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ふみサロ1月課題≪嫌われる勇気≫を読んで
エッセイ塾、ふみサロに参加して3年目になりました。
毎月課題本から得たインスピレーションをもとに800字程度のエッセイを書き、参加者同士で講評する。SNSで発信するまでが課題。
以下がエッセイ
褒め方もいろいろ
ピアノ教室を始めたとき、優しい先生になろうと決めたものの、優しく、楽しく教えるのが案外難しくて、たくさん本を読んだ。
すると、どの本にも、どんな小さな事でも褒めましょうとある。レッスンに来ただけでも褒めようというのだ。
レッスンに来ただけで?
そうか、酷暑の中、学校が終わってからレッスンに来るのはぐったりだろうなと思う日もたしかにあった。褒めるポイントはたくさんあるんだな。
練習の努力のあとがみえて、前回注意したところがよくなっているとき、積極的に表現したいという姿勢が感じられる演奏の時は、褒めようと思わなくても、自然と褒めることが出来る。
困るのは、何週間も同じところを注意されても全く変化がない時だ。
何度も弾いているうちに曲を覚えて、楽譜を見なくても弾けるようになってしまうので、どんなに楽譜に書き込みをしても、家では楽譜を見ないで練習してしまうのだ。
すると、レッスンの内容が同じことの繰り返しになり、お互いに、ちょっとうんざりした雰囲気になる。
そこで、12色の最新のペンを用意した。週ごとに色を変えて楽譜に書き込む。文房具に興味ある子は多い。
「先生は、きれいな色のペンを使えるのが嬉しい!何度も同じところを注意されると、きれいな虹になっちゃうよー」
一瞬、きれいな色に目をキラキラさせるのだが、楽譜に虹が書かれるのは、不名誉なことだ、とハッと気がつけば、しめたもの。
次のレッスンで
「今日は何色にしようかなー、どの色を使ったらきれいな組み合わせになるかなー」
と、ペンを選び、虹を書く意欲を見せる。
子供は、必死にそれはイヤ!と抵抗しようとする。
演奏が終わり、
「今日は、ここに新しい色を書きたかったのに、直ってて書けない、虹にならなかった!」
と、大袈裟に悔しがってみせ、大きなハナマルを書く。
子供はどうだ!と言わんばかりのどや顔だ。
いやいや、うんざりした雰囲気の中で、
「何回も同じこと言わせないで!」
と、言わずに済んだのだから、私の方こそどや顔だ。
おわり
今回の課題本は≪嫌われる勇気≫
とても話題になった本だったので、数年前に読んでいました。音楽療法に携わっていたときには、フロイトの精神分析をもとにして精神療法や心理療法を勉強していたので、こんな考え方もあるのかと驚いたのを覚えています。
改めて読んでみて、その後経験したことなどと照らし合わせて考えてみると、なるほどと思うことも多く、エッセイにするにはどうしたらいいだろうか、悩みました。
"叱ってはいけない、ほめてもいけない"という項目に目が留まり、日頃ピアノ教室で、子供たちと楽しくレッスンするための試行錯誤のひとつを書くことにしました。
やたらに褒めることはしませんが、やはりここぞというタイミングの時に、子供が欲しい言葉をかけてあげることが大事だと思います。
実際のレッスンの様子が伝わっているでしょうか?