【Designship2018】フルスタックより強い、オールラウンドデザイナーのつくりかた
12/1、2の二日間、日比谷ミッドタウンで開催されたデザインカンファレンス「Designship」に登壇しました。当日のスライドとスクリプトを、事後になりますが公開します。いろんなデザイナーの方に役立てれば幸いです。
こんばんは、佐々木です。
自分はPARKという会社で代表/アートディレクターをしています。
今日はデザイナーのキャリアについて話します。
今日持ち帰ってほしいこと。
今日は、天才デザイナーの方にはつまらない話かもしれません。
まずはじめに、なぜオールラウンドか???私自身の体験を交えながらお話しします。
意外と歳いってます。若作りのために金髪にしています。いわばビジネス金髪です。広告に始まり計4社渡り歩きました。今はパークという会社立ち上げ、主にベンチャー・スタートアップのブランディングをしています。
マス広告のクリエイティブからキャリアを始め、今はざっとこんな感じです。幸運なことにいろんな領域をやらせていただきました。
いきなり自惚れ的な話をしますが、言いたいのは、各領域の腕前が仮に1000位くらいだったとしても、総合力で100位くらいになることは可能であるということです。
ただ、決して最初から計画してた訳ではなかったです。
僕はやっぱりデザインが好きだし、もっともっと良い仕事をしたい。
その気持ちを持ち続けた結果、このようになりました。これから、その歴史を辿りたいと思います。
当時は広告もイケイケだった時代。意気揚々と入った広告業界に飛び込んだ。スタークリエイターの層の厚さを目の当たりにし、ただひたすら劣等感に打ちひしがれる毎日。やっぱ大手の広告代理店のクリエイターってすごい人うじゃうじゃいるんです。この時点でこれを知ったことはラッキーでした。
広告のデザイナー、アートディレクターは2タイプに分かれます。
ひとつはデザインで勝負するタイプ、もうひとつは企画、アイデアで勝負するタイプ。僕は後者に活路を見出す決断をしました。
カンヌで受賞するを合言葉に、アイデアを死ぬほどひねり出してはなかなか通らず、苦悶する日々。毎晩ファミレス行ってた。この頃からデジタルが台頭し、マス広告が減退期に。上司はみんなCMとかポスターの時は本気だすけど、デジタルになると「佐々木よろしく」となる、これもラッキーでした。
自分の未来を考え、おっさんになっても華やかなマスの仕事を待ち続けることから決別することにしました。
時間をかけずに瞬発力でバス(話題化)をおこせる若くてキャラ立ちしたクリエイターに囲まれ、自分の持ち味に悩みました。一方で会社には自分しか担当できない仕事がたくさん来ていました。なんで仕事も選び放題!
そこ中の仕事から、デジタル起点からのブランディングという道を見出しました。またもたラッキーですね。
という答えにいきついて、起業しました。
そうなんです。一つの武器だけで考えると、世の中すごい人いっぱいいるんです。ただし!みなさん、ここは悲観する必要はないです。だとしたら...
武器をたくさん持つことで、戦えるんです!!つまり、それの行き着く先がオールラウンドです。
タイトルの話に戻りますが、ここ近年、こんな肩書きをよく聞くようになりました。
フルスタックデザイナー。デザインから公開まで1→10で完結できるスキルを持つデザイナー。確かにたくさんの武器を持っていますよね。僕も会社やっているので正直言うと、そりゃ雇いたいです。ただ、デザイナーのキャリアを考えると決してオススメはできないです。それはなぜか?
1つ目の真実。スタートアップ経営者の視点で見た一般的な優先順位のイメージです。もちろん、そうじゃない人もいます。求められるスキルとして、デザインができるというより、デザインもできるといったほうが、適切かもしれません。
これから成長が見込める事業ドメインの必要スキル。
やることが多すぎる!!!!!
まず、フルスタックの場合。仮にWEBデザイン山とします。山を埋めるためにデザインに費やせる時間が減ってしまい、成長が鈍くなります。
一方オールラウンドの場合。ジャンルは違えどゼロスタートではなく、
共通言語も多いので、取り組みやすい。自分もこれまで色々な山を登ってきましたが、基本ルールが違うだけです。例えば、サッカーとフットサルの違いのように...。
続いて、じゃあどうやってなるの???という話です。
自分のこれまでの経験も踏前て、必要なのはこの3つです。
ベーシックな話ですが、忘れがちなこと。オールラウンドの入り口はここからといっても過言ではないです。
グローバルの広告クリエイティブではスタンダードです。自分はこれを叩き込まれました。
アイデア〜課題や問題に対してのクリエイティブの解。
エグゼキューション〜アイデアを実現する具体的な手段・デザイン
クラフト〜デザインの仕上げ、クオリティ。
課題の本質を依頼者が気づいてなかったり、実は打ち手を変えたほう解決する場合があるということを常に疑うことが大切です。その視点も持つためにこの3ステップは重要です。
どのジャンルにも使えるデザインの基礎体力があります。それを鍛えましょう。
どの山もこの3つに紐づています。
(レイアウトは文字詰めやタイポグラフィも含めですね。)
3つ卓越してれば申し分ないですが、、、どれか1つでもいいんです。
1つでいいので、これは武器だって言えるまで磨きましょう。
じゃあどうやって磨くかという話なんですが、一番効果的な手段。
世の中のデザインのほとんどは〇〇っぽいでできています。
未来っぽい、アメリカっぽい、ガーリーっぽいなど。っぽさを様々な解像度で再現する訓練をする。
ライバルづくりは、スキルアップの最速かつ一番お金がかからない手段
もし学生の方がいらっしゃれば是非同期のいる会社にしてください。
転職もその辺気にするといいと思います。
例えば僕が勝手に佐藤可士和さんをライバルにしたとします。色々仕事っぷりみれるけど、経緯とかまでは追えないんです。そして、日によって忘れるんです。人間やっぱりいいがげんなので、、、だから毎日顔を合わせることで、強制的にその人の働きやマインドが入ってくるんです。
最後はこんなことができるよ!という話です。
昨今ビジネスのデザインの距離がどんどん縮まってきている。ビジネスにデザインを活かす上で、オールラウンドな手札を持っていることは非常に武器になります。具体的に実現できる仕事を挙げていきます。
経営者がデザインを企業価値として考えるケースが増え、ブランディングの需要はますます高まっている。
そのなかで、セプテーニさんは、未来の事業ドメインのあり方や、従業員のキャラクターや姿勢を見つめ直し、会社の顔貌をデザインで再提示した例です。ロゴに始まり、社内ツールから、フォントまで。様々なデザイン展開していますが、オールラウンドであることで様々な打ち手を実現できます。
ベンチャー・スタートアップはフェーズごとに様々なデザインが発生します。初期フェーズは、サービスのUIデザインだったのが、成長していくと、広告を打ったりするのでCMを作ったり、ビジネスカンファレスを開催したり、企業ブースを出したり...。CDO又はCCO的なオールラウンドな視点で見れる人が必要になってきます。
寺田倉庫さんのクラウドサービス事業。社外CDO的に関わらせていただいてるクライアントのひとつです。新規サービスの設計・デザインから始まり、時はプロモーション、時にはブランドムービー、という風に携わっています。オールラウンドであることで、切れ目ないパートナーシップを持てると思います。
個人的にデザイナーと一番親和性が高い事業ドメインだと思ってます。どんどんデザイナーが起業していいんじゃないでしょうか。
実は僕たちの会社も動き出しています。全貌は話せませんが、デイリーユースの消費財のブランドを立ち上げることを見据えて、世界最大級のトレードショーが開催されている香港に行ってきました。
もう〇〇デザイナーという呼び方、無くしませんか。大事なのは課題に対して最適な領域やソリューションを提示することです。
最後にもう一回いいます。
オールラウンドになると仕事がもっともっとたのしくなります!
そして、ビジネスにも貢献できてるって実感も持てるようになります!
武器をたくさん持つことで、
デザイナーとしての可能性を広げてききましょう!
以上になります。
もし感想などあればTwitterやnoteでコメントもらえると幸いです。最後まで読んでくれてありがとうございました。また、Designshipの運営の皆さま、このような機会を頂き、誠にありがとうございました。
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