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Canon IXY Digital 320

王道中の王道。イクシです。

IXYはもともとAPSのフィルムカメラ展開を中心として販売されたもので安いカメラはみんなチープなプラスチックという印象が強かったことからステンレス外装を採用した斬新なデザインを採用。これがヒットし人気商品へとなっていきました。

最近はやはりY2Kブームの再来や90年代のフラッシュバック的ブームが来ているので人気になりました。特にIXYはデザイン性や使い勝手も当時から女性や家族を対象にしていたことから、現在でも好まれ、ブームアイテムの一つとなりました。

Ⅰ. デジタルカメラとしてのIXY

2000年になって新しい世紀を迎えた日本はいよいよデジタル化の波に乗って一般消費者にも手の届く安くて使いやすいカメラを販売していく必要がありました。

Canonはそのニーズに応えるべく、操作系の変更はある程度抑えたままにIXY DIGITALを販売しました。

IXY DIGITAL320

IXY DIGITAL320自体は高級機という思想はありません。そのためスペックにもさまざまありました。初期のものは画素数も低ければ、コストの削減を意識して小さいセンサーサイズのものを採用しておりよりコンパクトで使いやすくなるような設計をしていました。

その時に高画素を求める層がだんだんと増えていき、センサーサイズを小さくする代わりに画素数を増やした個体を登場させて出来上がったのが今回の320です。


Ⅱ. 2000年代のデジタルカメラ製品

2000年代初頭。カメラといえばまだまだフィルムカメラは現役だったものの、ガラケーはかなりの数で普及をしてデジダルの黎明期となりました。デジカメ、というのもサンヨーから商標として出されてプリクラなども数年前から流行り出していました。

ツーカー、IDOからのDDI、KDDIもさまざまな家電メーカーからのガラケーが登場し、この頃にもカメラがつくようになっていました。

しかし画質という面ではまだまだ弱く、電池の問題もあったため運動会などでガラケーで手軽に子供を撮影、旅で撮影、などのシーンでの活躍はより高性能だったデジカメが覇権を握っています。あくまでケータイとして、出会ったのがこの時代ですね。

auでのサイトで東芝などのガラケー製品は30万画素スタイルのカメラなどを搭載していました。次世代型スマートデジタルカード、後のSDカードをこの辺りから登場させています。

比べてデジカメというのはやはりセンサーサイズは小さいとはいえどガラケーよりははるかに高性能でした。中には動画が撮影できるものもあり明らかに地位を持っていました

いわゆる事務などによる記録写真やOCRなどにも利用ができたと思います。大容量で使いやすい、汎用性が求められました

Ⅲ. IXY DIGITAL320の特徴、使い勝手

1/2.7型で当時としても普通な大きさのセンサーですがピッチが若干狭いものです。ピッチは狭くともISOに対しては比較的すぐフラッシュを焚くのであまり気になりません。フラッシュを好まないのであればかなり手ブレに気を使う小ささになってきます。


色はビビッド調でとにかく濃いめにすると私は好みです。コントラストが若干低いのでただ単に昨今のコントラストバキバキ彩度MAXという風にもならないので好感度が上がりますが、普通にナチュラルの方が自然なこともあるので被写体や嗜好で使い分けるのが結局乙でしょう。

上の画像も下の画像もビビッドで作られたものですが予想よりは悪くないですよね?真夏を感じる強い青と緑、ても破綻するほどの色ではない。

同時にいたカメラです

コントラストというよりもレンズがあまり性能の良いものではないのか若干流れがちでシャープ感はありますがなんか「ぬるい」と感じる人はいるかもしれません。望遠側に行くほど顕著です

ボケも少なくあまり強調したものは撮れません。とにかく画角で突き詰める


測光に関しても上と下の画像で性格が分かれるでしょう


望遠域、マクロ域は特段強みはありません

この場合だとかなり濃い色ですね。

砂の画像はかなりシャープでこれが320万画素となるとなかなか感動します

ボケは先ほど強くないと言いましたがゼロでもありません。遠近感を出すのならこれぐらいでは出すことはできます。

何よりこれだけ小さいセンサーでありながら立体感を作れるのはすごいと思います。とにかくコンテジはのっぺりとして均一性はありますが、独創性は薄れます。そういう面ではこれはコンテジとしては少々異端かも?

ホワイトバランスはこんな青空オンリーでもかなり優秀です。

ダイナミックレンジはセンサーサイズ、時代、ピッチゆえ良くはありません

それでも当時は画期的。素晴らしい画質とポケットにしまっておいてすぐ使えるクイック性は一眼に勝ります。まさにスナップ機。

Ⅳ. 外観と操作系

当時のCanonらしい非常にシンプルな操作系です。

別にそこまで不便は感じない十字キーです。クリック感が強いからでしょう。
液晶はすごく小さいですがこれも時代ですね。DISPボタンを押して液晶を消すとかなり電池持ちがよくなります。

電池は専用のNB-1LHです。この当時からも電池爆食いだった320ではかなり非力です。そしてやっぱり劣化していますが、中華のものでよければ今でも入手は普通にできます(二個合わせて1100円ちょいという破格、ネットではそれを利用している人がいましたし普通に動いているようです)

あまり中華製を好まないとなると専用のAC電源を改造する必要が出てくるかもしれませんが、大丈夫だと思いますよ?でも、個人的な話ですし責任は持てませんが自分で購入したらここに書き足します。

DC280Jと比べた例。99年製と02年製なので3年差があるわけですが、顕著ですねえ。

645Dと大きさを比べてみます。645Dはセンサーサイズが320のボディの2/3ぐらいの大きさですのでミラーボックスにも理論上320のボディが収まります。

という感じでとにかく優れた側面が多くこの小ささで実現できるスナップ性は抜群の効果を発揮します。

デメリットにも当然、液晶、撮影速度、シャッター、小さすぎてブレてしまう、撮影ではRAWがないなどありますが、割り切ったうえで考えてみましょう。まだまだ紹介していない機能面もあります。

一度320でないにしろ所有してみてこんな感じかあと触れてみて売ってしまうのでもいいですしおもちゃ感覚で持ってみてもいいですし、自分のようにコレクターズアイテムにしてもいいですし、用途は無限大です。まさしく汎用性の特化。損はないと思います。

追記
その後雪山に持ち出しました。中華バッテリーの新調をしたものを使い撮影しましたが、当時の気温が−6℃でもなおどこにも異常なく現在でも普通に動いていますバッテリーの性能低下もなく嘘だろ、ってぐらいびっくりしています。


Ⅴ. 作例

最後に作例を少し。すべてビビッドカラー、補正等はしておりません。かなり濃い色です。

Ex. 雪山撮影品

 先述した雪山の撮影品も掲載したいと思います。すべて未編集です。

珍しく積もってましたね
この再現力。たまんねえ
値は張るが量もあり味も悪くないし良いですよ。
この写真は意外と好きです。
吹雪いてますが普通に使えました。
フラッシュをたくとこのように。人なんて全然いない。
霧氷が始まってました。

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