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MINOLTA AF zoom 28-135mm f4-4.5

SONYの1000万画素CCDと1200万画素CMOS

ソニーは2000年代から本格的に民生用CCD撮像素子、イメージセンサを開発して販売していました。特に民生用センサICX413AQは初期のコニカミノルタ系デジタルカメラやNikon、PENTAXでも採用されヒットしました。ソニーは1990年代からデジタルカメラの一眼レフ事業に本格参入し以前から引き継いでいたΑマウントを活かし市場参入を図っていました。

まずソニー独自に作られたα100。これでもまだα sweetの名残がある感じでした。発色はやはり定評のあるいい写りです。ただノイズに関してはローパスの黎明期ゆえ多かったような気がします。ですがその分素直な出方をするのでLightroomとかで補正のしやすい偽色。カラーリングはブラックすぎない感じで好きでした。今も地元のお店に中古で売っています。

その後の直系の後継にあたるのが今回の一つ、α200。2008年発売のソニー製CCDを積んでいる1000万画素級センサー機です。今となっては半分の画素数ではありますが、その色は抜群、いい色を吐き出して良質な写真を量産できます。ノイズだけはやっぱり多めですが。。

そのひとつ前、2007年に登場した当時としてはハイエンドに近いもの、上級機としてラインナップされたα700。こちらも出来がよくISOは6400までは拡張ではあるものの完備。そしてマグネシウム合金、肉厚グリップなど多彩な機能性を兼ね備えた名機と言えるものです。こちらの作例も一部含んでいます。

情報

かなりこの時期としてはコスパの高い出来の良いカメラです。とにかく安く6万円台でこのスペック類が購入できるのはすごいと思いました。もちろんΑマウントでしっかりMINOLTA時代のレンズも使えます。9点のAFはちょっとクセのある配置ですが使い慣れると楽に使えます。

こちらがα700。かなり大きく重みもありますが、とても使い勝手のいいカメラです。レスポンスはα200よりもよく、使いやすい印象です。自分の書いているnoteも一応参照しておきますので良ければ。

ミノルタの技術の結晶と威信 MINOLTA AF zoom 28-135mm f4-4.5

ミノルタはαショックから始まるAFの革新的な進化の第一歩を作りました。今のAFの技術の叡智も全てはこのαシリーズから始まったと言っても過言ではありません。AEの時でもキヤノンが始めたことにより広まり世間で使用されるようになったように、こうした挑戦的な技術を取り入れていくことは、今後の一眼レフカメラ業界での必須項目になってくるのかもしれません。
今考えるとするならば、やはり高画素よりも耐ノイズ感度設定でしょうか。6400や12800レベルの感度設定でも400と同程度のノイズ量にするとか、でもセンサというものは基本電荷やり取りをするので、ノイズ自体をゼロにすることはできません。
これに革新的な進化を遂げる企業は必ず出てくるはずです。

ミノルタはそのαショックを創り出すために威信をかけてカメラとレンズの開発をおこなっていました。光学性能がSRマウント時と同じと言ってもやはりマウントが全く別物でしかもAF化するというのなら光学構成の変更は余儀なくされます。そしてラインナップされた初期のαマウントレンズは今でも評判を語り継がれる名レンズとなったのです。これは1985年のことです。

一番オーソドックスで廉価であった35-70mm f4はこれでも開放が全域4とかなり抜かりのないレンズの作り。他のズームも35-105mm f3.5-4.5、24-50mm f4など頑張っていました。どれも金属工業の自社のミノルタ鋳造でした。割と24-50は人気なのかあまりジャンクでも中古でも安めの「これは買い」みたいな購買欲を唆る値段で売っているのはあまり見たことがありません。

単焦点レンズはもちろん、中でも一際大きい目立つレンズがありました。単焦点の300mmf2.8と高倍率ズームであった28-135mm。前者は言わずと知れた神レンズ。後者のレンズは定価が9万円台とかなり本気で作られた、言わずと知れたミノルタの本気と言えるものです。初期のAF用構成ではこの後者のレンズはミノルタで2番目に高いレンズでした。

光学はまだズームレンズで開放でAFの2.8などがない時代。(結局そこからすぐに登場しましたが)当然別物ですが80-200mmの光学構成と同じだったような。13郡16枚のレンズにフィルター系72mm、非常に大きく今の24-70mm f2.8と大差ありません。重さも自分のフィルターを挟んだレンズでも800グラム弱とプラスチックマウントでは不安になるほどの重量です。

当時、このレンズはそういい評価をされませんでした。(アサヒカメラ)
その理由は主に二つあります。
一つは最短撮影距離。もう一つは当時の高倍率ズームとしての見方でした。
このレンズは最短撮影距離はマクロこそテレ側で使えて25cmまでは寄れますが、通常時は1.5m。とても寄れるレンズではありません。まあ当時の光学構成を考えれば無理もありません。ただ28mmでこれはちょっと遠いです。もちろん今基準ですが。テレ側でないのも光学構成上の為だそうです。
もう一つの高倍率ズームとしての見方ですが、当時の時代でこのズーム比率はとても革新的で、プロの間では「AFで高倍率?便利なのは良いかもしれないけど画質の面ではどうなんだ?どうせ悪いんだろう」という否定的な意見の方が多かったのです。

現代でこそとてもいい評価はされていますがそれでも欠点があるのが初期のミノルタレンズ。理由は以下です。

①カビが生えやすい(コーティング上の理由)
②コーティング上バルサム切れが起きやすい
③分解は大三元以上の難しさ
④ズームリングの固着
⑤リングゴムの白化
⑥AF不良

です。大体⑤と⑥は多少使用に問題はありませんが、①から③はほぼ不可能です。分解は多少得意な人もこれは難しいと思われます。なんせ枚数が多いのです。全部で16枚。張り合わせを外したらこのレンズは2度と構成できない仕様なぐらい光軸が合わなくなります。そんなこんなでみんな分解してあまり状態のいいレンズがないのもしばしば。

またコーティングで最もめんどくさいバルサム切れ。これは主に中玉に発生します。絞れば改善するような隅からの浸食が大半で斑点模様のものは前玉に出ますが、こればっかりは自然の摂理です。

では本題です。なぜいい評価をされるのか。
このレンズは開放値からとてもシャープに写ると言われたのが始まりです。

引用ウェブサイトにはこのような記載があります。

当時のアサヒカメラニューフェイス診断室では
球面収差はワイド側で補正不足タイプ0.1mm以下の収差量、画面中心解像力はミリあたり200本クラスと高い値
テレ端は収差量が増えるが解像力、コントラストともに悪くない値
非点収差と像面湾曲でワイド端からテレ端まで破綻を示さない。

https://muuseo.com/unknown001z/items/21

約40年前のレンズでこの解像力は相当なんじゃないでしょうか。ましてやミノルタがまだ自社工場で自社生産を行なっていた活きが良い時代です。そしてその後海外での市場でこのレンズの評価がされたことで日本でも軒並み評価が上がりました。当時のミノルタの本気度がわかるレンズです。まさに技術の結晶。是非お試ししてみては。このレンズは収差が犠牲になった分撮像破綻をなくす用に設計された良い例です。

実は収差が大きくならないようにするためや周辺光量落ちの抑制のために最短撮影距離が長くなってしまうことはよくあることでこれは単焦点にもある話です。

例えばNIKKOR-H Auto 2.8cm f3.5は最短撮影距離が単焦点にもかかわらず60cmと長めです。その理由は一つレトロフォーカス構成というものがありますがもう一つは画角による周辺光量落ちを抑制するためでもあるのです。

さて本レンズですが、大体状態の良いものでは2022年9月現在10000円ほどからと言ったところです。ヤフオクではもう少し安かったりですがなんせ見えない不安もあると思います。メルカリでは取扱いが質の良いものがあるように見えませんでした。(要修理)

自分はこのレンズはたまたまメルカリを通じて光学について長けていた方に詳しい説明をもらい勧められ、その1/5ぐらいの価格で入手できましたが、それでもバルサム切れは徐々に発生しています。半段絞ると改善されます。ボケ等も良好で多少暴れるように写るときもありますが撮ってて不快感のないボケ方です。

そして驚くのが像の乱れの少なさ。一見この手の高倍率ズームは中央がシャープでも外側や隅が流れがちな印象がありますがこのレンズは違います。上の解説のようにしっかりと破綻なく移ります。これは撮影してみて自分が初めに驚いた部分です。

そして決定的な欠点は上記の6つの以外に一つ。光学として残念だったのは純正フードがないゆえに逆光耐性のなさ。先ほども書きましたがマルチコートとはいえ、1980年代初頭のレンズと言えばそれまでですが、それでもそこから10年ぐらい前の耐性しか発揮できていないように見えます。ただマクロではその分恐ろしいぐらい綺麗に開放から写ってくれます。現役と遜色がないくらいです。

絞り枚数7枚、円形絞りではありません。4で開放の位置にあってワイド側に焦点距離をおいていると絞りが既に絞られているような気がする場合がありますがあれは仕様ですので特に問題あはりません。

以下はスペックです。

スペック(引用含む)

レンズ:13群16枚
焦点距離:28-135
F値:開放f4-4.5 (22-29)
絞り:7枚絞り
フォーカシング方式:AFリアフォーカス 特殊フォーカシング方式3群移動
備考:ズームリングで焦点距離調整時微妙に焦点移動が発生する。
重さ:約760g
フィルター径:72mm(ねじ込み可)
マウント:ミノルタΑマウント
製造:ミノルタ 1985年

第1群だけを繰り出すと周辺光量が不足するのなら後群のバリエーターを動かしてフォーカシングして解決しようという考えです。ヘキサノンは第1群だけでなく第2群をもフォーカシング繰り出しに荷担させて周辺光量を稼ぐというもので、一方のミノルタ(当レンズ)はさらにその考えを飛躍させ、フォーカシングに第1群を一切使わず第3~5群のバリエーター群を移動するリアフォーカスを採用することで周辺光量を保ています。

http://masupi.com/phase18.htm

作例

f9

α200のビビッド設定にコントラストとシャープネスを追加しています。JPEGの気軽さを意識した作りでしたが意外と不自然じゃないです。ただの空なのでまだ歪曲等は言及しません。

f4-4.5

あえてマクロ域から。開放です。どうでしょう。やはり反射気味の部分はにじみがでます。パープルフリンジゆえですのでコートの問題でしょう。クモリも原因かもしれません。ポートレートで開放を使うとなると少しこの色収差は厄介なものかもしれません

当然のごとくフィルム時代レンズですので全くレンズ内の乱反射が考慮されていないのは公然事象です。

f11

ダイナミックレンジが多少広い為、他のSONY製CCDセンサーよりは黒つぶれは減っていますし明るい方の耐性もついています。この写真では明暗さでの白飛びや黒つぶれを確認できますが、一部を除けば黒つぶれ以外の問題は大丈夫なような気がします。しかしまだまだ厳しく見れば上の歯の部分の白飛びは顕著です。ですが不快感になるほどのパープルフリンジなどが出てないことから補正は効きそうです。13群16枚のレンズでもある意味よく色が乗ります。さすが来るカラーフィルム用に作られたレンズではあります。

近頃また作例を掲載します。(追記:作例を追加しました)

チュロスです。
実際に揚げて提供したものです。
マクロモードがここまで使いやすいとは。
これは失敗した写真
同じマクロモードです。
これは下書きです。
草案です。左上の窓の部分を見ると少し変形したように見えるのでこれがこのレンズの特性とも言えるでしょう。樽型のです。

実は今回作例のためにもと兼ねて撮った写真たちですが、ほとんどがポートレートのために作例として掲載することができません。
肖像権上の関係で関係者でなくてもスナップ撮影を載せることができないためこれらの物の写真しか掲載することができません。
ただポートレートなのにかなり絞って撮ってました。ゆえに背景が全然ボケていない、一番良さそうな写真でもf7.1など絞りがちでした。
自分の今までの「絞らないと画質が向上しない」と言う既成概念の悪い側面が現れているんだと思います。画質は絞りだけでは決まらない。だが捨ててはいけない。

今の上の写真がα200の写真です。以下はα700の写真となります。

フリンジについて

他のフリンジを比較できる作例も追加しておきます。

ぱっと見では分からないでしょうか。順光の場合では金属類の写真でもほとんど発生しません。
この写真をもう少し拡大してみます。これはサイド光です
このようにパープルフリンジがしっかりと出ます。これはテレ側f5.6です。

f5.6でも条件がそろった場合はこのぐらいにフリンジが出てきます。この後の一段を絞ると(望遠ならf6.3)この現象はなくなり綺麗に写ります。ですがフリンジが出てもこの場合は素直に出てるので編集で簡単に消すことができます。テレ側の4.5始まりから1+1/3段までは発生し、ワイド側は半段絞ればほぼ消えて1段絞れば確実だと思いました。

使用感

いかんせん重いです。単に振り回して歩いてる分にはちょうど良いというか別にすごい重さを感じるわけでもないんですが、ずっと持っているとまるで手持ちでずっと大三元レンズを持っている気分です。重さもフットワークの面では弱点です。

AFは黎明期のくせに尋常じゃない速さで合いますが、残念なことにα200はよくAFを外します。ポートレート時にAFを外すことがちょくちょくありました。編集で救済できそうなぐらいの微ブレ写真みたいになります。

見やすさの面ではどうかと言われるとそもそもαシリーズはAF用レンズでも明るく見えるように開発されているアキュートマットが先代のX系統から引き継がれているのでMFで困ることもありませんでした。α200はそこまで視野率が高くないのでそれがときどき癪ですが。でもそれでもα350はいいという変な事態です。

それからα200はメカニカルシャッターで駆動しているだけあってシャッター感やそのフィーリングは気持ちいいです。
Nikon D70では電子シャッターと併用ですので機械式でシャッターが落ちてるのか電子式でシャッターが落ちてるのかすぐにわかりますが、手ぶれ補正が無いのでむしろ電子式を低速側で取り入れて欲しかったのですが、技術上は難しかったようです。メカニカルな分α200はシャッターショックが大きめですが音は上品で悪く無いものです。
自分は鉄がシャリって鳴くような音も好きですが、ジャキっと力強いシャッター音も好きではあります。だからスーパーガシャポンとか使うんですけどね。

後書き

次回のブログでは久々のフィルムでPROVIA 100FとKodak Proimage100を掲載する予定なのですがいかんせんプロビアの使用時に使用していたα507siにちょっとした不具合が生じたためどう映っているか不安です。一応不具合と言っても全てのモードダイヤルで連写のブラケット撮影のみになってしまう不具合でいずれも変な不具合です。クラシックダイヤルでも内部のオペレーションが狂うとやはりおかしい動作をするようになります。そして同時に使用していたチェキもLCD液晶部がダメになって表示が薄いままです。おそらく高温下に晒しすぎたんだと思います。

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