重力ピエロ 伊坂幸太郎
初めて小説で泣いたので、感想書きます。
~あらすじ~
兄は泉水、2つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。
その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火魔と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。
そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。
謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とはーーー。溢れくる未知の感動、小説の軌跡が今ここに。
後ろの文章をそのままもってきてます。
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⚠以下ネタバレ注意⚠
🟡好きなところ
家族の雰囲気は終始和やかなんですが、それぞれの中に解決しようがない問題を抱えてるんです。母親が強姦にあって、生まれたのが弟というのが、この物語の柱だと私は思っています。
兄弟が大人になる過程で道徳を学んだからこその葛藤や、家族に対する定義に悩んでいる様子に胸が締め付けられます。
両親も起きた出来事について正面から向き合い、家族としての繫がりを心の中で何度も確かめ続けてきたと感じられます。
近所で事件のゴシップが流れて、世間からなぜ産んだのかと小言を言われたとき、父親が返した言葉の強さに覚悟の度合いを伺うことができます。
「親が、生まれてくる子供と対面するのに理由なんて無いじゃないですか」
「お前は俺に似て、嘘をつくのが下手だ。」
書き出してみれば、ごく普通の父親の言葉に見えますが、特殊な家族背景とのコントラストが効いてます。
終始、父親~~~~!!!!!これは惚れる、お母さんわかる〜〜〜〜〜〜〜って登場するページに留まってました。
善か悪か、正解か間違いか、2択では考えられないもののほうが多いのかもしれません。
作中の登場人物たちがそれぞれ家族のあり方を自分で決めたように、この物語は自分で決めろと強く背中を押してくれているような気がしています。