ドロップショットの使い方を物理的に考える
こんにちは、トモヒトです。
今回は、ドロップショットの使い方を物理的に考えてみます。
前提条件
まずは、いくつかの条件を確認しておきます。
ショットの情報
ショットスピード:40~80km/hの1km/h刻み
ショットの角度:20~70°の2.5°刻み
回転量:50~2000回転の範囲で50回転刻み(バックスピン)
打点の高さ:0.6m
バウンド地点の設定
ドロップショットのバウンド地点は、ネットから4mの範囲内とし、ストレート方向のサイドライン付近とセンター付近、クロス方向のサイドライン付近とセンター付近の4点で見ていきます。
フットワーク
フットワークに関しては、次の2局面があるものとします。
反応時間(ショットのコースを確認してスタートを切るまでの時間)=0.3秒を想定
スプリント時間(スタートを切ってヒッティングポジションまで移動する時間)=スプリントスピードを7m/sと仮定
これを用いて、任意の時間t〔s〕での移動距離は、次のように算出します。
$$
移動距離〔m〕= 7〔m/s〕× (t〔s〕 - 0.3〔s〕)
$$
結果
それでは結果をみてみます。
サイドライン付近/ベースライン上
まずは、サイドラインから0.5m内側/ベースライン上でドロップショットを打つケースを見てみます。
この結果を折れ線グラフで表すと、以下のようになります。
shot widthごとに最短ショット到達時間を見ると、以下のようになります。
shot width=0.2:58km/hで1.185秒
shot width=3.0:59km/hで1.201秒
shot width=5.0:60km/hで1.217秒
shot width=8.0:62km/hで1.257秒
この結果をみると、およそ1.2秒前後であることがわかります。
これらのショット到達時間で移動できる距離は、次のようになります。
shot width=0.2:6.195m
shot width=3.0:6.307m
shot width=5.0:6.419m
shot width=8.0:6.700m
サービスラインとベースラインの間が5.485mほどであることから、ベースラインからサイドラインに平行に走ればサービスライン内をカバーすることが可能だといえます。
今回のドロップショットは、ネットから4mのエリア内にバウンドするという条件です。
ネットからベースラインが11.885mであることを考慮すると、ベースライン付近からサイドラインにほぼ平行にドロップショットを拾いに行けば間に合うと考えられます。
これらのことから、サイドライン付近/ベースライン上からドロップショットを打つ場合は、できるだけ対角に走らせる位置に打つことができないと拾われるリスクが高まると考えられます。
サイドライン付近/ベースライン前方2m
次は、サイドラインから0.5m内側/ベースライン前方2mでドロップショットを打つケースを見てみます。
shot widthごとに最短ショット到達時間を見ると、以下のようになります。
shot width=0.2:53km/hで1.106秒
shot width=3.0:54km/hで1.122秒
shot width=5.0:55km/hで1.138秒
shot width=8.0:58km/hで1.185秒
ベースライン上からのときの比べると、最短ショット到達時間は短くなります。
これらのショット到達時間で移動できる距離は、次のようになります。
shot width=0.2:5.642m
shot width=3.0:5.754m
shot width=5.0:5.866m
shot width=8.0:6.195m
サービスラインとベースラインの間が5.485mほどであることから、サイドラインと平行に走れば、サービスライン付近はカバー可能です。
センター付近/ベースライン上
次は、サイドラインから4m内側(センター付近)/ベースライン上でドロップショットを打つケースを見てみます。
shot widthごとに最短ショット到達時間を見ると、以下のようになります。
shot width=0.2:59km/hで1.209秒
shot width=3.0:58km/hで1.194秒
shot width=5.0:58km/hで1.194秒
shot width=8.0:59(60)km/hで1.217秒
これらのショット到達時間で移動できる距離は、次のようになります。
shot width=0.2:6.363m
shot width=3.0:6.258m
shot width=5.0:6.258m
shot width=8.0:6.419m
センター付近/ベースライン前方2m
次は、サイドラインから4m内側(センター付近)/ベースライン前方2mでドロップショットを打つケースを見てみます。
shot widthごとに最短ショット到達時間を見ると、以下のようになります。
shot width=0.2:55km/hで1.138秒
shot width=3.0:53km/hで1.113秒
shot width=5.0:53km/hで1.113秒
shot width=8.0:55km/hで1.138秒
これらのショット到達時間で移動できる距離は、次のようになります。
shot width=0.2:5.866m
shot width=3.0:5.691m
shot width=5.0:5.691m
shot width=8.0:5.866m
サイドライン付近/ベースライン前方4m
最後は、サイドラインから0.5m内側/ベースライン前方4mでドロップショットを打つケースを見てみます。
shot widthごとに最短ショット到達時間を見ると、以下のようになります。
shot width=0.2:48km/hで1.027秒
shot width=3.0:49km/hで1.043秒
shot width=5.0:50km/hで1.059秒
shot width=8.0:54km/hで1.122秒
これらのショット到達時間で移動できる距離は、次のようになります。
shot width=0.2:5.089m
shot width=3.0:5.201m
shot width=5.0:5.313m
shot width=8.0:5.754m
サービスラインとベースラインの間が5.485mほどであることから、shot width=8.0以外はサービスライン内に入る前に2バウンドすることになります。
このことから、ベースライン前方4mからドロップショットを打つのであれば、ストレート方向へ打つのが効果的だと考えられます。
まとめ
今回は、ドロップショットの使い方を、物理学から考察しました。
今回の結果から、ベースライン上や2m前方からでは、相手にボールまで走る時間が十分あると考えられます。
相手がベースラインよりも後方に下がっている場合や、相手を対角線に走らせる位置に打てるときのように、使うタイミング次第で相手にチャンスを与える可能性があります。
また、ベースライン前方4mから打てば、相手がサービスラインを越える前に2バウンドするドロップショットを打てる可能性があります。
相手を対角線に走らせることでより成功率が高くなります。
ドロップショットは質だけでなく、打つポジション、コースの判断が重要になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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