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Ai AF Zoom Nikkor 35-70mm F2.8D Newについて

第三十九夜の記載、Ai AF Zoom-Nikkor 35-70mm F2.8D Newで紹介したいと思います。

開発

おそらく開発自体は1985年から開始されて公式の千夜一夜では1986年には設計が完了して1987年の冬に量産、販売開始といったところです。

このレンズ自体はそれよりも後のSタイプレンズではなくD、焦点距離の情報をカメラ側に伝達してフラッシュの画角をより正確でしっかりと当てるために、シャッターの走りをうまく調整するために改良されたレンズシステムになっています。

持病とその修正

いきなりですが、決定的な持病を抱えているのがこのレンズ。

巷ではかなり有名になってきていますが開放F2.8通しでありながらEDレンズを使っていないこともあり非常に当時難しい技術が取り入れられていたことは明白ですが、どうもコーティングの貼り合わせやグリスに難ありでクモリやバルサム切れになるなど持病が多いのです。

さらっと外観

特徴

当時のAFレンズ群として上位、なんならフラグシップに位置していてもおかしくない大口径ズームレンズでした。そのためプロの使用を想定してあらゆる面でMFレンズに近いようなフィーリングができます、多少AFレンズ特有のトルク感のなさはピント合わせの際に芳しく感じる方がいるかもしれませんが、太く、凹凸のはっきりとしてグリップ部はまさしくMFでの使用を想定しているもので抜かりない作りをしています。

時代感覚的には当時AFが本格的に成熟してきていた1980年代後半から1990年代前半。この頃のプロ機というとF4やF4Sあたりです。
F4それ自体は1988年の発売ですので少し今回のレンズの方が早いです。そう考えるとこのレンズはまあまあ早い段階の販売だったと言えるでしょう。

使い勝手

上の特徴と書いていることは似ていますがやはりピントを合わせる時の開放F値の良さはなかなか感じられない数少ないレンズです。

例えばこのレンズとほぼ同時期の発売であるF-501やF-401などと装着するとその良さはかなりよくわかると思います。場合によっては今の人たちはF90XやF80、F100あたりにつけるのも悪くはないと思います。自分は軽さを重視してNikon Uとかにつけるのもありなんじゃないかと思います。えもいわれぬ良さ。伝えづらい…
Uはニコンの中でも特に軽いものですがその分の代償としてペンタミラーを採用しています。したがって暗いレンズではAF頼りになる側面のある機器ではあります。そこでこのレンズを使うのです。一応マウント部は金属なので下手に疲労をして摩耗していくってことはないと思います。

D70につけた例。HB-1は逆光性能上ではほとんど意味をなしていないと思います。あくまで保護目的

作例

写真は一部がNX-StudioでほとんどはRawTherapeeで編集しています。一部はノイズの調整をしていますが歪曲補正やフリンジ補正、レンズ描写に直接影響するような調整は色温度や露出補正などできるだけ小さめにとどめています。。

Nikon D70

開放で撮った作例。非常に当時の最強ポートレートズームとして作られただけあり、歪曲収差に関して敏感だったのか、というのも設計にそうあったので優秀な描写性能を発揮していると思います。若干のクモリ玉でありながらこの描写は本当にすごいと思います。開放なので前ボケはそこそこありますがすごくうるさいというわけでもありません。ただ少しこの写真は後ピンだったようにも感じます。

Nikon D70

少しカラーバランスを強烈に補正した例です。これも開放ですが若干ボケ方に特徴のあるようなイメージです。立体感は出ているので撮りたいような写真が撮れたのは良いことだと思います。

少し絞った例です。f6.3でISOは1100です。若干左隅が流れているようにも思えます。

開放かf3.5のどちらかだった気がします。パープルフリンジはやはり多めに出ており逆光耐性に関してもこのレンズはそれほど良いというわけではありません。ただ中心部の解像感はかなりしっかりしていて逆光を無視すればある程度は問題ない写りをしていると思います。もう少し絞って撮れば現代のレンズと遜色ないかもしれません。

f8です。解像度に関しては申し分なしで隅まできっちりと解像しています。この日は空が少し薄曇りの状態でしたのであまり色乗りはよくありませんが、おおむねそれ以外は良好です。枝の先の実まで解像しているのはこのレンズとD70の優秀さに驚かされます。

紫陽花もいっしょに

車窓

絞ったものでのボケ方の確認で紫陽花を撮影。

奥行きを持たせるために。

開放でこれだけの立体感が出せることが分かったので満足しています。奥行きを出して中心に視線を向けさせるような、特徴的なすり鉢型の紫陽花の配置は考えられて間引きや管理がされているもののようです。

CCDですが

若干彩度やコントラストを落として表現してみるということに最近は注力を置いています。今まで行っていた彩度をそのままの状態で行う現像も悪くはありませんが、時々こうした色あせたような雰囲気を演出する編集もします。
ただ現実色とはかなり離れてしまうので色を足す、引くといったようなことは普段はあまりしません。光に関しては全くしません。自然光かフラッシュかアンブレラか、といった感じで何かパソコン上での編集というのは自分は一切しません。
露出の調整こそしますが、光を足し引きする、と言うことはあまりしません。あくまで編集で存在しない光を作り出すことのことを言います。突然ゴーストやフレアを足す加工です。単に光の調整はします。
というかその手の写真はあまり好きじゃありません。フィルム写真に雰囲気だからとライトリークを入れているような感覚が自分の中であります。

この写真でのボケ方はそこまで好みではありません。色にじみが深刻です。(後々見たところRawの一部の情報がRawTherapee読み込み時に失敗していました。)
上と下で葉の色をこれだけ変える編集ができるのもデジタルの現像って感じですね…
葉っぱの色は案外このぐらいまで濃いのが現実的なんですよね。。ここの葉は非常に濃く見えます。
この写真が最もD70のJPEGに近いものかと思われます。
最後に客車の洗面台を。

最後に

良くも悪くもという言葉を最近自分が使いすぎているような気がして気にするようにしています。なんかそう、みたいな言い回しに近い、適当な感じがあるような気がしているからです。このレンズは開放通しでF2.8のズームレンズで2倍のレンズですが十分日常のスナップにもちょっと画角は狭いですが風景の撮影にも利用できる一種万能レンズともいえると思います。

FXではそのまま、DXでもすこし望遠シフトでポートレートのズームや拡大撮影には適していると思います。マクロ撮影時の画質も今回は数枚しかありませんでしたがそこそこ良好な色彩を保ちつつ画質を得ているように自分は感じました。

真の評価はFX機で、と思われる方もいるでしょうがおそらく自分は先にフィルムカメラにこのレンズを使用してみて体感してみる方が速いと思います。

ただやはり持病やあまりよくない周辺の像流れに関して気にする方には向かないかもしれませんが、持病に関してはうまいこと状態のいいものを入手できれば面白いレンズにはなると思います。おすすめです。

故障と再修理

とあるタイミングで35mm、広角側の無限遠が出なくなるトラブルに。当初はカムシャフト側のズレが原因かと思いましたが特にカムシャフトがなめている感じでもなかったためそのまま前玉ユニットを外しました。

前玉ユニットの位置は特に大幅にずれていたわけではないですが0.7-0.8mmほどズレがあり無限遠が出ないアンダーインフ状態でした。マジックで当初記した位置からレンズやねじを締め直して直らないかなと思ったところで無限遠が出るようになりました。
よく分からない…どこかが緩んでて俺が外して締め直したことで緩みが直ったのか、そもそもはめる時にずれていたのか…

あまり詳しいことは詮索せず特にマクロ側も実測値では1mmも変わりがなかった為そのまま運用しています。(カメラは三脚に固定したまま放置していたので極端にずれることはないと思います)

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