鍵をかけた感情を施錠してみた
目を背けたい現状を何食わぬ顔で過ごしたり、深層心理に気づかれないよう感情に蓋をしたり、人って大変だなぁとつくづく思う。その中で私は、”後悔”という感情によって、様々な行動抑制をしてしまっているのではないかと思った。
”後悔”というと、自分の取った選択肢を誤り、それを認めたような気がして好きではない。けれど、その瞬間と向き合うことができなければ次に進めないと感じたので、あえて吐き出そうと思う。
そして、見ることはないだろうけれど、彼女たちに向けたラブレターにもなりうると思う。
違和感を覚えた分岐点
社会人として順風満帆だった日々に違和感を感じたのは、社会人5年目、退職をする2年前だった。
結婚を機に、希望を出して営業店を変えてもらった時だ。本来であれば、あと数年は在籍するはずだった営業店。けれど、日々の頑張りが認められたことや権力のある上司の力によって、いとも簡単に希望が通った瞬間でもある。(会社としては随分イレギュラーな対応だった)
思えば、この選択をした瞬間から、私の仕事に対する違和感が出ていたと思う。
ごちゃ混ぜの感情と共存スタート
新しい営業店でも仕事は順風満帆。仲良しのお客様との商談が上手くいった帰路。休憩がてらコンビニで買ったコーヒーを飲み始めると、気づいたら目から大粒の涙が止まる気配がない勢いで頬を伝っていた。突然、営業車の中で涙が止まらなくなったのだ。商売道具のipadや携帯は濡れているし、化粧がヨレた顔がそこにはあった。そしてその日を境に、営業中、涙が溢れる日々が続くようになる。
帰店して、次のお客さまの資料を作ってすぐに行かなければいけない。相場が動いたから、〇〇さんに連絡をしなければいけない。本部に✕✕を依頼して、そして上司に▲▲を報告して・・・と、泣いている自分をどこか客観視しているように、冷静にすべきことが脳裏によぎる。自分がすべきことは分かっている。まずはタスクをこなそう。
あまり使うことはないが、特技として泣いても目が腫れにくいということがある。この時ばかりは役に立ったよ、ありがとう私よと、特技に感謝の意を述べたい。
よほど泣かない限り目は腫れないし、コロナ禍ということもありマスクをしていたから鼻が赤いこともわからないという考えもあり、泣きながら働くごちゃまぜの日々を、とにかく気合いで乗り切っていた。そしてそんな日々を私は半年間過ごすこととなる。
後に気づく仕事へのモチベーションの理由
張り詰めていた糸が切れたかのような自分に戸惑いを隠せなかったが、少しずつ何が原因か考えられるようになった。今思うと、私が仕事を難なくこなし、無理難題においても頑張れていたのは絶大な信頼を置いていた上司が前の営業店には二人いたこと。
「もうこれ以上アプローチできません」と言った日には「あんたやからできる。一緒に別のプラン考えよか」と力になってくれた。
「しんどいです。辞めたいです」と弱音を吐いた日には「あんたやったらどこでもやっていける。辞めたかったら辞めたらいい」と強制せず受け止めてくれた。
「営業、向いてないと思うんです」と自信喪失した時には「は?あんたが向いてないんやったら誰が適正なん?過小評価しすぎ。できてるから、自信持って」と、勇気づけてくれた人たち。
転勤させてほしいと依頼をした日「遠くなるけど通ってほしいな」と、どこか寂しそうに言ってくれた手を振り解いたのは私なのに、今でも鮮明に思い出せる記憶。最後には「まぁ、同じ会社やし、何かあったら内線で電話してきてさ」と、笑顔で見送ってくれた。
もしかしたら、異動希望を出さなければ今も前職で働いていたかもしれない。今も彼女たちと働いていたら、どんな影響を受けてどんな自分に出会えただろうかと、ワクワクする自分がいる。今ならわかる。すべての原動力は、彼女たちに尽力したいと思い続けたことなのかと。
解が出た中で今思うこと
とは言いつつ、過去には絶対に戻れないので、この気持ちはこのnoteにだけ記録しようと思う。
仕事は嫌いじゃない(むしろ好き)
人も悪くない
働き方だって何の不満もない
そんな中でも、見えない部分で少しずつ心が疲弊することはあるということ。大切なピースを知らない間に失っている可能性があるということ。そして、きっと私がした後悔は、当時の抱きしめたくなるような環境に気づくことなく、時を過ごしてしまったこと。
あれから2度目の春がきて
何でもない昼下がり。一通のLINEがきた。当時憧れていた18歳上の上司は出向解除、9歳上の上司は次のステップに進むため転職をしたと、報告を受けることとなる。
「先におらんくなった(退職した)私が良いのも変なんですが、お二人がおらんくなると思うと、何だか帰る場所がなくなったみたいで寂しいです」とLINEをすると「何言うてんの。いつまでも3姉妹みたいなもんやんか。何かあったらいつでも連絡してきな」とサラッと言ってくれた。嗚呼もう、敵わないなぁ。カッコよすぎるわ。
これから先、絶大な信頼をおける人と仕事ができるとは限らないし、タイミングや運でしかないことは百も承知である。だからこそ、ちょっと古臭いかもしれないけれど、一期一会を大切にして、選択をしたいと思った。
そして、この記事を書き終えたと同時にぶり返してきた感情を抑えることができたので、また、当時の思い出には蓋をして、少し歩んでみようと思う。
誰かのために頑張れることで承認欲求が満たされることに気づけた、この気持ちを知れただけで、扉を開けてよかったな。
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