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ふみサロ3月課題《猫鳴り》を読んで
2022年6月からエッセイ塾、ふみサロに参加しています。
毎月課題本から得たインスピレーションをもとに800字程度のエッセイを書き、参加者同士で講評する。SNSで発信するまでが課題。
以下がエッセイ
手強い相手
我が家は、車が一台やっと通れるぐらいの市道沿いにある。
県道へ出るための裏道となっていて、よく車が通る。近くに保育園、子育て支援センター、そして小学生たちが放課後を過ごすための放課後児童クラブがあるので、人の往来も多い。そして、朝と夕方の犬の散歩のコースにもなっている。
ある日、かわいい犬を連れた女性に声をかけられた。
「この子たち、ピアノの音が好きみたいで、音が聞こえてくると、ここ(家の前)に座り込んでしばらく動かないんですよ」
えー!そんなことってある?
今までで一番手強い観客は、猫だった。
学生時代の師匠は猫が大好き。毛が長くて、ゆったりと優雅な動きをする猫が2匹、いつも先生の近くにいた。たいてい、レッスンが始まる頃には、ピアノの部屋から出て行くのだが、たまにじっとしたまま眠たそうにしているときもあった。そうしてレッスンが始まり、私が課題の曲を弾き終わると、先生が猫の様子を見て、真っ先に猫に聞くのだ。
「今のどうだった?」
気持ち良さそうにその場にいると、
「猫が部屋から出たがっていないから、良かったね」
心底ホッとする。もちろん、途中で部屋から出たがって、演奏が終わったら、いないときもあった。普段から師匠の音色や、お弟子さんの演奏を聴きながら生活して、耳も肥えているだろう。人間はいまいちだと思っても、我慢して聞いてくれるが、猫はそういうわけにはいかない。先生の様子も気になるし、猫がじっとしているかどうかも気になった。
だから、散歩中の犬が、音だけを聴いて、しばらく聞いていたいと座り込んでくれるのは、これ以上の褒め言葉はないくらい、嬉しいことだ。
それから、ちょくちょく見かけるようになり、すっかり挨拶友達になった。
しかし待てよ、よく考えてみると、犬の散歩は夕方のことも多い。
夕方は生徒さんのレッスンの時間だ。
ということは、私の音色というより、子供たちの音色を気に入っているのかな?
おわり
今回も何を書いたら良いのか、悩みました。
エッセイとは、日常のささいな出来事を書く、とエッセイ塾で教えてもらったので、日常の一場面をエピソードとして書いてみました。
課題本
猫鳴り (双葉文庫) https://amzn.asia/d/1ZjnOu5