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I wish you happiness.① ~ROAD TO BE おひさま~
大学1年生の前期のころ、新しい環境、初めての一人暮らし、大学の勉強、コロナ、元カノへの未練、祖母の死など色々なことが重なり、心身ともに疲れていた。正確に言えば、今振り返るとそうであったのだろうと理解できる。元々自分のキャパが少ないのもあり、新たな交友関係を広げることもせず、バイトもせず、無気力に授業動画とレポートを消費し、大学用に親から買ってもらったパソコンでYouTubeを見あさる生活をしていた。
その中でも定期的に見ていたのが、オードリーの武道館の漫才とMC.wakaのラップだった。オードリーの魅力に気づいたのもこの時期だったが本筋とそれるので割愛する。それがあってか、おすすめにひなあいの切り抜きが流れてくるようになった。アイドルなんて1ミリも興味が無かったし、なんならアイドルなんて、、、と言うタイプの人間だったが、あまりにも流れてくるし、時間もあるので再生してみた。(違法アップロードなのは今では理解しています。)
めちゃくちゃ面白かった。
日向坂という存在と有名な曲は知っているが、誰が誰かも分からないくらいのレベルだったのにめちゃくちゃ面白かった。次の動画にいくのが止まらなくなり、検索して新しい動画を求めるようになった。つまらない日常に笑いをもたらしてくれた。だんだん名前も覚えていき、MVやライブの映像も見るようになった。
そして辿り着いたのが『青春の馬』のひなリハだった。それまでは表題曲、ライブ定番曲(NO WAR、誰跳べあたり)くらいしか聴かなかったので、ひなリハで『青春の馬』を初めて聴いた。初見なのにずっと聴き続けてきた大好きな曲だと勘違いしてしまうくらいすっと心に入ってきた。歌詞はもちろん、途中の「頑張って!」も含め、メンバーからの応援が全てが自分に向けられているような気がして、久々に活力にが湧いてきたのを今でも覚えている。
その中でもひと際輝いて見えたのが、丹生ちゃんだった。1曲ダンスをするのは相当疲れるはずなのに、最後まで音にのって体を大きく使い全力でダンスする姿、そして楽しそうな表情とはじけるような笑顔。この子は心の底から楽しいんだろうなあと見ていて元気をもらえた。パフォーマンスを見てこんな気持ちになるのは初めてだった。
毎日動画を見るし、ひなあいも録画するようになったし、曲もプレイリストに入れるようになったし、しっかり沼っているのに「いや、まだおひさまではないけどね。」と夏休みくらいまでハスっていた。が、やはりこれだけ沼っていると、言葉でにじみ出てきてしまうものである。
ある日サークルでポロっと「おひさま」というワードを使った。するとその場で聞いていた同期(仮称:このちゃん推し)がたまたまおひさまで「もしかして、日向坂好きなの?」となり、「まあちょっと知ってるくらいよ」と言いつつ、日向坂の話でめちゃくちゃ仲良くなった。
また、別の日には高校の部活の先輩(仮称:みーぱん推し先輩)から「今度日向坂の配信友達と見るために近くに行くから久々に会おうや」と連絡があったときも、「もしかしておひさま化計画ですか?」とつい反射で返信した。まさか日向坂をそんなに知っているとは思ってなかったようでびっくりされた。そして若干疎遠気味だったが、それをきっかけにたまに連絡をとるようになった。
ひなくり2021のときに、このちゃん推しから「配信一緒に見ない?」と誘われた。「まあ、ちょっと興味あるしいいよ」とハスり返事をして、一緒に見た。そしてライブ終盤、発表があった。
「3回目のひな誕祭in東京ドーム」
見た瞬間にでてきた本音は「行きたい」だった。
が、心の中の「アイドルなんて」のハスり野郎が邪魔をしてすぐには行動に移せなかった。
悩んだ。悩みに悩んだ。アイドルのライブに行くのか。少し前の自分のように偏見を持つ人はきっと沢山いる。アイドルオタクのレッテルはかなりマイナスになる可能性があるぞ。親とかにも話さなきゃいけないぞ。などなど。でも、行かなかったらするであろう後悔がハスりに勝った。
そして、年明けのしばらく経った頃にこのちゃん推しを誘ってみた。快く承諾してくれた。めちゃくちゃワクワクした。
そこから、チケット代とグッズのためにバイトをし始めた。それまでバイトはお金がもらえるにしても面倒くさいものだったが、楽しみのために頑張るバイトは全然苦しくなかった。
オフィシャル先行でチケットを当て、ペンライトと推しメンタオルも注文した。推しに選んだのはもちろん、丹生ちゃんだった。
みーぱん推し先輩にドーム参戦の連絡をすると、「別の高校の部活の先輩(仮称:めいめい推し先輩)もいるから当日会おうぜ」と返信をくれた。このちゃん推しも自分も初めてのライブだったので、経験者の知り合いがいるのはとても頼もしかった。
親に春休みの予定を聞かれ、日向坂のライブに行くと言うと、びっくりはされたものの、楽しんで!と言ってくれた。兄にバレたときは最初はいじられたものの、実はひなあいを初回から見ていて普通に日向坂は好きだった。家族がアイドルオタクに反対するタイプの人間じゃなくて本当によかった。
迎えた当日(ドーム2日目)、会場に行くと沢山のおひさまがいてとてもびっくりした。全員が同じものを好きだと考えると日向坂ってすげえなと感じた。
みーぱん推し先輩とめいめい推し先輩と合流すると初めましての高校の先輩2人(仮称:かげちゃん推し先輩、おひな推し先輩)含め、いろんなおひさまと話せた。「絶対楽しいぞ!」と言う言葉は楽しめるか少し不安だったのでとてもありがたかった。どうやらみーぱん推し先輩を中心におひさまの輪があるらしい。
そして今まで出てきた仮称の5人が後に推し活をする上で大事なおひさま仲間となってくれる。
会場に入ると舞台装飾とちらほら光るペンライトがキレイだった。バルコニー席でかなり遠かったがその空間にいれるだけで十分だった。ライブが始まり、基本はオレンジにしつつ、周りに合わせて変えたり振ったりした。声出しはできなかったが勝たんでのバルーンは一体感があって楽しかった。ときおり意外な曲のイントロで「おおお、、、」と会場で思わず声が漏れる瞬間があったのが印象的だった。勉強不足で知らない曲もあったものの、とにかく世の中にこんな楽しいものがあるのかと感じた。この楽しさをまた感じたいと思い、行けるライブはなるべく行こうと決意する。
本当にあのときひなあいのYouTubeに出会えてよかったし、勇気を出してライブに行ってよかった。
これがおひさまになるまでの話で、ここから濃密な約3年間の推し活が始まることとなる。