back numberとVaundyが同じステージに立つならやってやんよ
5月8日水曜日。back numberを好きな多くの人が雷に打たれたであろうお知らせが朝から発表された。
初の対バンアリーナツアーを開催決定。
私もその文面を見て朝の準備をする手が止まった。back numberを好きになって10年、想像すらしていなかった対バンツアーをすることになった。
このバンドは人気に火がつき始めてからというもの、ワンマンツアー、ファンクラブツアーに力を入れてきた。去年のドームツアーは全公演ソールドアウト、巨大なスクリーンの演出で観客を骨抜きにした。
back numberはツアーの時にはセトリを変えるタイプのバンドではない。北海道に住んでいる私は他県に行こうとしたらどうしても費用がかかってしまうということもあり、ライブのために県を跨ぐことは極力しない人間だった。
それに会場がどこになろうと、back numberは最高のライブをしてくれる。ツアーの時には地元公演の1日に行っただけでも充分満足できる。それが遠征をしなくていい最大の理由だった。
だけどゲストのラインナップを見て、真っ先に行きたいと思った会場は他県だった。
対バン相手は、Vaundy。
それも発表された当初は行き方など全く分からなかった福井県。
それでも大好きなVaundyと大好きなback number、この2組が同じステージに立っているところをどうしてもこの目で見たい。
back numberのライブに行き始めてからは7年、
遠征をほとんどしたことがなかった私が北海道から福井まで行くくらい強欲になったツアー。
それがanti sleeps tourだった。
◆
書くにあたって最初に断っておくのだけど、
このnoteで触れるのはVaundyのセトリ、back numberが福井2日目でしか言わなかったであろうMCの内容となる。
back numberのセトリネタバレはもちろん、演出の詳細、この依与吏さんのMCは他の会場でも言っていると判断したものは書かない。
それでもMCの内容も目にしたくない、という方はここでストップをお願いいたします。
8月の本州のうだるような暑さの中、飛行機、リムジンバス、特急、第3セクターの鉄道を乗り継いでサンドーム福井に到着。
7年間ずっとワンマンはファンクラブ最速先行で申し込んでいたのもあり、アリーナ席だった。
だけど福井のチケットも最速先行で取れたのに、
座席は2階スタンド席だった。今回のライブがどれほど高倍率だったかを物語っていた。
ただサンドーム福井はアリーナにしてはそれほど広すぎず、メンバーもスタンド席からかなり見やすかった。
アルバムreplica収録のAudio 003とともにVaundyが登場した時はいつものように、手を広げて意気揚々とステージから出てきた。
彼のライブはモニターに自身の姿を映さない。ライブ写真でも顔を映さない。画面には黒い背景に白文字のVAUNDYロゴが映る。ステージ上で顔を出さない理由こそ明確に本人の口から語られていないものの、「見てわかるものより、感じて分かるものを提供したい」と話している。曲をしっかり聴いてもらいたいからこそ、すべてを出さないというのが彼の世界観だ。画面が無い分、ステージの彼を肉眼で観ることに集中できる。
最初の曲は不可幸力だった。イントロが流れた瞬間悲鳴が出た。「あれ、なに、」と観客が問い、
「わからないよ」とVaundyが答える。この掛け合いは何度やっても最高だ。
1曲歌い終えるごとに歓声が上がる。
「今のはウォーミングアップだ。」
「踊れるかい?」
Vaundyがこう問いかけるとまた歓声が上がった。踊れるかと聞かれて始まったのは踊り子。
この流れはお決まりである。
3曲目で私がVaundyで一番好きな曲の恋風邪にのせてだった。イントロの「ハーアーアーアァー」は何回聴いても叫んでしまう。
彼が観客に向けて「歌え!」と言わんばかりにマイクを向けてるのがスタンドからでも分かった。
「くだらない愛で」の「愛で」を歌う。
画面など無くても、席が遠くても、演奏とパフォーマンスが良ければライブは最高なのだとつくづく思う。
音源はまだ公開されておらず、現在は幕張メッセでのワンマンと連動したMVでのみ音楽が聴けるミステリアスなGORILLA芝居、明るくハッピーなTokimeki、ピアノと歌詞が優しいタイムパラドックス。
「俺のバラードだ」と言って始まった呼吸のように。
私はこの曲を生で聴いたことがなかったので、
福井まで来てこれが聴けたのがとても嬉しかった。
絞り出すように歌うAメロ。少しずつ声量を上げ、
最後は壮大に歌う。
Vaundyの中にある慈愛を最も感じられる曲だと思っている。
「僕の日々の中で君がまだ息を吸うなら
僕は君の横でずっと息を吐いてていいかい」
この歌詞で涙が出てきた。音楽性が広すぎる。
「俺の曲は目をつぶっても楽しめるから。
目を閉じて聴いてみろ。体が勝手に動くから」
彼の言ったことを実行はできなかったけど、もしこれから先の人生で目が見えなくなったとしても聴力が残っていれば生きる希望が見えるなと思えるくらいには彼の音楽は本物だ。もちろんback numberもね。
ライブ化けするアッパーチューン、ホムンクルスで会場のボルテージが一気に上がった。
イチ・ニー・サン起爆上等Alright
ヨンで開幕 起爆、開放万歳
行くぜ喝采 俺が来た
これがかっこよすぎる。
「確かめ合うかより」大切で
「思い合えるより」温かくて
「振り剥がせるかより」愚かに浸ってしまうほど
時に
「歩み合うかより」大切で
「抱きしめ合えるより」
温かく思う未来見たいんだよ
Vaundyと観客が会話しているようなこの曲の掛け合いも好きだ。
盛り上がりがピークを迎えたかと思いきや、
「今のはジャブだぜ」
とともに始まるCHAINSAW BLOOD。
かっこいい武器2連続ってズルくないですか?
最後は怪獣の花唄で終わった。
「back numberあるから貯めてんじゃねえか!?」
「歌う時は適当でもいいんだぜ!?
俺の方が上手いんだからよぉ!!」
この煽ってくるVaundy節を聞くのもライブの醍醐味だ。強気なライブに強気な言葉で盛り上がりに火がつく。完全燃焼で終わった。
次のback numberへの転換中、Twitterで福井のセットリストを見て私は雷に打たれた。
1日目と2日目でセトリが変わっていた。
恋風邪にのせては1日目ではそんなbitterな話、
呼吸のようにはしわあわせだったのだ。
Vaundyで一番好きな曲と、待望の生で聴きたかったバラードは2日目を選んだからこそ聴けたのだ。
本当にこの日を選んでよかった。
捻りを加えてくれてありがとうVaundy。
遠征で2days行けるくらいお金持ちになれたら両日行くからね。
そしてback numberの番になった。
最初の約束通り曲名には触れないが、
一言で言うと殴られるようなセトリだった。
まだ行っていない人は覚悟した方がいい。
ツアータイトルの和訳「寝かせねえよ」がぴったりだ。
依与吏さんの口からVaundyについて語られた。
「売れる前から知っていたということを話すつもりはないけど、世の中にVaundyが生まれてから、違うものを感じた。
もちろん俺も彼のファンだし、フォロワーだし。年はすこぉし違うけど。
…16だよ!!!
16歳ってさ、もうちゃんとした『人』だよね」
会場から笑いが起こる。
「本当に素晴らしいです。思わず敬語になっちゃうよ。
…素晴らしいなんて他人行儀だね。
尊敬しています。」
依与吏さんとVaundyは髪型が似てるけど、
(起きてそのままの依与吏さんとVaundyの本番の髪型がそっくりだとか)
このとおり性格は全く違う。
依与吏さんは去年のツアーの札幌で「自分が事務所の社長だったら札幌ドームは打ってない」と話している。
Vaundyは横浜アリーナでのライブが生中継される形でMステに初出演した時、「大ヒットの実感はありますか?」とタモリに聞かれ、
「ありまーすっ」と観客に手を向けて答えた。
とにかく控えめな前者と、肝が座っている後者。
私はどっちも好きなのだ。
そしてこの違いを味わえたことも含めて最高のライブだった。
中盤、和也さんが「ありがとうございまーす」と言ったあと、依与吏さんが観客に向かって両手をぶんぶん大きく振った。それを和也さんが「え、何この人」みたいな顔して見てた。
依与吏さん「メンバーを何て言う目で見てる!」このやり取りがその日一番面白かった。
寿さん「暑いですね!!沢山汗かいて、20歳以上の人はビール飲みましょう!」
依与吏さん「20歳未満の子はどうするの?」
寿さん「えーっとモンスター!!」
依与吏さん「商品名かい!」
寿さん「エナドリが出てこなかった」
20歳以上だけどどっちも飲めない子ども舌の私はどうすればいいんだろうか?
と思ってたら依与吏さんが「麦茶でもいいでしょ」とすかさず言ってくれた。
依与吏さん、そういうとこほんと好きです。
そして全ての曲が終わり、
Vaundyが3人がいるステージに呼ばれた。
再登場した彼は、恐竜博物館にちなんで恐竜のぬいぐるみを持って出てきた。かわいかった。
この最後の挨拶の時だけ、Vaundyの顔がモニターに映されたのだった。対バンのゲスト側で呼ばれた時にだけ見られる、貴重な瞬間だ。
最後はVaundyがback numberに合わせてくれた。
3人と一緒にステージを左右中央に移動して笑顔で手を振ってくれた。
左から和也さん、Vaundy、依与吏さん、寿さん。
この4人が横並びで深々と頭を下げた。
お辞儀。
Vaundyがお辞儀。
最高に尊かった。
好きな人たちが一緒にステージにいて、
Vaundyもワンマンでは見られない姿を沢山見せてくれた。
back number3人とVaundyが肩を組んで笑い合っている。
それを見て涙が出た。
依与吏さんがこのツアーの別名はやってやんよツアーだと話していた。
ファンの間でもやってやんよ!と話題になっていた。
まさにその別名もぴったりな熱いライブだった。
そして私も思った。
今までで道内でしか見たことなかったけど、
大好きなアーティスト同士が見れるなら
遠征やってやんよ!
今までで一番熱い気持ちで大移動したライブだった。
強欲になって良かった。
そう思わせてくれてありがとう!
Vaundy、back number!