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Kodak DC280Jで撮る江の島

いきなりですが作例から始めましょう。

いかにも2000年代を思い出させる低画質、高ノイズの「昔のBBSとかサイトに貼ってある画像」を思わせるノスタルジーを感じさせるものです。ちなみにレンズが曇っているので本来とは少し違うコントラストとなっていることをお詫びします。


Ⅰ. Kodakが始めるデジタルカメラ

Kodakはかなり前、どころかなんなら最初にデジタルカメラを製作したんじゃないかと言えるぐらい民生用のデジタルカメラ販売が早くから行われていました。

日本でもCASIOがデジタルカメラを販売してからはこぞっていろんな企業が開発に力を入れるようになりました。

Kodakはすでに業務用として開発したDCSシリーズからの派生やこれからのデジタル技術のシリーズを謳うDSシリーズを発足。そこからDC260などコンシューマー向けでありつつも記録用デジタル記憶装置として販売を行っていました。

それでも当時の値段は異常に高く、まだまだフィルムカメラを買う方が安かった時代。小さいコンパクトのフィルムカメラを買って使い続けた方がはるかに経済的だったのです。

Ⅱ.当時は高かった

当時は1990年代後半を指します。このころ主流のカメラと言えばだいぶNikonの一眼レフでは後ろの方のF90X、コンパクトなら家庭ではオート―ボーイルナやビッグミニが主流でしょう。ちょうど家庭にも徐々にパソコンが浸透してきている時代でWindowsも95が多くあった時代でしょう。若干デジタルが浸透し始めたぐらいでしょうか。それでも普通の家庭だったらパソコンが精いっぱいぐらいでまずカメラを買うよりはビデオカメラに行く場合の人の方が多かったんじゃないでしょうか。

というのも、パソコンが当時はやはり20万ぐらいはちゃんとお金を用意しないと運用というのには難しいわけです。今みたいな10万前後で買えるというよりはちゃんと購入してしっかりとくみ上げをするとなると30万ぐらいは普通にかかってきている時代でもありました。ショップブランドPCとかもその代わりサイクル期間がとても長かったのでそれで何年過ごしても性能が見劣りするってことは大きくなかったのです。となるとまだまだフィルムは主流メディアだったのはよくわかることでしょう。まだ36枚のダイソーフィルムとプリントを合わせてでも500円ぐらいでできた時代ですからね。そりゃあねえ。

Ⅲ. Kodakが出したカメラ

Kodakには当時OSを積んだDigita系のDC260、290、220など高級機、フラグシップの系列ラインナップ以外に210Aなどの廉価機いわゆる普及機を販売していました。いずれも日本製のOEM製造カメラで一番有力な説ではCHINONがあげられています。(チノンが傘下に入っていたのでおそらく本当でしょう)
実はDC260は殻割をして中身を確認したことがありますがしっかりとKodakの回路やICチップ、そこにカシオの液晶やCHINON製と思われる筐体に積んでいるという感じで結構がっつり日本製造とはいえ中身はKodakテイストを感じます。中の回路は完全にアメリカですね。

一方で面白いのはCASIOで、カシオのカメラはまさかの筐体にCASIO基板ではなくサムスン基板。そこにヒュンダイ(現ヒョンデ)のICなど割とキメラチックなつくりをしています。面白いのがセンサー系でこれがカシオではなくSONYのセンサーだったということです。レンズはCanon。もう多すぎですね。当時はこういうことが多くあったのです。Kodakのように割と中にもしっかり手を入れたりする企業もあります。これは別に「じゃあ手抜きだったのか」と言われたらそうではなく当時からこうした協賛の立場にある企業も多く、対立はある意味で表向き、ちゃんと技術革新と発展のために企業同士の結束がきちんとなされていたのが表れています。国際分業ですね。

ですが韓国製の機器類は00年代に入ると途端に見なくなります。まあ理由はみなさんお気づきでしょう。IMF危機です。日本での影響はあまり語られませんが韓国国内では相当な打撃を受け感覚で表すならばリーマンショックと変わりませんでした。そこから徐々に韓国の製品や内部回路の採用は減っていき代わりにソニーなど国内企業が台頭していきました。

変わって、当時は日本で家電のイメージが強かった三洋もカメラを販売しており、三洋のカメラは中を見てもきっちり回路まで三洋内製です。すごい、、レンズだけはキヤノンを採用しているものもあるようです。

DC280Jは一応日本でも販売がされていますがかなり短い期間の販売だったのか出物が結構ありません。

Ⅳ. 作例はすでに出しているが、、

すでに小出ししていますが、、見ての通りなんかフレアっぽいですよね?

これは嵌め殺しのレンズの部分にクモリが生じていて持病です。嵌め殺しなんですが間に空気層が存在しているため外気に触れない部分が存在しています。そこが徐々に空気滞留でコーティングと一緒に酸化するのです。

これだけ逆光でもフレアが出ないこともあります。

描写は基本的にはよく写ります。完全には曇ってないのでギリギリ実用できるレベル。
1/1.76インチのCCDに2倍光学ズームを積んでます。この時代にしてはかなり大きめですね。別にそこまでコントラストが吹っ飛ぶことはないのですがシャープ感には若干欠けています。ただダイナミックレンジ、やはり処理うまいですねコダックのCCDセンサー。すごいと思いました。

やはりクモリが出てますね、白っぽい

曇ってるのがなんとも残念ですが、幸い軽減する露出補正などはすることはできます。シャープ、ソフトなど画像の補正もできます。

DC260。個人的にはこれがコンテジ最強。1/2センサーながら処理エンジンなどが超優秀でダイナミックレンジが素晴らしくいい塩梅。感覚的には小さな一眼DCSシリーズ。ちなみに処理エンジンはDCS720系(760等)と同じというブログも見かけています。

Ⅴ. 使い勝手

液晶にはライブビューと光学ファインダーの二つを搭載しています。ライブビューでは1.8インチのDTFD液晶です。IPSでもTFTでもなく、DTFD。ほとんどTFTと違いはないように見えますが光量を調整できます。変わり者。

記録はコンパクトフラッシュで電源は単3電池を4本で結構電池が持たない印象です。230万画素ですのでこちらは結構高画質ではあると思います。大体180枚前後が限度です。(その後新品エネループにしたところフラッシュなしで大体300枚前後になりました)

センサーはもちろんKodakのCCDセンサー。自社内製ですが筐体などは日本のチノンがくみ上げたりしています。

もし見つけたらジャンクで入手してみるのも手ですが、液漏れなどにはご注意を。

レンズは嵌め殺しです。おそらく研磨などもできないので曇っているのは潔くあきらめましょう。

AFはしょっちゅう外します。この時代の物に期待してはいけません。MFにもできないので根気で頑張りましょう。DC260はレンズをベアリングで回転させて前後させる特殊な機構でしたがこちらはそのようなものはありません。というか毎回言ってるけどなんであいつベアリングなんだよ。

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