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迷うなら行こう、行って後悔することなんてほとんどないから。家族海外旅行インタビュー#1:Hami家族

Wamily代表のサワディーです!
子連れでの海外旅行に興味があるものの、「大変そうだ」というイメージから躊躇している家族も多いのではないでしょうか。お金や時間が問題ではなく、不安が実際の体験価値を上回ってしまう…そんな悩みを抱える方々に向けて、子連れ海外旅行を経験した家族のリアルな声をお届けしていきます。

それぞれの家族がどのように海外旅行を楽しみ、時に訪れる困難を乗り越えたのか。そのエピソードが、これから旅行を考えている家族の皆様にとって、ポジティブな未来への一歩になると信じています。

今回登場いただくのは、Hami家族です。ママのHamiさんは某デザイナーズブランドに勤務し、パパはフリーランスデザイナーとしてウェブやパッケージ、空間など多岐に渡ってデザインやディレクションをされています。5歳の娘さんを含めた3人家族。その家族を代表して、Hamiさんにお話を聞きました。

冒険から安心へ。子どもと共に変わる旅の基準

学生時代にバックパッカーとして旅をしていたHamiさん。一方、アメリカに恋して留学経験を持つパパ。夫婦の新婚旅行はアメリカ横断だったそうです。そんな海外好きの二人に、子どもを授かったことで考え方に変化はあったのでしょうか。

「子どもがいると、やっぱり治安とか、遊べる場所とか、病院とか、そういった点がすごく大事になってきました。だから、ちょっと冒険してみようとか、少し危ない場所でも楽しそうじゃん、みたいな選択はやっぱり厳しいかなと感じます。特に、治安はかなり重視して考えるようになりました。」

夫婦2人だけのときとは、明らかに基準が異なる自分たちがいたようです。少しの冒険なら、夫婦だけなら楽しめるけれど、子どもがいると安心・安全が何より大切になります。しかし、Hami夫婦の考え方には興味深い違いがありました。

「私は、当初子どもがいてもどこでも行けるかなという感覚だったんです。特に子どもが2歳までは飛行機代もそんなにかからないし、行けるなら行きたいなという気持ちはすごくありました。でも、夫は『気持ちはわかるけど、色々大変だよね』と少し慎重な姿勢でした。」

ご夫婦で考え方に違いがある中、家族全員が楽しめるような環境をどう作るか。夫婦でバランスを取り合いながら築いているパートナーシップが、そこにはありました。
そして今年の夏、Hami家族はヨーロッパ旅行を決行しました。なぜ、このタイミングで決断したのでしょうか。

二度とないオファーが舞い込む

ある日、特別な招待状が届きました。それは、ドイツに住む友人からの結婚式の招待状でした。

「もともと友達の結婚式がドイツであるという話があって、『もし来れたら来てね!』くらいの軽い感じで誘ってもらってたんです。本当に『来れそうなら』という感じで。私としては、海外の結婚式に参加する機会なんてもうないかもと思い、行きたい気持ちはあったんです。けど、円安の問題もあり、家族3人で行くのはちょっとどうかなぁと迷ってたんです。でもやっぱり結婚式というのが心に引っかかっていて『これは一生に一度の経験かも』そう思い始めて、最悪一人で行ってもいいかな、なんて考えるようになり…。」

この招待を逃すと、今世ではもう経験できないかもしれないと悩んだ末、Hamiさんは夫に相談しました。すると、「俺も行きたいよ!こういうキッカケがなければ、ヨーロッパには行かないかもしれないし」と、前向きな返事が。こうして、家族でヨーロッパに行くことが決定しました。そこから家族会議が開かれ、一人一カ国ずつ行きたい国を挙げるスタイルに。結果、アイスランド、ロンドン、パリ、そしてドイツという家族ヨーロッパ旅行のアウトラインが決まったのです。

夫婦には共通する価値観のシンパシーを感じました。「やらなかったら数年後に後悔するかもしれない、行っておかないと!やっておかないと!」と、その時の感情に正直になる。大事にしている根本的な考え方や価値観が、夫婦ですごく似ている。それって、とても素敵なことかもしれません。

多忙な夫婦の旅行計画、繋がりも最大限活用

海外旅行の計画には当然時間がかかります。でも、とにかく多忙なHami夫婦。なかなか準備に手を付けられず、その進まない状態に夫婦でストレスが溜まっていたようです。

「いや、もう本当にタイミングが色々重なって、予定を立てようとしてたんですけど、お互いの仕事が過去一番くらい忙しくて、全然話ができなかったんです。早く決めたいのに決められなくて、フラストレーションが溜まりすぎてました。行きたい場所によってホテルの場所も全然変わるから、すり合わせが必要だったんです。だからもう、とにかく1日でホテルを全部決めようとなり、2人で話して、ホテルの予約は私、リサーチは夫と分担して、4カ国12泊分最後はヘトヘトになりながら計画を詰めました。」

さらに、ネット上のリサーチだけでは得られない情報に直面することに。

「特に現地での計画はアイスランドが一番大変でした。キャンピングカーを借りて移動するのをやりたかったんですが、車の確保や、現地の情報がパリやロンドンに比べると少なくて、どうすればいいのか迷うことが結構多かったんです。でも偶然にも、夫の知り合いでちょうど2週間程前にアイスランドに行った人がいて、色々聞いてもらいました。あと現地在住の人に質問してリストアップしてくれるサービスがあったんです。たとえば、『スーパーはどこに行けばいいか』とか、『レンタカーはどこで借りるべきか』など教えてもらいました。」

人との繋がりも含めて、そうした情報は非常に貴重です。SNSを活用して、関係の近い人たちにもヒアリングを行う。持つべきものは友ですね。どんどん頼った方がいいかもしれません。

全てのトラブルが、人生のネタになる

家族での海外旅行において、トラブルが起きないことはあり得ない。そして、そのトラブルへの対処が、旅行全体の評価を左右する大きな要因にもなりかねません。

「旅に何度か行っていると、『これくらいのトラブルは起きるよね』と慣れてくるんです。むしろ、トラブルがあった方が後でネタになるし、『絶対忘れない!』と思うようにしています(笑)。本当に危険なことは慎重に考えますが、大抵のことはお金か時間をかければ解決できると感じています。やっぱり、楽しめなかったら時間がもったいないですよね。」

ネガティブな状況に直面したとき、突発的な態度や行動をしてしまうのは仕方がありません。しかし、大切なのは、一段落した後のケアであり、そこにパートナーシップの真髄が隠されているはずです。大前提として「トラブルはネタである」という考え方を持っているだけで、救われることもあるでしょう。

Hamiさんに滞在中のトラブルを振り返っていただきました。電車が予定通りに来なかったり、違うルートに変更した結果迷ってしまったことも。また、時差ボケで子どもが夕方6時には力尽きてしまうこともあったそうです。こうした小さなトラブルを含めれば、旅先での出来事は本当に様々だったと言います。では、最も困ったトラブルは何だったのでしょうか?

「パリで困ったのは、ブッキングドットコムでエアビーのようなフラットを借りたときのことです。外に出るとオートロックになる仕様で、鍵係はいつも夫だったので、私は鍵を持たずに出ました。一瞬、荷物を置きに戻ろうとして『鍵貸して』と言ったら、夫に『鍵は鍵置き場に置いておいたけど、Hamiが持っていると思ってた』と。『いや、私は鍵係じゃなかったよね?』というやり取りになりました。

その時、そういえば娘が『朝、鍵で遊んでたな』と思い出して、娘に鍵をどこかに置かなかったか聞いてみたんです。すると案の定、鍵をどこかに移動させていたんです。しかも、パリはバケーション期間中で、宿主にもすぐに連絡がつかず、鍵屋も探し回ったもののどこも定休日でした。

翌日にはドイツに移動する予定だったのですが、幸いにもパスポートは持っていました。最悪の場合、荷物は後で送ってもらうことも考えていましたが、本当に途方に暮れました。数時間後に宿主と連絡がついて、無事に解決しました。」

考えるだけでも胃が痛くなりそうです。そして私は率直に気になりました。その時、家族の空気はどんな感じだったのでしょうか?

「もちろん、私はすっごくイライラしてました!でもそんな私を見て、娘がちょっと責任感じたのか、突然『心配なこといっぱいあるけど、せっかくだから楽しもう!』と言ったんです(笑)。いや、あんたのせいやけどな、と思いつつも、考えても仕方ないし、私も気持ちを切り替えようと思いましたね。」

終始笑いながら話していたのが印象的でした。まさに「トラブルはネタになる」を体現している姿に、言葉以上の美しさを感じました。

家族の心を動かしたバンライフと大自然

では、今回の旅で圧倒的だった家族の体験とは何だったのでしょうか。迷うことなく、アイスランドでのバンライフとドイツでの結婚式、この2つがハイライトだったと話してくれました。話は計画当初に遡りますが、家族それぞれが行きたい国を1つずつ挙げる中で、Hamiさんが選んだのはアイスランド。その理由を聞いてみました。

「今までで一番感動したのは、新婚旅行で行ったゴールデンサークルなんです。大人になると、感動することが少なくなる印象があって、『似たような所に行ったことあるな』とか『写真で見た感じだなー!(良くも悪くもイメージ通り)』といったように。けれど、ゴールデンサークルに行った時は、想像してた以上の自然の壮大さに『あ、まだ私もこんなに心が動かされるものに出会えるんだ!』と感激しました。もしかしたら、次はアイスランドがそんな場所になるんじゃないかなぁと。すこし期待していました。」

歳を重ねるにつれて、感動する頻度や深度が薄れていく感覚。わかる気がします。では、期待していたアイスランドでの実際の体験はどうだったのでしょうか?

「結論、一番良かったのはアイスランドでした。キャンピングカーで3人ひたすら景色を眺める感じで。アイスランドには名所がたくさんあるんですが、名所に行くまでの道のりがまるで映画の世界みたいに感じました。ここ良さそう!フラッと停めた場所が、実際すごく良かったりして。自炊しながらご飯を作って、大自然を楽しむ感じでした。普段、娘は歩くのを嫌がるんですけど、今回は『降りたい!』『あっちまで行ってみたい』と自分から言ってきて、すごく心動かされてるんだなって嬉しくなりました。」

プライスレスな特別な異文化体験

続いて、ドイツでの結婚式についても聞いてみました。

「すっごく長くて、3時半から夜中の2時まで、式というかダンスする時間がめちゃくちゃ長かったんです。子どもたちも普通にベビーカーで寝かせたり、その辺で遊ばせたりしていました。日本だったら、遅くても9時ぐらいには『ごめん、子どももいるし、そろそろ帰るわ』という感じになるじゃないですか。でも全然違うんですよね。みんな近くに宿をとってるから、夜遅くまでパーティーを楽しんでたんです。」

日本ではなかなか経験できない、その国の人々の日常的な価値観に直接触れることができたHami家族。異文化交流の中で、子どもはどんな体験をしたのでしょうか。

「いや、それが子どもってすごくて。はじめ娘は、他の子たちが鬼ごっこしているのを見てたんです。娘は好奇心旺盛だから仲間に入りたがってたんですけど、言葉が通じないから入れなくて。そのもどかしさがあって、相手の子たちも「何がしたいの?何が言いたいの?」という感じで、入れてもらえないことに拗ね(すね)て戻ってきたんです。でも、少し大きい子がいて、その子が英語を話せたんです。「この子も一緒に遊びたいんだよ」と、花嫁の親戚の子が間に入ってドイツ語で伝えてくれました。それでやっとオッケー!となり、「英語わかる?」と聞かれて、娘はわからないのに、うんと頷いて入っていきました(笑)。それからはもう親の私には全然戻って来なくて、ずっと子どもたちと一緒に遊んでました。なんなら様子を見に行くと「ママあっち行ってて」と言われました。(笑)最後はドイツの子達も日本語を話してたりして、子どもって本当にすごいなぁと感心しましたね。」

大人になると、人と繋がることに難しさを感じがちですが、子どもが一瞬で世界と繋がるあの感覚には、いつも驚かされます。その一方で、パパはどうしていたのでしょうか?

「夫は普段、人見知りするタイプではないけど、かといってガツガツ行くわけでもないんです。英語もドイツ語も話せないのに、現地の人たちとめちゃくちゃ馴染んで、一緒に踊ってたんですよ!挙げ句の果てには、参列者のドイツの人たちから『旦那さん最高だね!』と言われてるし(笑)。『せっかく来たからコミュニケーションをとって楽しまなきゃもったいない!後悔する!』と思ってたんでしょうね。」

観光ではなかなか触れることのできない貴重な経験に、「ドイツが一番楽しかった!」と娘さん。あの時の思い出を噛み締めながら話す姿がとても印象的でした。遠慮や気恥ずかしさをどこかへ蹴飛ばし、自分の気持ちに正直に、その場を最大限に楽しむ。それこそが、家族で海外旅行を楽しむ秘訣なのかもしれません。

行って後悔することは少ない、行かなかった後悔は一生のこる

そんなHamiさんから、メッセージをいただきました。これは、家族で海外に行けるし行きたいと思っているものの、何かしら躊躇している家族へのメッセージです。

「少しでも行きたいかも、行けるかも、と思ったら思い切って行ってみた方がいいと思います。お金や時間だけでなく、病気や子どもの生活、コロナのような予期せぬ変化が起きて行きたくても行けない状況になるかもしれませんよね。行って後悔することは少ないけれど、行かなくて『あの時行っておけばよかった…』と後悔する方が多い気がします。もちろん、子どもやお金の問題はありますが、意外となんとかなるものです。助けてくれる人を確保したり、頼れる人がいれば安心だし、ネットで調べることもできます。私たちも現地で調べながら進めました。子どもがいると大変ですが、それ以上の価値があると思います。子どもにとっても素晴らしい経験になると思うので、ぜひ皆さんも挑戦してみてほしいです!」

自分たちの感覚に正直で、その価値観が夫婦ともに一致しているんだなと思いました。「行かなくちゃ絶対に後悔する!」と思っていても、遠慮して諦めてしまうことはよくあります。そんな中で挑戦するのは確かに大変ですが、結果的に「最高だったじゃん」と言い合える家族の経験は、何にも代えがたい、その家族だけのかけがえのない価値だと感じました。

取材協力

・取材協力:Hamiさん
hami0401(Instagram)
・取材、編集:サワディー
sawayakasawa_d(Instagram)
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Wamilyについて

Wamilyは、家族に特化した海外旅行プラットフォームです。現在は、海外に渡航する日本人家族と現地在住の日本人家族をつなぐマッチングサービスを提供中。今後、コミュニティやメディアの運営も実施し、家族での海外渡航がより自由にできる環境を目指します。
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