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興和 Kowa Kallo 281型 

興和光機株式会社で販売されていた1959年発売のKallo281。現興和オプトロニクス事業でありコーワと言われるとコーワのバンテリン、キャベジン、キューピーコーワαドリンクなどを販売しているのが同じ会社です。今はそうした事業の会社でも昔はカメラを作っていた。。なんてこともよくあります。富士フイルム、そうなっちゃうんじゃない?

1950年代半ばから終わりまでまでのカメラたち

なんかここら辺の60年代前の独特なカラフルさ、異様なまでの独創性、かなり息の入ったつくりはさすが高度製剤成長期を感じさせるものとテクノロジーばかりです。

例えばPetri HALF。独特なグリーン・オ・マチック・ファインダーはさることながら、流行りだったトリガー式巻き上げのペトリ独自のカーペルシャッターなどあの個体は特にそうした特色が強いです。

同年代の今回紹介するカメラの中でNikonやCanonなどの企業以外のいわゆる主力線企業でないモノでヤシカ、八嶋がいました。YASHICA 35は独特さはないいたって普通のレンジファインダータイプのレンズ固定式カメラですが、アサヒカメラで廉価版f2.8レンズが驚異的な描写性能を誇ったと紹介されたレンズでもあります。

もしかしたらこの手の今は亡き企業たちの何気に息の入った、、魂の入った伝説級のカメラが入っているのかもしれない。そう感じたのです。そこで自分はリサイクルショップでなるべく企業には縛られないこのような個体たちを探すようにしました。

この手の言い方だと息のかかってない安物扱いするのか、と御幣を産んでしまう表現になってしまいますが決してそのような糸口があるわけでもなく物珍しさからくる童心もあるわけです。そんなカメラを探しているのです。陰に隠れて散っていったかもしれない不遇のカメラたち。

もはや幻級の希少さになってしまったカメラ

興和がカメラ事業を行っていた1960年代までは豊富にあったカメラたちですがそのうちの大部分は輸出事業に充てられて日本ではあまり販売されなかった事例が一部書籍で記載されています。当時の対外輸出政策で企業を伸ばそうと思っていたのがよくうかがえます。

今回のカメラKallo 281型について説明する前に「Kallo」の名称について軽く説明したいと思います。

「Kallo」の名

Kowaのカメラに名付けられていた名前がKallo、読みをカロと言います。そのままレンジファインダーカメラに意匠として設けられて使われました。
海外での輸出ではそもそもカロがつかないもの、Kalloの意匠の後ろに数字が設けられるなどして差別化を図られてきました。割とすぐに切り替わってしまったためKalloの名がついているKowaのカメラは意外と少なめです。そして何より今回の281はほぼすべての日本販売用がKowa 281名で販売されていました。

今回のカメラの281型

先述通り、今回の281型はその輸出仕様のモデルを国内でも販売できるように一部を変更、改造したもの。そのため後から説明しますが一部の機構部に隙間があります。レンズがそれまでのf1.8からf2.8に変更し、EVマニュアル(ライトバリュー方式)ができるように連動露出計の機構を非連動にしたものです。1959年9月?の発売以後1960年すぐに名前がKowa281に切り替わり、Kowa Kallo名のみの281型は数が非常に少ないといわれています。憶測ですが日本でもf2.8版、廉価として販売するために輸出機用でとりあえず賄った、といういきさつなのではと感じます。

スペック

タイプ:35mm レンジファインダー距離計連動方式カメラ
露出機構:LVシステム(絞り、SS)、非連動直読セレン光式露出計(LV値、低輝度、高輝度)
シャッター:COPAL SVL(レンズシャッター)
光学:Kowa Optical Works Japan Prominar 48mm f2.8(構成不明、ネット上には3群4枚テッサータイプとあり、Kallo35と同じ光学構成か調査中)
最短撮影距離:0.9m(実測0.81m)
絞り:f2.8-f16(LV方式連動)
重量:ネット情報790g。実測784g。
発売時価格:13000円(当時、月賦非対応)
フィルム記憶盤:当時のNEOPAN SSSなど表記あり。貼り付け銘板。
備考:英字銘板。日本語表記なし。ASAのみで最大800。自分の個体はLVがずれていたため調整。

このような海外広告も展開されていたようです。なんとこちらの広告、イスラエルの写真が使われています。後ろに装甲車が捨てられていますがこの文では中東戦争で捨てられたものでここでエルサレムのはずれでピクニックをしたとあります。「戦時中彼女の家族はフランスからスイスへ逃亡し、、」とありますがフランスってそんなに過激にやってたっけ。。そのあとイスラエルに移り住んだともあるのでなかなかその後が想像するには厳しい世界です。

細かな特徴

ヒンジの露出用のセレン光の蓋があります。

エンブレムも旧エンブレムでKowaがばっちり印字されています。

裏側はシンプルな構造で特にこれといった特徴はありません。ただファインダーはこのクラスのモノにしてはミラーであるもののかなり大きく見やすいものでストレスを感じません。

清掃を施すと恐ろしいほどの見えの良さになりすっきりとしています。ただ上軍艦部をはずすだけですぐにファインダーに到達できるため非常に清掃しやすく整備性も高めです。もちろん、横には機構があるのでその分解も容易です。

とてもシンプルかつ頑丈なボディです。まさしく海外で使われるようなガシガシ使うタイプのカメラ。空間が多く若干余計なスペースを感じるぐらい余裕です。やはりミラーは大きい。巻き上げ機構のレバー部にあるねじは逆ねじです。久々の逆ねじでドライバーを壊しました。壊れたのはボディではなくドライバーでした。強すぎだろ。

作例(まだなんだなこれが)

予算不足です。まだ撮れる見込みもありません。フィルム、高すぎだよ。。

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