSC-SX550」は、DSC-SX150で採用した高速画像処理技術と高速画像変換技術などをさらに進化させ、デジタルカメラでは業界初※1となる30フレーム/秒のスムースで自然な動画クリップの撮影・再生が可能となりました。
高速連写機能は、高級一眼レフカメラを凌ぐ世界最速※230コマ/秒を実現、高容量150万画素の静止画においても7.5コマ/秒のスピードで連続20コマの連写を実現しました。
即写即再機能も、記録0.8秒、再生0.6秒とさらにスピードアップし、カメラ本来の機動性がさらに向上しました。
別売のパソコン接続キットに搭載されている「AgfaPhotoGenieTM」を使用すれば、220万画素相当の画像生成が可能。特にプリント時に高画質での出力が可能です。
※1 320/160モードにて:民生向けデジタルカメラにおいて(2000.3.14現在当社調べ)
※2 640モードにて:民生向けデジタルカメラにおいて(2000.3.14現在当社調べ)
品番DSC-SX550(S)
記録画像ファイル形式
静 止 画 像:JPEG形式、TIFF(非圧縮)形式(DCF、DPOF対応)動画クリップ:MOV(QuickTime Movie(フォトJPEG)フォーマット準拠)音 声:wav(モノラル)記録媒体コンパクトフラッシュ(TypeI/II)、マイクロドライブ記録画素数
(ピクセル)
静止画・高速連写 1360:1360×1024/1024:1024×768/ 640:640×480
動画クリップ 640:640×480/320:320×240/160:160×120静止画記録枚数(音声無,32MB使用時の
最低保証枚数)
1360 (TIFF)…7枚1360 (Fine/Normal)…77/125枚1024 (Fine/Normal)…125/194枚640 (Fine/Normal)…299/487枚
高速連写記録枚数
(1ショット当たり)1360 (Fine/Normal)…最大 15/20枚(7.5枚/秒)1024 (Fine/Normal)…最大 20/20枚(7.5枚/秒)640 (Fine/Normal)…最大50/50枚(7.5枚・15枚・30枚/秒)動画クリップ
プログレッシブスキャンCCD固体撮像素子(有効画素約140万画素)レンズF=2.4/8
f=7mm(35mmフィルム換算38mm)
オートフォーカス
撮影可能距離標 準:50cm~∞
マクロ:15~50cm露出制御方式絞り・シャッター可変プログラム露出制御露出補正オート/マニュアル切り替え式(7段階、0.5EV刻み)シャッタースピード静止画:1/4~1/750秒高速連写・動画クリップ:1/4~1/10,000秒(ストロボ発光時1/30~1/500秒)
スローシャッター(4, 3, 2, 1.5, 1秒)感度設定オート/マニュアル(ISO100,200,400*1) 切り替え式ホワイトバランスフルオートTTL/マニュアル(5モード選択)
切り替え式セルフタイマー作動時間約10秒フラッシュ内蔵調光式(自動/強制発光/発光停止 )
液晶モニター11万画素 1.8インチ低温ポリシリコンTFTカラー液晶ファインダー光学実像式映像/音声出力端子映像:1.0Vp-p75Ω不平衡・同期負 NTSCコンポジットビデオ
音声:308mVrms 2.2kΩ以下 モノラルスピーカー内蔵 モノラルデジタル出力端子専用ジャック: USB、RS-232Cシリアルポート(230kbps MAX)電源単3形ニッケル水素電池2本(同梱)
作例
とりあえずテストのモノを。画素もピッチも今となってはかなり厳しいのでん-といった微妙なところ。当時のCCDのセンサに対する処理の傾向というか、なんというかこう派手で色も強く、色の崩れ方も特徴的です。ただ周辺部に流れとかが少ないのは単焦点だからなのでしょうか。歪曲はありますが、、そんなにひどくもないかも。絞りはないに等しいので(T2.4かT8かの違い)画質にはほぼ影響しないです。
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特徴と使い勝手
特徴はやはり軌道の速さ。スライドしてレンズが出てからすぐに撮影可能。インターレーススキャンということもあり動画の撮影などのようにFPSを区切るため連射速度も非常に速いです。(スペック表参照)
持ち方については普通のデジカメを使う感じで何ら問題なく使用できる感じです。特に不満点もないけれど特徴という特徴がないのもあります。いたってシンプルで一般的です。
このカメラで出せる「360×1,024ピクセルでも7.5枚/秒で最大20枚連写できる。」というのはあながち快適です。
タイトルの気味悪さとは?
当時デジタルカメラシェアが民間、つまり一般の人々にとってまだ浸透しきっていなかった時代。時代で言えばカセットテープが磁気テープに代わりお子様を撮影するパパさんママさんが使うビデオカメラがMini DVになって浸透していた時代です。
写真、と言ってもやはりフィルムカメラを使用する方もまだ多かったような気がします。うちの場合では2000年ごろまではKonica Bigmini BM-301を使用していた記録が2002年まで残っています。
その後パソコンインフラ、のちのインターネット通信インフラの増強整備の時代になりIT化が進みました。
シェアを確保するには何か独創的、革新的なアイデアが必要になる場合もあります。カメラであれば絶対に逃さないAF、ISO感度耐性の高さなどなど。
その時このカメラは他となにで差別化を図ったか。そう、それが「ルーレット機能」です。
何を言っているんだ、と思う方もいるでしょう。本当にルーレットなのです。
撮った写真を9枚並べたのちにルーレットを開始して止まった写真が全画面で表示される機能。使い道が意味不明な機能です。サバイバルモードではあたるごとに画像が「死亡」扱いされます。
なんともまあデジタルカメラのトップを担っていた三洋電機にしては独創的で奇抜というか、、ぶっ飛んだ機能をぶち込んでいるようです。しかもこのルーレット機能、設定画面から入るというものでちょっと見つけずらい。そんなものです。
オールドデジカメのインフレ
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オールドデジカメ。オールドコンテジ、とも言われるいわば古いデジタルカメラ。いわゆる民生としての発売の創成期をさすカメラたちというのが一番近いかもしれません。(ぎょうむようもそりゃあると思いますが、、個体数とかね?あるでしょ)
インフレのように値段が上がる背景は様々ですが、第一に音楽アーティストの使用もあります。
インフレそれ自体を招くのは転売ヤーやそれに乗っかるお店ですが、もともとフィルムカメラの人気を再燃させたのはKPOPアーティストの使用から。アーティストが高級フィルムコンパクトと言われたCONTAX T2 T3、そこに派生しコンパクトのオリンパスμシリーズ、一眼レフとなりNikon New FM2などFM、FE系。そのように人気が過熱していきました。
この手の話はやはり長くなってしまいそうなので別で記事にしようと思います。