クラフトビールを愛飲する方々には、印象に残るビールがあるかと思う。最近ではNEIPA等が流行ではあるがそういった何かを思い出させるものはあるだろうか。私にとっての印象に残るビールは、鳥取 大山Gビール 「八郷」である。
2010年だったと記憶している。ひょっとすると2009年だったかもしれない。今は実施していない日本地ビール協会のイベントであったグランビエールにて出逢った。(グランビエール2011は東日本大震災の影響で中止となった。)スタイルはSpecialty Aleである。特徴として地元の方と協力して栽培・収穫した酒米「山田錦」を使用しており、日本酒にあるような甘みをもったビールである。特に小麦とは違った甘みのある香りや、一口含むと口内に広がる甘さは酒米を使用することでしか作れないと思われる。アルコールは7%と少し高めである。冷えたままでも十分にうまいのだが時間をおいてちびちびと飲んでいくと温度が上がる毎に風味が変わってくる。
そして、昨年から8月5日は八郷の日と久米桜麦酒株式会社 代表取締役社長 田村 源太郎さんが昨年決めたのである。この八郷は現在限定ビールとしてリリースされる時期は2月から3月であった。出会った当時のクラフトビールはまだまだ現在のような勢いが無かった。大山Gビールとしても、春に仕込んだ八郷を夏ビールとして受け入れてもらえると嬉しいと考えていたと聞いている。しかしながら、当時ではありえない速度で八郷は完売となった。夏までも持たず、4月にはもう在庫が無い状態であった。(グランビエールは3月開催)私が記憶している中でも限定ビールにおける走りはこの頃が最初であると思われる。また酒米を使用したビールもこの後に続いているクラフトビールの系譜においてもエポックメーキングなクラフトビールであり今でも人気のあるビールである。
私が、鳥取で開催される「地BeerFest大山」に行った時は、1杯目のビールは八郷を選択する。今年は残念ながら新型コロナウイルスの影響で中止となったが、来年は是非開催出来ればと思っている。このイベントは地元の人が山開きをした大山を見ながらパフォーマンスすることが重きであると考えている。ビールイベントと言いつつもビールは祭りの主役では無い。桝水高原の駐車場で飲むビールは格別なのでもし行く機会があれば行ってみて頂きたい。
今日は仕事が終わったら「八郷」を飲むことにしよう。