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おそらく最後のAGFA Vista 400 Original
AGFAは2018年にフィルム写真産業からは完全に撤退。以降は世の中に残っているわずかなフィルムを探すのみでもうほとんどを見かけません。少なからず残っているAGFAを回収するのでもすでにおなかいっぱいですが今回は珍しく今となっては希少なAGFAVISTA400の旧版を手に入れたので紹介します。
AGFAとゲバルトの誕生と合併
AGFAというのは元はベルギーにあった写真フィルム製造の会社。初めは科学製品販売をしていたようで創業はのちの紹介のゲバルト同様19世紀後半とかなり古め。旧東ドイツORWOとも関係が深く1900年代はロジナール希釈現像液が人気だったとか。(Wiki参照)
その後両社は1964年に事業を統合。よって誕生したのがこのアグファ・ゲバルトということになります。
統合、と言いましたが世界史大好きの皆さんならお気づき、ベルギーは海外企業との合併や資本協力は基本禁止されています。そのため本社を別々に設立した、と考える方が分かりやすいです。
いわゆる日本によく流れてくるものは日本法人アグファゲバルト(アグファフォトとは別)での販売品などが多いのではないでしょうか…
この日本アグファゲバルトは2004年末頃に輸入停止、事業売却を行ったのでそこからの在庫品が生き残りとしては多いのではと自分は推測します。
事業統合を行なったのは1964年。それ以降はアグファゲバルトとして製品を輩出していましたが1980年代にはカメラ事業からは撤退。意外と短めです。
アグファ・ゲバルト、アグファフォト・ホールディングとの違い
上がゲバルト、下がAGFAPHOTO。
アグファ・ゲバルト(以下は見やすさ向上のため本店)とアグファフォト・ホールディング(以下見やすさ向上のため新店)は資本提携を持たない別の会社として扱われています。
2004年に本店は日本語で言う「暖簾分け」、いわゆる株式MBOを行いました。MBO内容には主にフィルム産業のことが含まれており、このMBOではかなりの損失をしたとwikiでは記載があるようです。
しかしこの売却先であった新店(有限会社)は翌2005年に破産。その後経営者の切り替わりなどが続き2007年に再開されたようですが、そこからは日本の富士フイルムのOEM提供も始まったようです。
フィルム製造のプロセスやシステムは本店本来の製法を引き継いで行なったようである程度はアグファらしさを感じられるようなフィルムにはなっていたようです。
この新店はいわゆる丸型ロゴのデザインで生産されている製品です。本店がいわゆるひし形、ダイヤ型なんか言われているものです。実際には日本法人は今でもずっと本店アイコンを採用していますが、その製品でフィルムは生産されていないので(日本法人はフィルム生産は行なっておらず全てベルギー直輸入のみ)ベルギー直属ということになります。
今回の自分のフィルムは期限が2007年と今までの話を考えると少し辻褄が合わずズレてきます。ただ2004年ごろの生産と考えてギリギリ最後のフィルムだと考えれば多少強引ですがベルギーオリジナルのひし形ロゴを見るにそう推測することもできます。(購入したチャンプカメラさん曰くおそらく本店のもので間違い無いだろうとのことではありました)
新店は今はレンズ付きフィルムなどを製造していると思いますが、かなり高価だったイメージがあります。というのも確か製造工場は日本に持ってないとかなんとかで輸送コスト上昇が関連していると聞きました。写るんですがFunSaverとかよりも安いのはそういう背景があるのかもしれないです。
フィルムに関しては新店は〇〇プラスと記載されたフィルムを製造しています。またそれ以外にもパワーショベルブランドのデザインフィルムなどがあります。なお一連の全てのフィルムはカラーの場合富士フイルムをOEMにしています。X-TRAのエキスが含まれているのではないかなど言われていますが、少し違うと書いてあるブログも見るのでどうなんでしょう。
ちなみに新店も2018年には全てのフィルムの生産と輸出を停止しており、事実上アグファのつくフィルムは全てなくなりました。
ただ一部の企業誌ではメーカー技術者が残って再びラボを再開させる動きがあったとの報道も「現情勢化以前」にはあったので復活する動きがゼロでもなさそうです。
いずれも本店での生産は2004年末から払底まで、新店では2018年から払底までのフィルムが今は残っていることになります。したがって本店のフィルム(今回のフィルムもそうですが)もう15年近く期限が切れているものになります。それを覚悟して買うか、使うか、ということになってきます。
払底がまあ俺によって完結してしまったと言えばそれはそれでなんか…
オリジナルのパトローネ、パッケージ
オリジナルのフィルムは新店とは少し別のイラストをしています
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幻のレンズ(と思ってるだけの)IZUMIC 80-210mm f4.5 mc macroで撮影。
特徴的なサッカーの少年が映り込むこのビスタのパッケージですが、プラスにも実はこのようなパッケージで採用されています。特徴的なのはビスタのカラフルな表記。
当時まだデジタルカメラが高価だった頃の1990年代初頭やその後の2000年代初めにはこのパッケージではないもののプライベートブランドのフィルムとしてダイソーのフィルム製品として置かれていました。100円ではなかったような気がしますが、、コンビニプリント割引とかの券はあったような…当時はラボが普及しきっていたのでどうかはわかりませんが、、
ちゃんと調べて出自を確立させる
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後々調べたのですが、このパッケージ、記入表記は「AGFAPhoto GmbH」でした。これは先ほど述べた本店、新店との区別をしたいと思います。
初めに話していたのは本店と新店、新店は少し変遷が複雑でしたので整理します。
本店から独立するためのフィルム産業を株式MBOしました。これが2004年です。
その後2005年までは存在していた、「AGFAPhoto GmbH」、その後の2007年からの経営者変更による「AGFAPHOTO Holding GmbH」、つまりこのパトローネとパッケージはドイツ生産の正真正銘の本物だったわけで、かつその1年間だけ存在していた伝説のフィルム、と呼べるものでもあったわけです。誇張してますが今時この手のフィルムはなかなか手に入りません。ある意味で当たりだったのかもしれません。
実際パトローネを見るとMade In Germanyですのでここは間違いないと思います。Plusの場合は日本のノックダウンであるMade In Japanの表記があります。
ベルギーの会社じゃないのかって?そこは割愛しておきます。簡単な話AGFAはドイツの企業、ゲバルトはベルギーの企業、工場はドイツ集約です。
作例(現像待ちです)
フィルムはもちろんのことカメラはNikon FM、レンズはおおむねNIKKOR-H Auto 50mm f2、NIKKOR-S・C Auto 50mm f1.4ぐらいだと思いますが一応それぞれ掲載はします。
追記です。撮影には新たに千夜一夜玉のAi zoom NIKKOR 50-135mm f3.5Sを入れました。ただ最寄りのラボが閉店してしまったために少し多くの時間が必要になりそうです。
お待たせしました。少ないですが徐々にスキャンしていくのでよろしくお願いします。補正はなし、EPSON GT-F700でスキャンしています。褪色があり若干カラーバランスは鈍いですがやはりアグファ。濃い色です。
若干色褪せもある写真もありますが、赤は強いもので意外と健闘しているなという印象。ちなみに全ての撮影をISO100基準の露出で行って補正しています。
あとから気づき修正しましたがローディングの不具合でコマ間がずれて一部が写っておりません。
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Nikon FM
Ai zoom-NIKKOR 50~135mm f3.5S
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Nikon FM
Ai zoom-NIKKOR 50~135mm f3.5S
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Nikon FM
Ai zoom-NIKKOR 50~135mm f3.5S
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Nikon FM
Ai zoom-NIKKOR 50~135mm f3.5S
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Nikon FM
Ai zoom-NIKKOR 50~135mm f3.5S
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Nikon FM
Ai zoom-NIKKOR 50~135mm f3.5S?
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Nikon FM
Ai zoom-NIKKOR 50~135mm f3.5S
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Nikon FM
NIKKOR-H Auto 28mm f3.5
嗜好品になりつつあるフィルムで。(自語り、雑談です)
いつものお気持ち表明項目です。飛ばしていただいても結構でございます。
一般世論から見て需要が低下している製品はその後嗜好品として取り扱われる例はよくあります。身近に皆さんが毎日乗る電車は昔はSLという全く駆動も動力も違うもので動いており、今ではひっそりと記念運行などが行われているようなもの。企業からしたら嗜好品です。船も同様。石炭船はなくなりほとんどが重油船(まだあるにはあるらしいが)。
自動車が最も分かりやすい例だと思います。自動車もかつては贅沢品、嗜好品でしたが、その後普及して大衆化。しかし自動車は大体15-20年で買い変わる場合がほとんどです(自動車生産の白書とかみて)。よほどの社会、共産主義でない限りは技術発展を望むので古い車は段々と引き締めが行われます。
エンジン、ガソリン、それ自体は同じですが排ガス規制や在庫品払底などさまざまな要因を絡ませて結果維持費が上がる。というのが車の例です。
万年筆や筆もいい例でしょう。今どきどこでもかしこも仕事で万年筆を使う人はそう多くはないはずです。手書きライターや書家などの特別に道具として利用する職業は別ですが。
写真機の場合は一般的に標準のフィルムサイズというものは1950年代に位置付けられた135mm。それより以前は120か220などの今でいう中判、大判。そして今はデフォルトはデジタルAPS-C撮像素子です。というかそもそも標準なんて概念はなかったんですけどね。昔は。
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Industar 50-2 f3.5(未編集)
フィルムというものは2005年ごろから生産が下降気味になりました。グラフ上ではそれよりも前とかそれより少しあと、とか左右されているようですがIT革命が起こったその時代ごろから徐々に衰退傾向に。企業もたくさんのコンパクトデジタルや一眼レフを続々と低価格で提供するようになります。CyberShotシリーズなどもここから大きく成長したんじゃなかったでしたっけ?
AGFAもそれ以降の時代を見越して2004年には売却したんでしょうか。真偽はわかりません。
ではカメラは?
今の時代、フィルムは愚か一眼レフですら一般の方にとっては嗜好品になりつつあります。日本の場合はそれが顕著です。
エコの政策、を取っている日本では昔から協力する姿勢が強いのはよく言われていました。もともとエコカー減税などの税金に関する税制優遇措置が取られていたのが認識の始まりです。いまでもソラーパネルなんかを設置すると優遇措置があるなんてところもあると思います。よいと思うかは別ですが。
心理学の講義から直接心理学の行動経済学の研究を行っている方に話を伺いましたが、例えばそれがカメラの場合、
「今の日本人は多くが利便性と効率性、そして経済的にコストのかからないものを求めるようになった。」
と言われました。なぜですか?と聞けば
「会社はまず無駄なものを排除しようと考えた、自動化や技術革新による社内の環境の向上、昔のように残業をして当たり前、だったり、ロボットの生産なんて品質が悪い、なんて時代ではなくなってきている」
と続けていました。「そこから国民にも『便利なものを低価格で!』という意識が出始めました」
よくいる写真おじいさんが言っていると思います「今のように気軽に撮れて、すぐに見れて金のかからない話はない」
逆です。というか逆だと言われましたし自分もそう思いました。
スマホ、という集約化された情報端末に撮影、というもっとも直感的な機能を備え付けて販売しています。それも今は18万前後で。いい値段ですよね。
この場合の別例が電卓などです。電卓、昔はでっかい機械で持ち運びなんてそうしませんでしたよね?そこからだんだんと小型化されて会社でも使うようになって会社のバッグに入れて、スマホが登場して。。という感じで。
いまでこそ会社で使うときはまだ電卓単体だと思います?でもスーパーとか日常で電卓機を使う人はどのぐらいでしょう。少なくともスマホのその機能を使っている人のほうが多いとは思います。需要とは別ですけど。
話を戻しましょう。スマホのカメラです。
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KMZ Industar 50-2 f3.5(未編集)
18万と50万のカメラは違う。それは当たり前です。しかし企業がエントリーのカメラをいくら出したところでカメラがスマホに勝てないものがいくつもあります。逆も然りです。それこそ撮像素子やエンジンからまるで違います。話せばいろいろ出ると思います。センサーサイズ、色収差、像面歪曲云々、、
そこで「そもそもジャンルが違うじゃないか、という人は根本を理解していない」と教授は続けられました。自分も初めそう思い発言してそう言われました。
「問題はその機能ではない。付加価値。そのカメラを持って何ができる、そのカメラで何が変わる、何が良くなるかを見出せていないから買う人が減った。だがこれは付加価値ではなくそのものの価値だ。」
「パッと見て、手に取って差がないというのは簡単だが意外と差別化の話にとって重要なことだ、スマホというものにたまたま付加価値としてカメラがあった、それが需要に大きく反映された」と続けられました。
まとめるとするならば「エントリーのカメラを持ってま現代の人にはそれがどうスマホと比べ優れているかを見極める力を失っている。それも自然的に」ということです。手軽にスマホのカメラのような自然で付加価値的な、でもあった方が確実に便利という需要を兼ね備えているもの。
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NIKKOR-H Auto 28mm f3.5(RawTherapee5.9)
現代人がしばしば冷たいと言われる理由、趣味に忠実でない、浮きっぽい(表現的にあっているのか?)と言われるのはここです。
なんでも比べる傾向があるのは昔から同じですが、それがより身近なもので顕著になりました。
天秤にかけて手軽に持ち運べてすぐに撮影できるスマホ、なくてはならない必需品となったスマホにつくカメラ、いわゆる付加価値です。そしてカメラ。撮影することに特化した専門的でより技術的な製品、そして何より必需品ではない=嗜好品。
さて現代人は何を天秤にかけて一眼レフを持つかどうか比べるでしょうか。もちろん趣味の話では別です。興味がなければ一眼レフなんてもはやどういうものなのかも知る必要にもないぐらいスマホのカメラというものが様々な面で勝っているということです。これが今の一眼レフ販売市場の具現と思います。
くどい話は飛ばせば大体の人は取り回しや利便性の良さです。スマホを凌駕する圧倒性はもちろん、そこに利便性などを天秤にかけます。当然機工場から違うのでスマホよりも大きく厚くなるのは当然のことですが、果たしてそれが未知の一眼レフに興味を持たない現代人が理解して使うでしょうか。
この考えこそ現代の考えとなる一部なのです。
人によってはこれらが最近「ミニマリスト」が流行した原因と捉える人がいるようです。余計な嗜好品や、贅沢品、特別なものをなくし、必要最低限のものを最適な価格で揃え、自分の周りに揃え、全てを運用する。放置することはなく。ということです。実際には嗜好品が一切ないというわけではありません。ただ最低限のものにするだけではなくて趣味のものは趣味のものとして別枠を設ける場合もありますが、これはもはや人々個人の考えの領域に入ってくるので論理が飛躍しすぎてしまいます。
無駄がないという意味でこれは生活上、最高の状態とも言えますが、ある意味「旨味のうもない淡白な水」というイメージです。
ただ単に水を飲むのはそれはそれで美味しいです。シンプルですから。
ただ水の場合それだけです。何も、水以外の味もありません。哲学的ですが、水に何かを足せば水にとっては付加価値ですが、味は変わります。二酸化炭素を注入すれば炭酸水、そこにコーラの素を入れればコーラ、ソーダの素でソーダ、コーヒーポーションでインスタントコーヒー。水からしたら邪魔、嗜好品ですがその贅沢さは水だけを飲んで生き続けている人は決してわかり得ない境地になるわけです。
カメラに置き換えるならば水はスマホか一眼レフ。贅沢品は人によって変わるでしょう。被写体の場合もありますし、それとは別の概念それ自体かもしれません。一番多いであろう被写体はスマホで撮るのと一眼レフで撮るのを比べた時、単に「画質」とかの簡単な話ではなくて「なんでこんなに便利なスマホが綺麗に撮れるのに企業はこのカメラを販売するのか」と深く考える人もいると思いますし「スマホじゃないけどなんか良い」「なんかエモい」とかそういう淡白に見える内容でも充分旨味は引き出していると思います。これが概念のいい例でしょう。スマホとは違うけどなんか良いからこれは持っても良いかも。と問いかけたりする姿勢は割と重要だと思います。
ですがただ問いかけるだけでは現代の人々は応えてくれません。むしろ逆の視点で考えてください。「なんかスマホよりエモく撮れるけどスマホよりでかい」「それっぽく撮れるけど別にスマホでもいいんじゃね?」と考える方もいます。当然のように一番身近で必需品で同党の性能と解釈されるスマホを天秤にかけるわけです。そこで企業はそうした「初めてスマホから一眼レフにステップアップする層」とか「今後スマホ以外にカメラというものを所有して見たい層」に「何がどうスマホよりも強みがあるのか」ということをうまく引き出してアピールしなければいけません。それが利便性なのか、取り回しなのか。ただその二つだけではないのです。その二つだけだったら等に自分は心理学の教授の内容を理解していないことになります。「問題はその機能ではない。付加価値。」付加価値がどれだけ優れているか、べつに優れていなくても持たせられるほどの強みがあるかどうかが重要になってくると自分は思います。まあこの手の話は批判も反論もあるでしょう。。
Twitterでも正直これに似たような話をしている人がいます。今までのこれはいわゆる自分の「お気持ち表明でしかない」ですが、要は客層をどうとらえて確保してユーザー数を増やすかが今後重要なのです。スマホがない時代、そしてAFもない時代、真っ先に圧倒できるほどの強みを持てるEFレンズ群はそうしてはじめて一眼レフを持つユーザー層を獲得していったのです。それだけは通説です。
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AF zoom NIKKOR 35-70mm f2.8D N