小商いミニ知識:初めての会社設立 その3(合同会社と株式会社どっちにする?組織の違い編)
こんにちは。ゆうき行政書士事務所です。
合同会社と株式会社、悩みますよね。今回は組織の違いを見ていきたいと思います。
組織が違うと、色々と違います
出資する人と経営する人は同じ?違う?
株式会社の前提は株主(出資する人)と経営する人が分かれているのが基本です。
合同会社は出資する人と経営する人が一緒であることが基本です。
株式会社の場合も、1人で株主と経営する人を兼ねることもできます。1人で会社を立ち上げるぞ!となった場合、立ち上げ時点で実質的に違いは感じないかと思いますが、この前提の違いのために、以下に記載する株主総会や決算公告の作業が必要になります。
社員の概念が違う!?代表者の肩書きの違い
合同会社と株式会社の「代表者」についてご紹介します。
株式会社の代表者は「代表取締役」(※1)です。(会社法349条)
合同会社の代表者は「代表社員」(※2)です。(会社法599条)
合同会社の「代表社員」、初めて見ると、え?社員?って思いますよね。
株式会社と合同会社の「社員」の概念は異なっていて、合同会社の場合、「経営の意思決定をする人」が社員です。設立時にお金を出したり会社を作るのも「社員」であり、会社を代表する人は「代表社員」(※2)といいます。
(※1)超細かい話です
会社法上は「代表取締役」を定めなくてもよし、となっていますが、その場合取締役が複数いる場合それぞれ会社を代表して契約行為などを行えるため、取引先に混乱をさせる可能性があります。取締役が複数いる場合は「代表取締役」を定めるのが一般的です。取締役が1人の場合は敢えて代表をつけなくても混乱はありませんが、「代表取締役」の方が代表権があるとわかりやすいかと思います。
(※2)※1よりはちょっと細かくない話です
合同会社の代表者の役職名は登記上は「代表社員」とされていますが、対外的には厳密に決められていないので、代表社員と名乗るケースや、社長、CEOと名乗るケースも見られます。
合同会社には「株」の概念がないんです
合同会社は「株」という概念はありません。なので、上場もしません。
株式会社は年1回株主総会をする必要がありますが、合同会社は不要です
株式会社は事業年度(基本的に1年間です。会社計算規則59条)ごとに株主総会を開催しなければなりません。(会社法296条)
合同会社は原則として社員全員の話し合いで決めることができ、その話し合いにすいては「〇〇総会」というような形式は法律で定められていません。
株式会社は決算を公表する必要がありますが、合同会社は不要です
株式会社は定時株主総会後に決算書類を公表(公告といいます)することとなっています。(会社法440条)公告の方法は定款で定めることができ、官報や日刊新聞、自社のHPに掲載するなどの方法でできます。なお、定款で定めない場合は官報での公告となり決算資料の官報広告は最低2枠で74,331円です。
合同会社は株式会社のように決算を公表せよ、との決まりはありません。
株式会社には役員任期の期間がありますが、合同会社の社員に任期はありません
株式会社の役員は非公開会社で最長10年の期間で設定できると規定されています。(会社法332条)これに伴い役員選任の登記をする必要があり、登記料(登録免許税)は最低1万円かかります。
合同会社の社員には任期がないので、任意で代表社員や業務執行社員を変えたときに登記料がかかります。
ちょっと感想
合同会社の方が経営の自由度が高く、総務的な負担も軽いかと思います。小規模の会社やスタートアップの会社におすすめ、とされているのもなるほどですね。
次回は組織の違いを踏まえた上で、株式会社、合同会社、のメリットデメリットみたいなところを考えてみたいと思います。
読んでいただきありがとうございました。