【肩】肩関節周囲炎-夜間痛について-
こんにちわ!
今日は肩関節周囲炎の夜間痛に関して書いていきたいと思います!
私も新人の時には患者さんの夜間痛に悩まされましたし、夜間痛は肩の痛みだけでなく睡眠不足によって生活の質まで影響してしまうので出来る限り早く取り除きたいですね!
●夜間痛とは
寝ているときに生じる肩関節の疼痛により、目が覚める症状で、肩関節の三角筋周囲に疼痛が生じ、起床後もしばらく持続するのが特徴と言われています。
また、睡眠を妨げることによって生活の質を低下させることも特徴の一つです。
さらに、寝ている間は副交感神経が優位になって身体を回復させますが、睡眠が妨げられることによって自律神経の乱れが生じてしまいます。
そうなると疲労が取れにくくなったり筋緊張が亢進しやすくなるので、肩周囲だけでなく首周りの凝りが出たり、それが長く続くと精神面に影響を及ぼしてうつ症状が出たりと他にも症状が出てきてしまうこともあります。
そのため、肩関節周囲炎で夜間痛がある場合は優先的に夜間痛を除去することが大事になると考えられます。
●夜間痛の程度を基準とした分類
TYPE1 夜間痛が全くない
TYPE2 時々夜間痛があるが、目が覚めるほどではない
TYPE3 毎日持続する夜間痛があり、一晩に2-3回は目が覚める
TYPE4 毎日持続する夜間痛があり、明らかな睡眠障害を訴える
●夜間時痛のメカニズム
夜間痛の発生要因は肩峰下圧の上昇が引き金とされており、病態に応じて夜間痛の発症機序は異なると考えられています。
林によると
考察している。
また、
これらから肩関節の上方組織の炎症・癒着などが大きな問題として考えられ、それに合わせて肩関節動作の中で肩峰下圧上昇が生じてしまうと考えられます。
病期の話でいうと、炎症期・拘縮期どちらの病期でも炎症・上方支持組織の容積が増大するため、烏口肩峰アーチを表層へ押し上げる形となり、肩峰下圧が上昇すると予測されます。
●特徴的なアライメント・可動域制限
ここでは2つほど挙げさせていただきます。
・肩甲骨下方回旋位
夜間痛がある患者さんでは、
・肩甲骨を固定した状態で肩関節内転
・上腕骨を固定した状態で上方回旋
すると上方支持組織に伸張ストレスが生じてしまうので肩峰下圧が上昇してしまいます。
特に患側を下にした場合に肩関節のが内転が入りやすく肩峰下圧が症状して痛みが生じてしまい、夜間に起きてしまいます。
肩甲骨を下方回旋にすると肩甲上腕関節では相対的に外転位になるので、肩関節上方組織は弛緩する肢位になり、肩峰下圧は低下します。
そのため、上方組織の緊張を緩和させるために肩甲骨が下方回旋になっていることが多いです。
・下垂位外旋制限
夜間痛がある肩関節周囲炎の患者さんでは下垂位での外旋制限が強いとさまざまな論文で報告されています。
林らは
合わせて、【夜間痛を有する肩関節疾患保存治療例に対する理学療法効果と関節注射による影響】3) という論文における研究結果においても、夜間痛を有する症例は下垂位外旋可動域が優位に低下していたということを報告しております。
上記の論文らではどちらも下垂位外旋可動域と上方支持組織の伸張性が関与していると報告をしています。
●夜間痛を軽減させるためには
夜間痛を軽減させるためには
炎症を抑制するための薬物療法を行ったりしますが、
特に大切なことは就寝時のポジショニングの指導です。
寝るときに上腕の下に枕などを置いて肩関節軽度屈曲位とさせたり、仰臥位でクッションを使用して手を腹部の上において寝る(肩峰下圧を上昇させる肩関節外旋位にならないように)
などの肩峰下圧の上昇を抑えるポジショニングの指導が大切になってきます。
治療では拘縮期での夜間痛の患者さんに対しては
肩峰下圧の上昇の原因と考えられている上方組織組織である肩峰下滑液包と腱板・三角筋との滑走性を改善を目的としたストレッチが大事になってくると考えられます。
●まとめ
今回は夜間痛について参考文献を利用して説明させていただきました。
夜間時痛が長く続くと、なかなか痛みが軽減しにくくなったり、患者さんからも「治らなんじゃないの?」といった声も出てしまうこともあります。
ただ、夜間時痛のメカニズムを理学療法士がしっかりと理解してそれを患者さんが理解できるように説明して、患者さんがどういう動作・姿勢なら痛みがでやすいか、どういうポジショニングをすれば痛くないかを認識してもらう必要があると思います。
ぜひ、これを機会に夜間痛についてのメカニズムを覚える、または復習していただけたらと思います。
ではでは。