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PENTAX MZ-LとSMC PENTAX 35mm f3.5
ジャンクで転がってるMZ系と言えばピニオンギア!と言われるぐらい故障の多いMZシリーズ。俺もすでに3つもはずれを引いています。今回は珍しく当たり(?)を引くことができたので紹介したいと思います。
21世紀カメラのMZ-L
21世紀に入り世間が徐々にフィルムカメラからデジタルカメラへと移行し始めていた時代。まだまだ需要は高く、またデジタルカメラも高級であったことからフィルムカメラというものを販路として残すことは重要でした。
MZシリーズカメラとして
MZシリーズはPENTAX機の中でも特に壊れやすい、というよりも軽量化やコスト削減の波に呑まれ、非常に不人気な機種たちとなってしまいました。
PENTAXはこのシリーズから特に前のシリーズのZのハイパー系統を一部なくしてわかりやすさに回帰しました。とにかく操作しやすく直感的なもの、を作ることをコンセプトにしていました。特に後述のMZ-3 MZ-5はクラシックダイヤルの波に乗った人気機種となっていて今でも一部の方に人気を博しています。
ご存じ一桁機というのは意外とどの企業でも比較的高級機種に位置付けられます。(EOS5、EOS3、F5など)PENTAXも一応高級機種に位置付けられていたのはこの5と3でした。その3から改良されてさらに機能と操作性を進化させたのが今回紹介するMZ-L。
95年にまず初めにMZ-5が発売されクラシックダイアル方式になった操作系が人気となりTIPAなどのカメラ技術関連の賞を受賞しました。ほかにもこの時代はEOS55やMinolta α507siなどの従来の行き過ぎた自動化からわかりやすい操作系でシンプルさを追求したものが好まれる印象にあり、そうした機種は増えていました。そのうちのMZ-5も一つなのです。
MZ-3の後継機として
MZ-3の後継機種として登場したMZ-Lは2001年に発売。3で人気だった機能や操作系はそのままに、さらにわかりやすさを追求した「上級機」なぜここを強調したのかというと。この機種、なぜか廉価機として扱われることが多くなかなかかわいそうなものでもあります。おそらくオートピクチャープログラムによる絵柄のダイヤル表示が廉価機特有のものにみられるイメージがあるのかそう位置付けられている場合が多いですが、これはMZ-3の後継機ですのでメーカーや雑誌等でも一応はミドルクラス系、高級機として位置づけられます。ただし最上級機は事実上のMZ-Sとして見ている方が多いようです。(不遇のMZ-1計画…)
スペック
公式での掲載がありますのでそちらに割愛させていただきます。突出しているすばらしいと思う箇所はこのシャッターが1/4000sを出せるということです。おそらくこの時期から徐々に登場したリミテッドレンズなどの開放F値の高いレンズを使用しやすいように作られているのかもしれません。
使用感と外観
使用感については客観的な判断と主観的な判断の二つで考えてみたいと思います。主観的な判断で言えば、意外にも頑丈、というか隙間があまりない、という印象を受けます。どのプラスチックカメラでも必ず隙間や製造上の小さい感覚はありますが、このLはそこまでそうしたものを大きく感じることがない、というよりかほかの個体よりも少なく感じます。上級機特有のマグネシウム感、というかなんというか。言葉で表すには難しい感触をしています。
客観的に見れば所詮はプラカメです。やはり高級機種と言いながら高級感の内外装に感じます。外装は正直そこまで重要なことでもないと主観では感じますが、世の男たちはこのデザイン、、あんまり受けはよくなかったんじゃないんですかね。。どうでしょうか。でも夫婦やママさんパパさんが手軽に使うことができるようなインターフェースではあるので、そうした層には受けるのかもしれませんが、せっかくの引継ぎのKマウントをうまくいかせてないかと思います。どうしても主観が入ってしまいます。。
そして実際に使ってみるとわかるのがファインダーの悪さ。ファインダーはペンタミラーなので当然というかAFが前提になってくるイメージです。AF向けのファインダーということもありピントもMFでは合わせづらいです。慣れが必要ってとこでしょうか。でも別に特段悪いとも感じませんし、Industarでも使える感じなので悪くはなかったです。個人的にはですが。そこを比較したいのであればMZ-3とかのでかめのファインダーを使うのがいいと思います。自分は基本よくわからない比率のVLCとかを使って四隅が欠けたりしてるので、、ぬけが悪いわけではないので。。
とにかくフィルムを通してみよう
このカメラ。何気に電子伝達のできない初期MレンズなどがAv位置で利用できる優れもの。と言うかそこに惚れてる。楽だし、何より露出系が作動して絞りも勝手に絞ってくれる。当たり前ですが当たり前とも言えない、その絶妙なバランスとフィーリングを求めた結果です。
スキャンなど情報は以下。
今回はテストロール的な意味に近いため次のように。
フィルム
Kodak UltraMax400
レンズ
SMC PENTAX-F 28-80mm f3.5-4.5
SMC PENTAX-F 70-210mm f4-5.6
SMC PENTAX 35mm f3.5SMC PENTAX-M 50mm f1.7※今回は使用しませんでした。
フィルム
Fujifilm SUPERIA X-TRA400
スキャン
Fuji Film Scanner SP2000
(現像機)
Fuji FP363SC /AL
SMC PENTAX 35mm f3.5というレンズ
SMC Takumar 35mm f3.5、又の名をSuper Takunar 35mm f3.5と呼ばれるレトロフォーカスの廉価版レンズ。ただ、廉価版と侮るなと言わせてくれるのがこのレンズ。旭光学時代の強い気力を感じさせてくれるレンズ。
フォローさせていただいていた方が手放すということで、譲り受けてもらったものが出会い。
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PENTAX MZ-L
noteでは画質が制限されてしまうためしっかりと見えないのが残念ですが、スプリンクラーからの水の粒がしっかりと描写されるぐらいの素晴らしい描写を誇ります。
FlickrとTwitter(旧X)(?)にはオリジナルで掲載しています。(Flickrには後々の掲載となるためお待ちください)
芝生の手前から奥行きを感じさせる被写界深度を出しながらも均一な描写を誇る、これは上級レンズF2に負けず劣らずだと思います。(一時期使っていたが資金難で手放し…)
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PENTAX MZ-L
これは開放での撮影。手前の芝生の四隅は流れが出ているもののピント面にはしっかりとシャープに。と感じます。
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PENTAX MZ-L
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PENTAX MZ-L
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PENTAX MZ-L
どうでしょう。ここまで写るレンズ。ここまで表現できるレンズ。強みだと思います。「なにが?」と思う方もいるかもしれません。そこを解釈したり考えるのがまた楽しいのです。
それ以外のレンズはいかに。
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70-210mmはいわゆる隠れEDと呼ばれるレンズ。なかなか素晴らしい描写を誇りますが、テレ側では若干四隅の流れがキツくなるのが惜しいところ。中間の135mmはとてつもなくズームとは思えない描写をしてくれると思って使っています。
一方で28-80mmは色の濃い描写をしますがシャープ感に欠けます。コントラストはいいものの、いまいちピンとこない場合もありますがそれは開放に近い時の話でF7.1以降まで絞って仕舞えばしっかりとしたシャープさとコントラスト、色表現をしてくれます。
夕方から夜景の狭間の写真を見るに車のヘッドライト部分に偽色が現れています。
MZ-Lの醍醐味
なんといってもやはり軽さとマニュアルでは使いやすい操作系。オートの場合、と言うよりも絞り優先の場合、絞りをクリックごとで左右に動かさないといけません。その場合は面倒ですがそもそも絞りリングを操作するマニュアルの古いレンズではあまり関係なくなります。それにそのまま露出計も使うことができますのでやはり楽です。
軽さはプラカメという見た目の代償から獲得。金属のFや中判使いにはあまりにもダサい色と見た目をしていますが、フィルムへと集中してこだわるのならばあながちレンズが良ければなにでも本領を発揮します。ぶっちゃければMZ-60などでも余裕です。ただシャッタースピードが邪魔をしてくるのでしょう。今となっては連写はあまり必要事項、となる場合は少なくなりましたのでそこの部分にも寛容さが生まれているのでしょう。良いカメラです。
後書き雑談
これ、冬に持ち出したらきちんと動いてくれるんですかね。一応バッテリーグリップが標準でついてはいるのでそこでバッテリー上がりは解決できそうですが、動作がすごい粘った感じになるとちょっと面倒です。なので冬の時期はある程度キビキビ動くものを多用します。普段なら。例えばFMは使えますがあのカメラ、冬になると水滴でレンズやマウントが丸々凍結固着して外れなくなる時があるんですよね…
EOS5の場合はレンズも側もプラなので凍ることはあんまないんですけど、すぐに水が浸透して全体が凍る感じになっちゃいます。冬の雪山に持ち出す人間なのでそこら辺は割と見ます。
デジタルは現状はK-7が一番満足できると言うか強いのでそれを使います。なにしても壊れない。ぶつけようが落とそうが極寒の雪山に行って濡れて凍っても動く。そう言うタフなカメラです。今の所フィルムならFMかEOS5か意外にもNikomat FT系。あとは…PRAKTICA VLC2、大好きだしあいつは赤かった頃のドイツの血でできてるから、、(突然の陰側発言)