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3球目攻撃を物理的に考察する②
こんにちは、トモヒトです。
今回は、具体的なプレーヤー像を設定して、3球目攻撃を成立させる方法について考察してみます。
全体の流れとしては、
プレーヤーの能力(ショットスピード、フットワークスピードなど)を設定する
3球目のショットが決まる状況を、自分のストロークスピードとヒッティングポジション、相手のフットワークスピードから計算する
2. の状況を生み出すために、サーブでどうすればいいのかを考察する
と、話を進めていきます
プレーヤーの想定能力
まずは、自分と相手のプレーヤー像を設定しておきます。
自分
フットワークスピードは8m/s
サーブスピードは170km/h
ストロークスピードは130km/h
相手
フットワークスピードは10m/s
リーチの長さは1m
リターン返球とリカバリーの間に0.1秒、合理的待機位置からのスタートには0.2秒かかる(オープンコートができている場合は、ヒッティングと同時にスタートする)
合理的待機位置はベースライン後方1mに取る
リターンのスピードは110km/h
3球目で決まる状況
まずは、いくつかのヒッティングポジションでのショット到達時間を算出し、3球目で決まる条件を探します。
ベースラインより3m前方/センターから1mサイド寄り(サーブと逆サイド)
ベースラインより3m前方/センターから1mサイド寄り(サーブと逆サイド)のポジションで、打点の高さ1.2mのパターンを考えてみます。
相手の合理的待機位置は、ベースライン後方1mセンターマークから約0.8mクロス寄りの位置です。
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ショートクロス
ベースラインより3m前方/センターから1mサイド寄りの位置から、ショートクロスに打った場合、ショット到達時間は0.526秒となります。
合理的待機位置からでは、ボールに追いつくには約0.81秒かかり、0.526秒で到達するショートクロスには触ることができません。
ミドルクロス
ベースライン後方1mラインを通過するのに、サイドラインぎりぎりにバウンドするミドルクロスだと0.622秒かかります。
対して、合理的待機位置から約0.64秒かかるため、エースになります。
サイドラインから0.5m内側にバウンドするミドルクロスだと、0.619秒です。
合理的待機位置からボールに追いつくには約0.58秒かかるため、3球目を返すことができます。
サイドラインから0.5m内側にバウンドするミドルクロスがエースになる境界線は、センターマークから2.41mクロス寄りのポジションです。
ベースライン上/センター付近
ベースライン上/センター付近のポジションで、打点の高さ0.6mのパターンを考えてみます。
相手の合理的待機位置は、ベースライン後方1mセンターマークから約0.645mクロス寄りの位置です。
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ショートクロス
ベースライン上/センター付近からショートクロスへ打った場合、ショット到達時間は0.654秒となります。
合理的待機位置からでは、ボールに追いつくには約0.778秒かかり、0.654秒で到達するショートクロスには触ることができません。
ミドルクロス
ベースライン後方1mラインを通過するのに、サイドラインぎりぎりにバウンドするミドルクロスだと0.739秒かかります。
対して、合理的待機位置から約0.607秒でボールへ追いつくことができます。
サイドラインぎりぎりにバウンドするミドルクロスがエースになる境界線は、センターマークから約2.52mストレート寄りのポジションです。
サイドラインから0.5m内側にバウンドするミドルクロスだと、0.739秒です。
合理的待機位置からボールに追いつくには約0.548秒かかるため、3球目を返すことができます。
サイドラインから0.5m内側にバウンドするミドルクロスがエースになる境界線は、センターマークから約3.11mストレート寄りのポジションです。
3球目攻撃へつなげるサーブ
合理的待機位置に構えている相手でもエースを取れるショットに関しては、3球目をある程度の高さで打てるように、リターンを浮かせる必要があります。
上のケースで、合理的待機位置にいる相手が追いつくことのできるショットは、サーブでオープンコートを作る必要があります。
ベースライン上/センター付近から、サイドライン0.5m内側へのミドルクロスでエースを狙う場合で考えてみます。
ここでは、単純にするために、
レシーバーのリターンが水平速度110km/hで返ってくると仮定する。
レシーバーが、センターマークから約3.11mストレート寄り/ベースライン後方1mのポジションに移動する時間と、リターンがサーバーへ返ってくる時間が一緒だとすると、サーブはシングルスサイドラインから何m外側でリターンされたか
という問いを考えてみます。
リターンが、ベースラインと同じ高さで返されたとすると、サーブはシングルスサイドラインから約7.59m外側で返されたことになります。
リターン位置がベースライン前方2mの高さとすると、シングルスサイドラインから6.28m、ベースライン前方3mの高さとすると、5.27m外側で返されたことになります。
まとめ
今回は、3球目攻撃が成立する条件を、実際の数値を設定して算出してみました。
今回の結果としては、3球目攻撃が成立するパターンは以下となります。
サーブで浅いリターン(ベースラインより3m前方/センターから1mサイド寄りで3球目を打てるボール)を引き出す
=>クロス方向のシングルスサイドラインぎりぎりに、ショートクロスorミドルクロスを打つセンター深くに返ってきたリターンを、ベースライン上からショートクロスへ返す
スライスサーブでレシーバーを6m程度サイド/ベースライン前方2mの位置へ動かす
=>オープンコートを作って、シングルスサイドから0.5mの範囲内にミドルクロス
ただし、自分のストロークスピードや相手のリターンスピード、フットワークスピードの数値が変わってくれば、結果も変わってきます。
特に、相手のフットワークスピード10m/s(=36km/h)は比較的速い想定になるため、実際はもっと楽な成立条件が出てくると考えられます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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