【股関節】臼蓋形成不全について
こんにちわ!
本日ですが、臼蓋形成不全について
書いていきたいと思います!
●臼蓋形成不全とは
臼蓋形成不全は骨盤の形態異常のことで、正常な股関節と比較して臼蓋側の被りが浅く、股関節が不安定な状態であることを指します。
二次的変形性股関節症の発症リスク因子とも考えられています。
臼蓋形成不全には先天性股関節脱臼に起因する先天的要素が強いものと、成長過程で正常な寛骨臼の形成が正しく進まない後天的要素が強いものとがあります。
●臼蓋形成不全と変形性股関節症のつながり
通常の股関節では、寛骨臼の内側・上方部分が荷重時に骨頭と接触する部分になります。そこで寛骨臼が骨頭を包み込むようにして体重を支持します。
しかし、臼蓋形成不全では受け皿である寛骨臼が浅い状態で大腿骨頭を被覆する部分が少ないため、骨頭と寛骨臼の適合性が低くなり、その結果として大腿骨頭の外上方偏位が生じてしまうことが多いです。
このように寛骨臼と大腿骨頭の間で関節の適合性が低下している状態続くと、適切な応力の分散ができず、寛骨臼の外上方に高い圧縮ストレスが集中してしまいます。
すなわち、少ない接触している部分で体重を支持することになり、荷重応力が増加し軟骨の摩耗や関節面の破壊が生じてしまいます。
それに対して身体は、骨頭と臼蓋の接触面積を増加させて圧縮応力を軽減しようと、骨硬化・骨棘形成や大腿骨頭の扁平化などが生じ、変形性股関節症へとつながってきます。
●臼蓋形成不全による機能障害
臼蓋形成不全があることよって他の関節への影響もあります。
特によく見られやすいのが
先ほど述べたように、臼蓋形成不全では大腿骨頭に対する寛骨臼の被覆率が低く、不安定な状態になっています。
その不安定な状態を解消しようと安定性を確保するために、代償として骨盤前傾が生じます。それによって、腸腰筋・大腿直筋などの短縮が生じ、股関節屈曲拘縮(股関節伸展制限)が生じることが多いです。
画像で示しているように、骨盤を前傾すると骨頭に対する寛骨臼の被覆率が高まり、股関節の安定性を獲得することができます。
これによって股関節の問題は解消できますが、骨盤前傾に伴って腰椎前弯が増強しやすくなります。
となると、腰部では伸展ストレスがかかりやすくなり、これが原因となって腰痛の出現につながったりするので、臼蓋形成不全や変形性股関節症の方は腰部の症状もある方が多いです。
そのため機能障害としてみられやすいのは
がみられやすいです。
●臼蓋形成不全の診断基準
臼蓋形成不全と判断するにあたってはレントゲンによる寛骨臼の被覆を表す評価によって判断されます。
・sharp角
涙痕下端と臼蓋角とを結ぶ線と両側涙痕下端を結ぶ線とのなす角度。
大腿骨頭が十分に被覆されているかどうかの指標となる。
・CE角(center-edgh angle)
大腿骨頭の中心を通る垂線と、大腿骨頭中心と臼蓋外側縁を結ぶ線とのなす角度。
・AHI(acetabular head index)
大腿骨頭内側端から臼蓋外側縁までの距離(A)を大腿骨頭横径(B)で割った百分率 ⇒ A/B×100%
大腿骨頭が臼蓋にどれだけ被覆されているかを示す。
●治療としては?
臼蓋形成不全は機能的な問題ではなく構造的な問題であるためリハビリによって治るものではありません。
私も色々調べましたが、「臼蓋形成不全にはこの治療だ!」というものは特にないようです。
あくまでも個人的な意見をここでは述べさせて頂きますが、正しいとも間違っているとも言えません…
私としては大事なことは変形性股関節症への進行しないようにすることが大事になると思います。
と考えるとやはり関節へ負担をかけないためにも、立位や歩行時などでの臼蓋外上方への圧縮応力をできる限り減少させることが大事だと思います。
特に歩行にて体幹・殿筋群が働きにくく、トレンデレンブルグ歩行で股関節内転での荷重が強くみられたり、普段の立位姿勢でも股関節内転位にして片側に体重をかけているような立位をとっていると、寛骨臼の外上方への負担が増加してしまいます。
そのため、股関節の安定性を保つために殿筋群・腹部の筋力強化を図ったり、立位でのADL指導などを行い、OAや痛みにつながらないようにやっていくべきかと思います。
●まとめ
今回は臼蓋形成不全について書かさせていただきました。
臼蓋形成不全は変形性股関節症に分類はされませんが、変形性股関節症につながるリスクとして考えられるので、初回で見る際には必ずレントゲン所見で上記した評価をみるべきです。
構造的な問題で臼蓋形成不全があるからと言って必ず痛みを伴うかと言われたらそうではありませんが、変形性股関節症へつながらないように必要な治療と指導をしていく必要があります。
今日の内容をまたこれからの臨床に少しでも役立てていただけたらと思います。
ではでは。